【介護予防教室のプロが伝える】介護予防教室の内容や利用方法とは
介護予防教室は、65歳以上のすべての方が利用可能で、要介護認定を受けていなくても参加できる介護予防活動のことです。高齢者が住み慣れた地域で、なるべく介護を必要とせずに暮らしていけるようにすることを目的としています。介護予防教室を運営している現役の理学療法士が詳しく解説します。
介護予防教室とは
介護予防教室とは、介護保険の総合事業(正式には「介護予防・日常生活支援総合事業」)という仕組みの「一般介護予防事業」で行われるサービスです。
介護予防教室は、運動や健康講座、趣味活動を行うためのサロンなど、高齢者の生活機能を高めたり、地域社会活動への参加を促したりするための事業です。
介護予防教室の対象者は?
介護予防教室の対象者は、地域に住む65歳以上のすべての高齢者です。
要介護認定を受けていてもいなくても、65歳以上であれば誰でも参加することができるので、従来の介護保険サービスだけでは支えきれなかった高齢者も抜け目なくサポートされます。
地域の高齢者一人ひとりが生涯にわたって、生き甲斐のある生活・自己実現(QOLの向上)ができるように、さまざまな介護予防教室が運営されています。
介護予防教室の内容は?
まず、介護予防教室のサービス内容をざっくり説明します。
介護予防教室と聞くと、体操教室をイメージする方が多いかもしれません。しかし、それだけでなく、栄養や口腔機能の講座、認知症予防などについて学ぶ講演会、サロン(通いの場)やサークル活動など、さまざまな取り組みが行われています。
例えば神奈川県横浜市では、「GOGO健康!健康寿命の延伸を目指して」というテーマを掲げた「元気づくりステーション」という取り組みを行っています。
市内で300グループ以上の市民活動があり、「介護予防体操」「脳トレ体操」「ウォーキング」などの運動だけでなく、「健康マージャン」から「盆踊り」まで、幅広い活動を支援しています。
その他の地域自治体でも、さまざまな取り組みが行われています。また民間企業やNPO法人などが独自で行なっている教室は、年齢の枠に囚われずにサービスを提供している場合があります。
介護予防教室の利用方法や料金は?
介護予防教室の利用方法は?
どのような介護予防教室が実施されているかは、地域によってさまざまです。お住まいの地域包括支援センターや自治体に情報が集まっています。
介護予防教室は、まだまだチラシや地域掲示板などオフラインでの情報拡散が主流です。
また利用方法に関しては、事前に登録が必要な教室もありますので、興味のある介護予防教室に事前確認されることをお勧めします。
区役所の高齢福祉課や、地域包括支援センターの相談員に問い合わせて頂くと、情報収集と利用がスムースになりますので、ご活用ください。
介護予防教室は誰が運営しているの?
主にNPO法人や民間企業、ボランティア団体など、地域のさまざまな団体がサービスを提供しています。民間のスポーツジムやデイサービスが、行政から業務を依頼されて運営するケースも増えてきました。
また近年では、住民主体で事業に取り組む「通いの場」が、継続的な介護予防の場として発展することが期待されています。
介護予防教室は人生の最期まで、肉体的にも精神的にも元気で暮らしていけるように、行政と住民が相互的にサポートして事業を行う仕組みとなっています。
介護予防教室の料金は?
基本的に市区町村の支援により運用されているので、無料~500円程度の料金で実施しているところが多いです。
活動内容や頻度によっても料金が変わってきます。地域包括センターや区役所で、介護予防教室の情報をまとめて資料にしているところもありますので、一度お問い合わせをしてみてください。
地域住民主体の介護予防事業「通いの場」
「通いの場」は、地域住民やボランティアによる運営の下、高齢者が気軽に体操や趣味活動を楽しめる場として、月1回以上の活動している場所のことです。
総合事業の一般介護予防事業の一つで、体操や脳トレだけでなく、趣味活動や茶話会などを通じて介護予防を図る場です。昨今、厚生労働省は「通いの場」の充実を推し進めています。
今後は通いの場に、理学療法士や管理栄養士といった各種専門家が「通いの場」に積極的に関与して、フレイル(虚弱)の予防や健康寿命延伸をサポートする仕組みが作られています。病院や施設だけでなく、地域のさまざまな場所で身体の専門家にお悩み相談ができるようになっていくでしょう。
ご自身の趣味や活動に合った通いの場を探し、他者との関わりや社会生活を継続して、末長く健康を保っていきましょう。
まとめ
なぜ介護予防教室が大切なのか
人生100年時代、長生きをするのであれば、なるべく健康であり続けたいと願う方が多いのではないでしょうか?高齢化に伴い、介護保険の認定者も大幅に増加しています。定期的に外出したり運動したりすることで、身体が衰えるペースを緩やかにして要介護度の重度化を防ぐことが大切です。
「介護予防」と聞くだけで、参加が億劫になるという声もよく耳にします。私も介護予防教室を共催運営していますが、「来てみたら有益な情報が多くてタメになりました」「新しい仲間ができて生きがいが出来ました」などの声を頂きます。誰しも歳をとり、命ある限りいつかは高齢者になり、介護が必要になる可能性があります。人生の最期までできるだけ元気に過ごしていけるように、あなたも介護予防教室に参加してみてはいかがでしょうか?
【PR】介護が必要になったら、操作不要の【簡単テレビ電話】が便利(外部リンク)イラスト:安里 南美
この記事の制作者
著者:新田 智裕(理学療法士)
横浜市青葉区の青葉さわい病院にて3歳〜105歳までのリハビリの担当を経験し独立。現在は、同じ青葉区内で、理学療法士と管理栄養士がつくる デイサービス「バレーナ」を運営。理学療法士が考案した、YouTubeで「バレーナチャンネル」を運営。シニア向けのホームエクササイズ動画を配信中。