【2021年最新】ネットで買える薬の種類と買うときの注意点

2014年に薬のネット販売が解禁となり、現在は薬局やドラッグストアをはじめとする2000以上もの通販サイトが存在します。

気軽に買えるのは大きなメリットですが、そこには許可を得ていない違法サイトなのか分かりにくいなどのリスクもあります。

今回はネット購入のメリット・デメリットや注意点などを薬剤師が解説します。正しい知識をもち、ご家族みなさまのセルフメディケーションの一つとしてお役立てください。

ネットで買える薬の区分

ネットでも薬を買えるようになりましたが、これには、「処方せんが必要な薬」と、医療用から転用されたばかりの「スイッチOTC」などは含まれていません。

ほしい薬が、3つのどの区分に当てはまるかは、サイト上に記載されています。

薬のネット購入のメリット・デメリット

多くのひとがネットで買うことのメリットは、「お店へ行かずにどこからでも注文できること」と思っていることでしょう。一方、デメリットでは、「怪しい業者もあり購入に不安がある」という声が多いそうです。

ネット購入のメリットとデメリット

メリット

  • いつでもどこでも注文できる
  • 時間が節約できる
  • 品揃えが豊富、品切れが少ない
  • 他の商品と比較できる
  • 人目を気にしなくてすむ
  • じっくり時間をかけて検討できる
  • 持ち運ぶ手間がかからない

デメリット

  • 怪しい業者の見分けがむずかしい
  • 効果や副作用における不安
  • 飲み合わせの判断における不安
  • 体調をくずしたときの対応にこまる
  • 手元に届くまでの時間がかかる
  • 種類が多くて選ぶときにまよう
  • どこのサイトが安全かわからない

また、育毛剤や妊娠診断薬といった、対面で相談しにくい種類の薬では、ネット需要が高まります。薬によっては、顔を合わせず買えるので、気持ちの負担が少なくメリットともいえるでしょう。

ただし、ほかの薬やサプリメントとの飲み合わせなどを、メールなどで情報提供を受ける必要があります。これにかける手間を、デメリットと思うひともいるかもしれません。

このような、メリットとデメリットの両方を知り、うまく活用していきたいですね。

どこのサイトで買えばいい?

みなさんは、多くの通販サイトの中からどこで薬を買おうと思いますか?

私は、実際に足を運んで利用しているお店(薬局やドラッグストアなど)のサイトで買います。

なぜなら、何も知らないお店よりも安心感が高いからです。お店の雰囲気が想像できると、ネットでも相談してみようという気持ちになれるし、買ったあとに、ネットとリアルの両方で相談できることも安心のひとつです。

また、ひとつのお店が、楽天やAmazonといったサイトに、いくつも出展していることがあります。この場合、価格やポイントなどの特典が異なるので注意しましょう。迷ったときはそのお店が自社で運営するサイトを選ぶと、不必要な情報でまようことが少なくスムーズです。

ここに注目!ネット購入で注意したい3つのポイント

すこしでも薬を安く買うために複数のサイトで価格を比較する人も多いと思います。

しかし、通常ではありえない激安価格や「セール今日まで。在庫残り1点」といった表示につられて飛びつのは危険です。お金を振り込んだのに商品が届かない、違う商品が届いた、といった思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。

なかには、医師の診断が必要な薬もネットで売られていることも。医師の診断なく自己判断での購入・服用は体調不良につながることもあるので避けましょう。

次に紹介する3つのポイントをおさえて、安全なサイトかどうかを見分けることが大切です。

ポイント1.信頼できるサイトか

まず、トップページにある店舗名をはじめて見る場合は、販売許可を得ているかどうか確認しましょう。これは、厚生労働省の㏋「一般用医薬品の販売サイト一覧」に掲載されています。これがない店舗は、安全とはいえません。

また、薬のネット販売には購入者のレビューやクチコミ、推薦することは禁止されています。もしも、「この薬をのんで○○(病気の名前など)が治った」と書いてあっても鵜呑みにしてはいけません。

続いて、次のイラストも参考に、ひとつずつ確認しましょう。サイトによっては、複数のページにまたがって掲載されていることもあります。分かりにくいときは、相談窓口に電話などで聞くこともひとつの方法です。

信頼できるサイトの確認方法は、下記リンク先の「安全に購入するための3つのポイント」を参考にしてみてください。

OTC医薬品のメリットと安全に購入する3つのポイント

ポイント2.相談窓口が分かりやすいか

薬のネット販売について聞いたもので、およそ6割のひとが賛成、1割は反対という調査結果があります。

反対だというひとの理由は、「副作用がおきた場合の対応」といった不安からくるものが多いそうです。たしかに、電話やメールでは伝えにくい話や質問もありますよね。そのようなときは、足を運べる立地にあるお店を選ぶのもよいでしょう。

いつでも連絡できる営業時間外の相談窓口や、電話のほかにもメールやチャットなどがあると、より安心です。これらが、分かりやすく書かれているか確認しましょう。

ポイント3.価格は妥当か

薬のネット販売には多くのルールがあります。ひとつは、オークション形式での販売はできません。つまり、人気の薬だからといって価格が高騰することはないのです。

また、咳止めや鼻づまりに効く一部の薬では、一度に買える個数の制限もあります。それらは、セット販売によって激安になることもありません。

一方で花粉症の薬など制限のないものでは、2~3箱くらいのセットで安く買えるものもあります。本当に必要な量か、体調に見合った範囲で、買うことを心がけましょう。

もう一点注意したいのは、薬そのものの価格は同じでもサイトによって送料が異なる場合もあります。キャンペーンなどの情報に気を取られすぎず、ひとつ一つ確認することが大切です。

第1類医薬品を買うときの流れ

ここでは、薬剤師と数回のやり取りが必要な「第1類医薬品」を買うときの流れについて紹介します。

第1類医薬品をネット購入は、ただ注文しただけでは買えません。前述の薬の区分に応じて、薬剤師または登録販売者からの情報提供を受けたあとに買うことができます。とくに、初めて利用するサイトや、初めて買う薬の場合はこの流れがきちんと整っているかもポイントです。

Step1:薬を選んで設問にこたえる

サイトの入力フォームやメールなどで、次の設問すべてに回答します。副作用などを起こしたことがあるひとは、その内容までしっかり記入しましょう。

  • 性別、年齢
  • 症状
  • 副作用を起こしたことがあるか
  • 治療中または治療した病気のこと
  • 医療機関にかかっているか
  • 妊娠中または授乳中か
  • そのほかに気になることや質問

Step2:薬剤師から確認の連絡がくる

薬剤師から、個別に次のような情報提供がメールなどで送られてきます。

  • 薬の飲みかた
  • 注意点や副作用の対応など
  • 再質問や相談があるか

Step3:情報に理解できたかどうかを返信して商品を待つ

提供された情報を確認して、理解できたかどうかを返信したら、あとは品物の到着を待つだけです。ここで不安や、再度の質問があるときは、メールや電話などで納得いくまで相談ができます。

ネット購入時にも役立つ「かかりつけ」

今回は薬をネットで買うときの流れや注意点について解説しました。

大切なのは、不安な気持ちや疑問があるときには、専門家に相談するということ。

正しく運営するサイトには、メールや電話で相談できるサポート体制が整っています。

もしもネット上で相談しにくいときは、よく行く薬局やドラッグストアで相談してから買うようにしましょう。そのようなときにも、かかりつけの薬局やなじみのドラッグストアを活用してかまいません。

ネット購入とリアル店舗を上手に利用して健康管理につなげていきましょう。

かかりつけ薬剤師の選び方と3つのメリット

イラスト:安里 南美
 

この記事の制作者

曽川 雅子

著者:曽川 雅子(株式会社リテラブースト代表、薬剤師)

東北薬科大学(現・東北医科薬科大学)を卒業後、薬剤師として調剤薬局に勤務。2017年にセルフメディケーションサービスを展開する「株式会社リテラブースト」を設立。処方せん薬に偏ることなく、予防医療やヘルスリテラシーの在り方、そのサポーターと連携の意識を分かち合うため、薬局だけでなく、健康経営を掲げる民間企業へのセミナーも積極的に行っている。

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