【2021年最新】薬の副作用の見分け方は?よくある症状とその対処法

薬の副作用とは、病気を治したり軽くしたりする主な作用に対し、眠気やじんましんといった目的とはことなる作用のこと。

ここでは、基本となる副作用の種類や症状、考え方、安全に治療をうけるための記録方法について薬剤師が解説します。

軽い症状なら自分で対処もできますが、症状によってはすぐに受診しないと危険な場合もあります。その対処方法や相談先を知ることで、ご家族様皆さまでの健康管理にお役立てください。

主な副作用は3種類!その特徴と見分け方

副作用には、大きく分けて3つの種類があります。

1.眠気や便秘、皮膚の内出血

本来の目的ではない、眠気や便秘、皮膚の内出血などが起こる。これは、薬がしっかり効いているために起こるとも考えられます。

2.光線過敏症など

薬のなかには、皮膚が紫外線に対して敏感になり、かゆみや赤みを起こすものがあります。この症状を光線過敏症といいます。痛みを和らげる貼り薬などが有名。薬を正しくつかうことで防ぐことが可能です。

3.アレルギー反応

薬の成分に対して身体がアレルギー反応が起きること。微量の薬でもおこる可能性があります。

※1、3の副作用は予測や予防ができません。また副作用がどの種類か見分けるときは、医師や薬剤師などの専門家に相談し正しく対処していくことが大切です。

症状のちがいで対処法も異なる

副作用の症状には、すぐに薬を中止することが必要な重症なものと、治療をすすめる上でしかたのない軽度から中等度のものがあり、それぞれ対処法が異なります。

重度の場合

副作用で入院が必要になる場合もあります。本来の治療が長引くこともあり、「副作用被害救済制度」をつかった費用面の対処も考える必要があります。

中等度の場合

便秘や吐き気といった症状などが起き、ほかの薬で対処しながら治療を続けられるものもあります、本来の治療を中止するかどうかは医師の判断が必要です。

軽度の場合

口の渇きや眠気、めまいといった症状で、とくに薬での対処をせずに様子をみることもあります。ただし、軽度でも自分だけで判断はせず、医師や薬剤師へ相談し、状態にあった改善策をみつけることが大切です。

【重度の副作用3つの症状】

薬疹(やくしん)
皮膚にかゆみをともなって赤い皮疹ができる。ひどいものほど、はっきりした輪郭で赤みが強く、ひとつひとつの皮疹が大きい。
SJS(スティーヴンス・ジョンソン症候群)
38℃以上の高熱と、目の充血やくちびるのただれといった粘膜の腫れ、全身に赤い斑点、やけどのような水疱ができる。
アナフィラキシーショック
血圧低下や呼吸困難のほか、発疹やお腹の不調など様々で、命にかかわる危険な状態になることがある。
副作用被害救済制度について詳しくみる

早ければ十数分後にも!副作用があらわれるタイミング

薬によって副作用があらわれるタイミングが違います。

もっとも早いアナフィラキシーショックは服薬後30分以内におこるといいます。飲み薬は15~30分くらいで血液中に有効成分が巡るので、はじめて飲む薬の場合は30分は安静にし様子をみるとよいでしょう。

また、飲んだあと数日から2週間、あるいは1ヵ月以上あとに時間差で起こる副作用もあります。

薬によるじんましんは、通常なら24~48時間以内で消えるもの。しかし、じんましんと似て見分けのつきにくい血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)※の場合は、次第に悪化して数日にわたり症状が続きます。症状がすぐに消えないときは受診するようにしましょう。

また最初は軽い副作用の症状でも、その次は重症化することもあります。たとえば、頭痛薬など不調があるときにだけ飲む頓服薬は、市販もされていて気軽につかえます。しかし治したい不調に気をとられ、軽い発疹などの症状には気付かないかもしれません。

じつは、慢性的にじんましんを起こす患者さんの20~35%は、一部の鎮痛剤によって悪化することが分かっています。「薬が副作用を起こすかもしれない」という心構えをしておくことが大切です。

少しでも「おかしいな?」と感じたら、かかりつけの医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

  • ※2 血管性浮腫(けっかんせいふしゅ):地図状にもりあがったかゆみをともなうじんましんや、くちびるや舌、まぶた、顔がはれる、息苦しいなどの症状。

軽い副作用なら、自分で対処できるケースもある

症状の軽い副作用なら、医師や薬剤師へ相談をしたうえで、自分で対処できるケースもあります。もし、対処しても症状が続くなら受診しましょう。

ただし、めずらしい病気や治療の選択肢が少ない場合には、軽い副作用であったとしても、必ず医師の指示にしたがいます。たとえば、抗がん剤や、特別に指定された医療機関でのみ治療がおこなえる薬などが当てはまります。

【自分で軽い副作用へ対処するとき】
軽い胃の不調 ・ほんの少し(コップ半分くらい)水か白湯(さゆ)を飲む
・スープなど水分をふくみ、喉ごしのよい食べ物をとる
・辛いものや胃がもたれるような食べ物をさける
軽い下痢 ・バナナやおかゆ、すりおろしりんごなど消化のよい食べ物をとる
・水分をとって脱水症状をふせぐ
・牛乳や乳製品、かんきつ類、辛いもの、繊維質な食べ物は腸への負担が大きいので控える
・整腸剤を飲んでもよいか医師または薬剤師に相談する
・3日以上つづくときには受診する
軽い便秘 ・水分をこまめに、十分とる
・繊維を多くふくむ食べ物をとる
・運動をする
・数日以上つづくときは医師または薬剤師に相談する
めまい ・車や機械などの運転をしないようにする
・起き上がるときは、急に立ち上がらない
・熱いお風呂やサウナなどはさける
・過度な運動はさける
口の渇き ・こまめにうがいをする
・酸味の強い飴などをなめて唾液をうながす


 

副作用で困ったときの相談先

これって副作用かな?と思ったとき、受診したほうがよいか迷ったことはありませんか?ふだんから、よくつかうかかりつけの薬局があれば、処方せんがなくても気軽に聞いてかまいません。また、次の相談窓口も知っておくと安心です。

【相談窓口】

  • 医薬品医療機器総合機構「くすり相談窓口」:電話03-3506-9457
  • 県薬剤師会と都道府県による「くすり相談窓口」(サイト内から地域を選択)
  • 「副作用被害救済制度」:電話0120-149-931

みんなの意見で薬の安全性を高める「患者副作用報告」

2019年3月からはじまった「患者副作用報告」を知っていますか?これは、薬をつかった一般のひとが、副作用かどうか判断つかないものもすべて、国へ報告する制度です。

それまでは、医療関係者や製薬会社からの副作用報告が主でした。対して、新しい報告システムは、みんなの意見を中心に集められるものです。これにより、今まで知られていなかった多くの副作用を把握でき、薬を安全につかうために役立つと期待されています。

もし、副作用かどうか判断がつかなくても構いません。その程度にかかわらず報告し、自身の体調をより理解することにつなげましょう。

報告先:医薬品医療機器総合機構

【患者副作用報告へ報告する内容】

  • 報告するひと、患者さんの情報
  • 副作用がうたがわれる薬の情報
  • 副作用の症状
  • 受診した場合は、医療機関の連絡先

副作用の記録方法と注意点

起こった副作用を、お薬手帳の情報欄(頭書き)に書いていますか?冊子の途中ページや、自分だけにしかわからないメモ書きでは、万が一のときに危険です。たとえば、事故などの緊急時には、自分で説明することができません。誰でもすぐに確認できるようにしておくことが重要です。

また、副作用の情報は、薬局で薬剤師に、手帳へどのように書いたらよいか相談してみるとよいでしょう。相談するタイミングは、処方せんの有無にかかわらず、いつでも構いません。

薬の種類や副作用の症状、日付なども詳しく記録することで、そのあと、薬をつかうときの安心につながります。元気なうちから、副作用の種類や対処方法を確認しておくことで、安全な健康管理にお役立てください。

漢方薬にも副作用がある!その原因と注意したい症状

この記事の制作者

曽川 雅子

著者:曽川 雅子(株式会社リテラブースト代表、薬剤師)

東北薬科大学(現・東北医科薬科大学)を卒業後、薬剤師として調剤薬局に勤務。2017年にセルフメディケーションサービスを展開する「株式会社リテラブースト」を設立。処方せん薬に偏ることなく、予防医療やヘルスリテラシーの在り方、そのサポーターと連携の意識を分かち合うため、薬局だけでなく、健康経営を掲げる民間企業へのセミナーも積極的に行っている。

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