【専門家監修】認知症予防におすすめの体操は?
このページでは、認知症予防につながる可能性があると言われている 「デュアルタスク」の体操についてお話しします。
“デュアルタスク”とは、体を動かしながら(=運動課題)何かを考える(=認知課題)など、複数の課題を同時に実行することを指します。
例えば、歩きながら計算をしたり、他者と話をしたりすることもデュアルタスクです。単純な有酸素運動や脳トレも認知症予防に有効な可能性があると言われていますが、デュアルタスクではより効率的に脳の活性化が図れるのではないかと期待されています。
デュアルタスクの体操について、動画を交えて具体的にご紹介していきます。
認知症予防にはコグニサイズがおすすめ
コグニサイズとは?
代表的な認知症予防体操は、国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ」です。
コグニウォーキング、コグニステップ、コグニダンスなど様々な種類があり、デュアルタスクの要素が多く取り入れられています。
コグニサイズ は、運動で身体の健康を促しつつ、脳の活動を活発にして認知症の発症を遅延させることを目的にしています。
コグニサイズのやり方
日常生活に簡単に取り入れられるコグニサイズが「コグニウォーク」です。いつでもできるデュアルタスクの体操を紹介します。
次の動作を他の人と一緒にやってみましょう。
・いつもより少し早く歩きながら
・しりとりや計算を行う
その他にも様々なコグニサイズがあるので、国立長寿医療研究センターのサイトでチェックしてみてください。
国立長寿医療研究センター国立長寿医療研究センター「コグニサイズ」普及事務局
コグニサイズの注意点
準備運動をしっかり行ってケガをしないようにすること、転倒しないようにすることが大前提です。運動課題と認知課題を同時に行いますが、どちらかの課題に注意が集中しすぎないように、均等に注意を向けながらコグニサイズを実施するようにしましょう。
座ってできる認知症予防体操!
座ったままできる認知症予防体操をご紹介します。これらの運動を行うことで、脳の健康状態をより高めることができます。誰でも簡単に、楽しみながらできる体操を動画を交えて具体的にご紹介していきます。
【初級編】グーパー体操
足踏みとグーパーを組み合わせた体操です。
8拍子のリズムに合わせて、両手でグーパーを繰り返しながら、足踏みをします。動画を見ながら一緒に楽しくやってみましょう!
【中級編】グーチョキパー体操
グーチョキパーを組み合わせた体操です。
リズムに合わせてグーチョキパーを繰り返します。足踏みを一緒に行って難易度を高めることで、より脳が活性化。動画を見ながら一緒にやってみましょう!
【上級編】脳トレ椅子ダッシュ
椅子に座ったまま、走っているように手足を動かす体操です。両足を素早く動かしながら、両腕をゆっくり振ってみましょう。
違ったリズムで手足を動かすことで、しりとりや計算などのように認知課題の難易度を高めています。
歌やリズムに合わせて認知症予防体操
歌体操
歌に合わせて手足を動かします。歌うことと手足を動かすことを組み合わせることで、デュアルタスクの体操になります。
以下の動画では、「うさぎとかめ」を歌いながら手足を動かします。
リズム体操:頭・肩体操
8拍子のリズムに合わせて、足踏みをしながら両手を「頭」→「肩」→「肩(両手をクロス)」→「肩(両手を戻す)」と動かす体操です。
難易度が上がると動きを間違ってしまうときがありますが、心配ありません。二つ以上のことを同時に行おうととするだけで、脳への血流量が増えて健康的な脳を育めると言われています。
周りの方の目は気にせず、全力で楽しむことが認知症予防に有効です。動画を見ながら一緒にやってみましょう!
上記の通り、認知症予防の体操は簡単に行うことができます。
しかしこの人生100年時代、生涯に渡って1人で運動を続けていくのは難しいのではないでしょうか?
「誰かと一緒に取り組みたい」「体操を習慣づけるきっかけが欲しい」という方には、地域のサロンや地域ケアプラザなどで実施されている“介護予防教室”への参加をお勧めします。
介護予防教室で定期的に認知症予防体操を
介護予防教室とは
厚生労働省は、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)という制度下において、住民主体で作られる“地域の通い場”政策を推進しています。この事業は地域の全ての高齢者を対象とした介護予防の事業で、認知症予防体操を実施する通い場も多くなってきています。
介護予防教室に参加するには
内容や開催頻度は、地域によって様々です。自治体主体、住民主体で実施されている介護予防教室は、無料〜数百円の参加費で行われているものが多いです。最近は民間企業やスポーツジムでも介護予防教室を開催するケースも増えてきました。
自治体主催の介護予防教室はチラシや地域掲示板など、オフラインでの情報拡散が主流です。区役所の高齢福祉課や、地域ケアプラザの地域コーディネーターに問い合わせると、情報がスムーズに得られます。まずはお住まいの地域自治体に問い合わせしてみてください。
あなたに合った認知症予防体操の続け方を見つけましょう
認知症予防の一助になると言われているデュアルタスクの体操をご紹介しました。
これらの体操は、早期から継続的に実施する事が重要です。地域の通い場でデュアルタスクの体操を楽しみ、ご自身に良い刺激を与えて続けていく事が、認知症を予防するために一番大切な事かもしれません。人生100年時代を末長く活きいきと過ごせるように、ご自身に合った認知症予防体操を見つけていきましょう。
認知症による資産凍結のリスクをご存知ですか?早めのご相談を
認知症により判断能力が不十分とみなされると、ご本人にもご家族にも預金がおろせない、不動産を売却できないなど、「資産凍結」に陥るリスクがあります。
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この記事の制作者
著者:新田 智裕(理学療法士)
横浜市青葉区の青葉さわい病院にて3歳〜105歳までのリハビリの担当を経験し独立。現在は、同じ青葉区内で、理学療法士と管理栄養士がつくる デイサービス「バレーナ」を運営。理学療法士が考案した、YouTubeで「バレーナチャンネル」を運営。シニア向けのホームエクササイズ動画を配信中。
監修者:内海 久美子(砂川市立病院 副院長・認知症疾患医療センター長)
NPO法人中空知・地域で認知症を支える会理事長、一般社団法人認知症疾患医療センター全国研修会代表理事も務める。
長年にわたり、医師として認知症の診断、治療の傍ら、地域に向けた啓発や関係者とのネットワークづくりに尽力。
「砂川モデル」として全国からも注目され、講演、取材、TV出演など多数。