要支援と要介護の違いは?状態や受けられるサービスの違いを解説

要介護認定の結果には、「自立、要支援、要介護」があります。この結果によって、受けられるサービスやその頻度など、さまざまな違いが出てきます。

要支援、要介護にはどのような違いがあるのか見ていきましょう。

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そもそも要介護認定区分とは

要介護認定区分とは、介護がどの程度必要かを7段階の度合いで表したものです。

要支援1から要介護5までの具体的な状態

具体的に、介護度別にどのような状態なのか記したのが下記の表です。

要介護度 要介護認定の目安 状態の具体例
要支援1 日常生活上の動作について、ほぼ自分で行うことが出来る。 食事や排せつ、入浴などほとんど自分で行えるが、掃除などが一人ではできない。
要支援2 要支援1の状態と比べると、自分でできることが少なくなり、支援と共に一部介護が必要な状態。介護予防サービスの利用で、状態の維持・改善が期待できる。

食事や排せつなどは自分で行えるが、入浴時に背中を洗えない。

浴槽を跨(また)げない。

要介護1

立ち上がりや歩行が不安定で、日常生活において部分的に介護が必要な状態。

排せつ時のズボンの上げ下ろし、入浴時、着替え等に介助が必要。
要介護2 立ち上がりや歩行が自分でできないことが多く、日常生活全般に部分的な介助が必要な状態。

見守りがあれば着替えはできるが、排せつや入浴の一部、あるいは全てに介助が必要。

要介護3 立ち上がりや歩行が自分では困難で、日常生活全般に全介助が必要な状態。また認知症の症状があり、日常生活に影響がある。

排せつ、入浴、着替えの全てに介助が必要。

認知症の症状に対応が必要。

要介護4

立ち上がりや歩行が自力ではほとんどできない。食事などの日常生活が、介護がないと行えない状態。コミュニケーションの部分でも、理解力の低下があり、意思疎通がやや難しい。

排せつ、入浴、着替えに全て介助が必要な状態。

認知症による暴言や暴力、徘徊などの症状に対しての対応がより必要。

要介護5 寝たきりの状態で、日常生活全般ですべて介助が必要な状態で、理解力低下が進み、意思疎通が困難。

寝たきりで食事やオムツ交換、寝返りなど介助がないと自分ではできない。

話をしても応答がなく、理解が難しい。

  • 上記は一般的な状態を示す例で、全ての方に一致するものではありません。

要支援と要介護のおおまかな違いと例

厚生労働省では「要支援」と「要介護」をぞれぞれ以下のような状態として考えています。

要支援 日常生活上の基本的動作については、ほぼ自分で行うことが可能であるが、日常生活動作の介助や現在の状態の防止により要介護状態となることの予防に資するよう手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態のこと 例:入浴は自分一人でできるが、浴槽の掃除はできない
要介護 「日常生活上の基本的動作についても、自分で行うことが困難であり、何らかの介護を要する状態のこと」 例:お風呂の時に身体を自分で洗えないために入浴介助

要支援2と要介護1は何が違うのか

要支援2と要介護1は近しい状態ですが、二つの要素から分けることができます。

①状態の安定性

1つ目は「状態の安定性」です。状態の安定性とは、病状そのものではなく、介護量の増加につながる変化が発生するかどうかというものです。

認定後6ヶ月以内に介護度の再評価が必要かどうかという観点から判断されます。再評価が必要な場合には、要介護1になる可能性があります。

②認知症高齢者の日常生活自立度

2つ目は、「認知症高齢者の日常生活自立度」です。こちらは、認知症の状況をⅠ~Mの7段階で評価するもので、その度合いが高いと要介護に判定される可能性が高まります。

この二つの結果、要支援2と要介護1で分かれます。最終的には、介護認定審査会という会議で話し合われ要介護度が決定するため一概に線引きはできませんが、参考程度に覚えておきましょう。

要支援と要介護で、利用できるサービスの違い

そもそも、なぜこのように細かく段階が設けられているのでしょうか?それは、要介護度によって、使えるサービスの種類と頻度が違ってくるためです。

要介護度別に利用できるサービス種別
サービス 要支援1、2 要介護1~5
訪問介護
訪問入浴
訪問看護
訪問リハビリテーション
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
短期入所生活介護   
短期入所療養介護
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

原則要介護3から利用可能

介護老人保健施設
介護療養型医療施設
介護医療院
認知症対応型共同生活介護

要支援2から利用可能

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具貸与

介護度によって貸与できない福祉用具があります

介護度によって貸与できない福祉用具があります

特定福祉用具販売
住宅改修費の支給

また、同じサービスでも、要介護度の違いによって利用する頻度も異なってきます。

サービスの組み方は人によってさまざまですが、目安として以下のような頻度で利用されることが多いようです。

要介護度別、サービス頻度の目安
要介護度 使えるサービス頻度の目安
要支援1 訪問型サービス:週1回
通所型サービス:週1回
要支援2 訪問型サービス:週2回
通所型サービス:週2回
要介護1 訪問介護:週3回
訪問看護:週1回
通所介護、通所リハビリ:週2回
要介護2 訪問介護:週3回
訪問看護:週1回
通所介護、通所リハビリ:週3回
要介護3 訪問介護:週3回
訪問看護:週1回
通所介護、通所リハビリ:週3回
定期巡回・随時対応型訪問介護看護:毎日1回
福祉用具貸与:車いす、特殊寝台・特殊寝台付属品
要介護4 訪問介護:週6回
訪問看護:週2回
通所介護、通所リハビリ:週2-3回
定期巡回・随時対応型訪問介護看護:毎日1回
福祉用具貸与:車いす、特殊寝台・特殊寝台付属品
要介護5 訪問介護:週6回
訪問看護:週2回
通所介護、通所リハビリ:週2-3回
夜間対応型訪問介護:毎日2回
短期入所:月7日程度
福祉用具貸与:車いす、特殊寝台・特殊寝台付属品、床ずれ防止用具
  • 表に示した例は、一例です。ご本人の状態や希望により内容の組み合わせは異なります。

要支援でもケアマネジャーはつく?受けられるサービスは

要支援の場合、地域包括支援センターがケアマネジャーの役割を果たします。地域包括支援支援センターのスタッフがケアプランを作成し、計画に沿ったサービスを受けることになります。

関連記事地域包括支援センターとは

要支援の方が受けられるサービスは、状態が悪化し要介護に陥らないことを目指す「介護予防サービス」です。しかし、前述したように訪問介護や訪問入浴、デイケアなど、一部、要介護状態の方と同等のサービスが受けられます。

認定の結果によって受けられるサービスが変わる

ここまで、要支援・要介護の違いや受けられるサービスについて解説しました。

介護認定調査のときには、日々どのような介護を行っているのかを調査員に正しく伝えましょう。正確に伝えないと、要介護認定が実際の介護状況より軽く判定され、必要な介護サービスを受けられない場合があります。

また、「要支援」は、重い介護状態にならないことを目的に介護サービスを利用します。「要介護」は介護を受けながら、さらに状態が悪化しないこと。または状態を維持・改善するために介護サービスを利用します。

要支援・要介護の違いを理解した上で、介護保険の申請や介護サービスの利用を検討してみましょう。

関連記事要介護認定とは?認定基準や区分、申請~通知の流れ、有効期限まで

イラスト:安里 南美

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この記事の制作者

森 裕司

著者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。

介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、その他介護施設や老人ホームなど、高齢者向けの施設・住宅情報を日本全国で延べ57,000件以上掲載するLIFULL 介護(ライフル介護)。メールや電話でお問い合わせができます(無料)。介護施設選びに役立つマニュアルや介護保険の解説など、介護の必要なご家族を抱えた方を応援する各種情報も満載です。
※HOME’S介護は、2017年4月1日にLIFULL 介護に名称変更しました。

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