【表で比較】有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い
多様化する高齢者住宅の中で、近年急増しているのが「サービス付き高齢者向け住宅」です。一方で「有料老人ホーム」も手厚いサービスが好評で根強い人気を誇っています。どちらも入居しながら介護を受けられる介護施設ですが、その違いを解説します。
「サービス付き高齢者向け住宅」と「有料老人ホーム」とは?
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームの違いを表にまとめました。有料老人ホームには「住宅型」と「介護付き」があり、少しずつ異なっています。
サ高住 | 有料老人ホーム | ||
---|---|---|---|
住宅型 | 介護付き | ||
介護サービス | 提供可能 | ||
介護サービス費 | 利用した分だけ支払い | 介護度ごとに定額 | |
入居金相場 | 20万円 | 0〜660万円 | |
月額費用相場 | 17万円 | 20〜25万円 | |
入居できる介護度 | 自立~要介護5(※施設により異なる) | 要支援1〜要介護5 | |
契約方式 | 利用権方式 | 賃貸借契約 |
※費用相場は2024年8月時点のLIFULL 介護の費用相場データを参照
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームの違いを動画でも解説しています。
サービス付き高齢者向け住宅とは
「サービス付き高齢者向け住宅」は、高齢者が安心して暮らしていけるようなサービスを提供するバリアフリー構造の賃貸住宅です。2011年10月に「高齢者住まい法」が改正され誕生しました。
「サ高住」や「サ付住宅」とも呼ばれており、高齢者向けの賃貸住宅に『安否確認』や『生活相談』というサービスがついています。
介護が必要となった際は、訪問介護やデイサービスなど、外部の介護サービスを利用することができます。
有料老人ホームとは
有料老人ホームとは、高齢者の心身の健康を保ち生活を安定させるために必要な、食事、介護、家事、健康管理のうち、いずれかのサービスを1つ以上提供している住まいのことです。
入居者の状況やニーズに応じて、介護付き、住宅型などいくつかの種類があり、提供するサービス内容により低額のホームから高額のホームまでさまざまです。
介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い
まずは「介護付き有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」の比較をしてみましょう。
介護付き有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 | |
---|---|---|
主な対象者 | 要介護状態の方 | 自立から要介護状態まで |
介護スタッフの体制 | 24時間介護士が常駐 | 必要な時だけ介護士が訪問(同じ敷地内にサービス事業所があるケースが多い) |
入居条件 | 原則として65歳以上 自立・要支援1~要介護5 | 原則として60歳以上 主に自立~要介護 |
入居時費用の目安 | 0~数千万円 | 20~150万円 |
月額費用の目安 | 15~40万円 | 10~30万円 |
介護費用 | 月額費用に含まれる | 月額費用に別途追加される |
居室面積 | 個室 13㎡以上 | 個室 原則25㎡以上
※条件を満たせば18㎡以上でも可 |
主なサービス内容 | 介護サービス(食事、入浴、排せつ)食事の提供 リハビリ、健康管理 レクリエーション | 安否確認 生活相談 生活支援(掃除、買物代行など) |
契約方式 | 終身利用権方式 | 建物賃貸借契約 |
この2種では大きく異なる点として、下記の3点が挙げられます。
入居対象
介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅では、入居対象が大きく異なります。
上記の表を見てわかる通り、介護付き有料老人ホームは「介護を必要とした方に特化した施設」と言え、サービス付き高齢者向け住宅は、「自立の方から入居でき、安心した自由な暮らしを送るために適した施設」と言えます。
スケジュール
介護付き有料老人ホームでは、一日のスケジュールが比較的決まっています。
一方、サービス付き高齢者向け住宅は、居住されている方が自由に暮らすことができます。入居者は定期的に安否確認などのサービスを受けることができます。
入居の契約形態
介護付き有料老人ホームの契約は、「終身利用権方式」が一般的です。
施設が提供する食事や介護のサービスも同時に契約するという条件で、居室・共用部分・設備などを利用する権利を購入します。
従って、住居もサービスも一緒に契約することになります。
一方でサ高住の契約方式は、「建物賃貸借契約」になっているため、入居時に必要な初期費用は、「敷金」という形で支払うことになります。
また、サ高住の契約では居室を借りるところまでしか含められていません。「食事の提供」、「訪問介護」、「訪問看護」、「デイサービス」などを希望する場合は別途契約する必要があります。
介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット
上記を踏まえて、両者を比較した場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 介護付き有料老人ホーム
- ・介護スタッフが24時間常駐
・人員配置基準があり、手厚い介護が期待できる
・レクが多く入居者同士の交流が盛ん
・毎月提携病院からの往診がある
・介護費用が毎月定額なので安心 - サービス付き高齢者向け住宅
- ・キッチンや浴室付の建物も多く、自由度の高い生活が継続できる
・体調に問題がなければ、外出や外泊も自由にできる
・必要な介護サービスを自由に選択できる
・初期費用が安く住み替えがしやすい
デメリット
- 介護付き有料老人ホーム
- ・食事や入浴時間がある程度決まっており、生活が多少制限される
・まとまった入居一時金が必要
・手厚い介護が受けられるが費用は高額 - サービス付き高齢者向け住宅
- ・施設によりサービス内容が異なりわかりにくい
・レクなど、入居者同士の交流は多くない
・寝たきりや認知症の進行など、身体状態が重度になった場合は退去の可能性あり
これらを踏まえると、手厚い介護が必要な方は介護付き有料老人ホームが適していると言えるでしょう。
また、それほど介護が必要なく、生活の自由度を求めたい方はサービス付き高齢者向け住宅が適していると言えるでしょう。
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い
次に、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅を比較してみたいと思います。
住宅型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 | |
---|---|---|
施設の特徴 | 自立~要介護高齢者が生活支援を受けて居住する施設 | |
入居条件 | 自立・要支援1~要介護5
※施設により異なる |
|
入居時費用の目安 | 0~数千万円 | 20〜150万円 |
月額費用の目安 | 15~30万円 | 10~30万円 |
介護費用 | 月額費用に含まれず別途利用した分だけ支払う | |
居室面積 | 個室 13㎡以上 | 個室 原則25㎡以上
※条件を満たせば18㎡以上でも可 |
主なサービス内容 | 身体介護、食事の提供生活支援、健康管理のうちいずれか1つ以上を提供 | 安否確認、生活相談、生活支援(掃除、買物代行) |
契約方式 | 終身利用権方式 | 建物賃貸借契約 |
このように、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、自立状態から入居できる施設です。
介護が必要な場合は、外部の介護サービスを入居者ひとりひとりが個別に契約して受ける点が共通しています。
また、両者ともにひと昔前はお元気な方向けの施設と言われていましたが、近年入居者の大半が要介護状態となっています。
大きな違いは、生活の自由度と、介護度が重くなっても長く暮らせるかどうかと言えます。
生活の自由度
住宅型有料老人ホームは食事や入浴の時間がある程度決まっており、外出にも制限があります。一方、サービス付き高齢者向け住宅では好きな時に食事や入浴、外出ができます。
介護度による退去の可能性
住宅型有料老人ホームは入居者の介護度が重くなった場合でも住み続けられるよう、設備や、スタッフ体制が整ってるのに対し、サービス付き高齢者向け住宅では、寝たきりになるなど介護度が重くなると退去の可能性があります。
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット
以上を踏まえて、両者のメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。
メリット
- 住宅型有料老人ホーム
- ・入居者同士の交流が盛ん
・提携病院による往診などが受けられる - サービス付き高齢者向け住宅
- ・キッチンや浴室付の建物も多く、自由度の高い生活ができる
・在宅で担当していたケアマネジャーを引き継げる
・住み替えがしやすい
デメリット
- 住宅型有料老人ホーム
- ・食事や入浴時間がある程度決まっており、生活が多少制限される
・入居時は、多くの場合まとまった額の入居一時金が必要 - サービス付き高齢者向け住宅
- ・サービス内容が多様で分かりにくい
・レクの頻度は少ない
・寝たきりや認知症の進行など、身体状態が重度になった場合は退去の可能性あり。
これらを踏まえて、介護度が重くなっても同じ場所に住み続けたい方は住宅型有料老人ホームが適していると言えるでしょう。
まとめ
有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いを見ていきました。
大まかな特徴を挙げてそれぞれを比較していきましたが、今後は有料老人ホームもサ高住も、今以上にサービスの特徴が多様化していくと思われます。
既存の施設でも、実際に入居するには施設の見学が必須です。まずは興味を持たれた施設の資料を請求し、実際に施設を見学してみると良いでしょう。
いつまでも笑顔で過ごせる住まいが見つかりますよう願っております。
【PR】憩いとやすらぎの老人ホーム、介護事業40年の創生会グループイラスト:安里 南美
この記事の制作者
監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)
株式会社HOPE 代表取締役
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。