介護保険施設とは?3つの種類の違い、費用、提供サービスを解説

介護保険施設は、介護保険サービスとして利用できる居住型の介護施設のことです。介護保険施設の種類や、それぞれの特徴や費用について解説します。

介護保険施設とは

介護保険施設は、介護保険サービスの一つとして、要介護認定を受けた方が利用できる居住型の施設です。

入居対象は65歳以上、または特定疾病により介護を必要とする40~64歳の要介護者です。

介護保険施設には3つの種別があり、必要な介護や医療により入居に適した施設は異なります。

特別養護老人ホーム

介護老人保健施設

介護医療院(介護療養型医療施設)

何れも、入居時にまとまった入居金は不要です。介護保険の財源で運営している部分が大きく、月額費用も有料老人ホームなどと比べて安価に利用することができます。

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介護保険施設を一覧で比較する

月額や入居条件で介護保険の3施設を比較すると下記の通りです。

特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 介護医療院
入居金 0円
月額 10〜15万円 9〜20万円 8〜20万円
特徴 公的な入居施設 在宅復帰を支援 医療的ケアを提供
入居条件 原則要介護3〜 要介護1〜 要介護1〜
看取り 一部可能

特別養護老人ホーム(特養)の特徴

特別養護老人ホームは、中重度の要介護高齢者が生活するための施設です。「特養」とも呼ばれ、主に社会福祉法人が運営し、日常生活に必要な介護を中心に、レクリエーションやリハビリなども提供します。

株式会社などが手掛ける「有料老人ホーム」と比較されますが、どちらも高齢者の生活施設という点では同じです。しかし、サービス内容や料金体系が大きく異なり、特別養護老人ホームの方が安価です。

しかし、近年は特別養護老人ホームに入居待機者が多く、特養への入居を待つ間、有料老人ホームに入居される方も珍しくありません。そのため安価な有料老人ホームも増えている現状があります。

入居条件

入居対象は、介護保険施設の中で特養だけ「要介護3~5」の認定がある方、と決められています。

居室

近年は「ユニット型特養」と呼ばれる、個室で、共用のリビングスペースが設けられたタイプが増えていますが、依然として4人部屋の「多床室」に入居する古いタイプも多いです。多床室は費用が低額なので、人口の多い都市部では入居待機者が多いのですが、郊外に行くと空室のある特養もあります。

特別養護老人ホーム(特養)とは? 特別養護老人ホーム(特養)の費用と料金 特別養護老ホームと有料老人ホームの違い

介護老人保健施設(老健)の特徴

介護老人保健施設は、自宅と病院の中間施設として位置づけられた介護施設です。「老健」とも呼ばれ、医療法人や社会福祉法人が運営しています。

老健には、医師や看護師、リハビリスタッフなどが配置され、日常の生活支援はもちろん、医療ケアや手厚いリハビリを受けることができます。

入居条件

入居対象は「要介護1~5」と認定された方で、主に病院で治療を終えた高齢者が、退院後に自宅で生活することを目指して、リハビリを目的として入居します。

特別養護老人ホームとの違い

特別養護老人ホーム(特養)と比較すると、どちらも介護サービスが受けられる入居型の施設という点は同じです。

しかし、老健は自宅復帰を目指すという性格が強く、入居期間も「3ヶ月~6ヶ月程度」と、一定期間で退去することが前提となっています。そのため、長期滞在ができる特養とは役割が異なります。

介護老人保健施設(老健)とは?介護老人保健施設(老健)の費用特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)の違い

介護医療院

介護医療院は、長期療養が必要な高齢者向けの介護施設です。医療法人が運営し、医師や看護師による手厚い医療ケアが受けられます。

2024年に廃止された「介護療養型医療施設」の主な転換先として新設された施設の種別です。

個室よりも4人部屋の「多床室」が多いことから、比較的少ない費用負担で入居することができます。

入居条件

入居対象は「要介護1~5」と認定され、「経管栄養」や「たんの吸引」、「がんの疼痛管理」など、継続的な医療・介護を必要とする高齢者です。他の介護施設では対応できない医療が必要な方の受け入れ先になっています。

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介護保険施設は医療費控除の対象になる?

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が基準額を超えた場合、確定申告をすることで、超過した金額が課税対象の所得から控除される仕組みです。控除されることで税金の一部が還付されます。

介護保険施設施設で受ける施設サービスの費用は医療費控除の対象になります。医療費控除の対象となるのは以下のとおりです。

施設種別 医療費控除の対象 医療費控除の対象外
特別養護老人ホーム 施設サービス費(介護費、食費、および居住費)の自己負担額の2分の1

(1)日常生活費(日用品、理美容代など)

(2)特別なサービス費用(レクなど)

介護老人保健施設 施設サービス費(介護費、食費、および居住費)の自己負担額
介護医療院・介護療養型医療施設

施設から発行される領収書に、医療費控除の対象となる金額が記載されます。

この記事の制作者

小菅 秀樹

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

介護施設の入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護の情報発信を行う。

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