【はじめての方へ】加齢性難聴は生活習慣で予防する

年をとって「聞こえづらさ」を感じるのは仕方ないとあきらめてしまう人も多いでしょう。じつは「聞こえづらさ」を感じたときにどう対処するかで、その後の「聞こえ方」が左右されます。

聞こえづらさに気づくポイントから症状、予防法から治療法までを紹介していきます。

耳がとおくなるのは音を察知する細胞が減るから  

高齢になると感じる「聞こえづらさ」は加齢性難聴という病気です。

加齢性難聴は高い音が聞きにくくなり、早い人では50代からその症状が出る人もいます。

この聞こえづらさの原因は、耳の中にある音を察知する毛(有毛細胞)が、加齢により少なくなることで起こります。有毛細胞は再生しないため、一度、難聴になると治らないのが特徴です。

初期症状で気づけば進行を緩やかにすることも

加齢性難聴の初期症状としてあげられるのが、お風呂がわいた電子音に気づかない、体温計の音が聞こえない、テレビのボリュームが大きくなった、耳鳴りがする、声が大きい…という症状です。

このような症状が見られたとき、早い段階で耳鼻科を受診すれば適切に対処でき、聞こえづらさ(難聴)の進行を緩やかにすることができます。

聞こえづらさを感じたときに耳鼻科を受診し補聴器相談医に診てもらうか、自己判断で眼鏡店や通販で販売されている補聴器を購入するかで、その後の聞こえ方に影響がでます。

補聴器相談医とは、耳鼻科専門医で補聴器適合判定医師研修会または補聴器専門医申請のための講習会を受けた医師のこと。耳と補聴器があっているかを総合的に診断することができます。補聴器相談医は、認定補聴器技能者(一定の水準以上の知識、技術をもつ補聴器従事者に与えられる資格)のいる認定補聴器販売店を紹介してくれるため、耳に優しく、聞こえづらさを解消する補聴器を選ぶことができます。

自己判断での補聴器の購入は避け、まずは補聴器相談医のいる耳鼻科を受診しましょう。

耳が遠くならないための予防法

耳が遠くならないためには、耳の血流障害を防ぐことが重要です。その主な予防法として次の5つが挙げられます。

①不必要な強大音でテレビやラジオを聞かない

大きな音に聞き慣れてしまうと小さな音が耳に入らなくなってしまいます。聞こえづらいからと不必要に大きな音でテレビやラジオを聞くのはやめましょう。

②塩分、コレステロールを控えた食事

血流障害は高血圧、高コレステロールで起こりやすくなります。バランスの良い食事を心がけましょう。

③適度な有酸素運動

1日30分程度のウォーキングなどの有酸素運動は血流の促進につながります。

④禁煙

喫煙することで血管が収縮し血流を悪くします。まずは禁煙を心掛けましょう。

⑤イヤホンでなくヘッドフォンを使う

イヤホンをつけ大きな音を流していると音を聞き取る有毛細胞が徐々に壊れていきます。どうしても使う場合は、耳への刺激が少ないヘッドフォンを使用するようにしましょう。

まとめ

年をとって「聞こえづらさ」を感じるのは仕方ないとあきらめてしまう人も多いでしょう。じつは「聞こえづらさ」を感じたときにどう対処するかで、その後の「聞こえ方」が左右されます。また、聞こえづらさを感じていなくても耳の血流を障害しない生活習慣を送れば難聴を予防できます。

イラスト:坂田優子

この記事の制作者

橋本 優子

著者:橋本 優子(看護師編集者)

大学卒業後、出版社にてビジネス誌の編集に携わる、その後、出産をきっかけに看護師資格を取得。病院勤務後、「看護」「医療」の知識を活かした情報発信をするため、現在は健康に関する記事の企画、取材、執筆、編集までを行う。

岩崎 聡

監修者:岩崎 聡(国際医療福祉大学三田病院・耳鼻咽喉科教授)

三重大学卒、医学博士
信州大学客員教授
米国ハウス耳科学研究所留学
日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医
日本人類遺伝学会認定指導医・臨床遺伝専門医
国際医療福祉大学三田病院・耳鼻咽喉科教授、聴覚・人工内耳センター長

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