【栄養士が解決】便秘にも種類がある|予防に向けた食生活のポイント
快食・快眠・快便は健康の源。通常、毎日ある排便が数日に1回など不規則になり便の水分含有量が少なく硬い状態になること、排便が困難、残便感があることを便秘といいます。
便秘になると腹部膨満感や吐き気、食欲低下、免疫力低下など、様々な問題が生じます。
便秘の予防と改善について正しく理解し、気持ちよく排便できる生活習慣を目指しましょう。
便秘とは
快食・快便は健康の源。排便には個人差があり習慣やタイミングに左右されますが、よい排便習慣は健康生活に欠かかすことのできない重要な役割があります。
通常、毎日ある排便が数日に1回など不規則になり便の水分含有量が少なく硬い状態になること、排便が困難、残便感があることを便秘といいます。
排便のない期間が3日以上など順調に行われていないと腹部膨満感や吐き気などの苦痛を伴うことがあります。気持ちよく排便できる生活習慣を目指しましょう。
排便について知っておきたいこと
排便の役割
口から入った食べ物は、胃で消化され栄養分として小腸で消化吸収されます。残りは不要物として大腸に送られ、粥状の便から移動する間に少しずつ水分が吸収され塊の便となります。
便秘になると腸内の細菌が正常な働きをしなくなり大腸がんの原因にもなりかねません。
最近では、よい腸内環境が健康に大きな影響があるという報告が相次いでいます。
ちゃんとお通じがありますか
適度な水分とやわらかさのあるよい便は、スルリと排便される「バナナ状」と表現されることがあります。
しかし、排便がうまくいかず何日も大腸内にあるとさらに水分が吸収され便が硬く、出にくくなります。このような状態を「ウサギ状」のコロコロした便と表現されることがあります。
できるだけ「バナナ状」の排便ができると痛みを伴うことも少なく排便時のご負担が軽減されることでしょう。
便秘の原因
便秘の種類と原因
弛緩性便秘
大腸のぜん動運動が低下し、便の通過が遅くなり留まりやすい状態。女性や高齢者に多くみられます。
・腹筋の低下
・お腹がはっている
・食物繊維が不足している
直腸性便秘
便意はある程度コントロールできるため我慢する習慣があると感覚が鈍くなり排便反射が起こりにくい状態。
・便意を我慢してしまう
・便意を感じにくい
・便が硬くなる
けいれん性便秘
大腸の持続的緊張により腸内の便移動がスムーズに行えない状態。排便時に腹痛を伴う。
・精神的ストレスの影響を受けやすい
・便秘と下痢を繰り返す
・残便感がある
排便がうまくいかないことが習慣化している場合も放置せず排便リズムをつかみケアを心がけてください。
便秘によるおもな症状
高齢者の場合、腸の機能低下に加え飲食量も減ることから便秘になりやすい状態といえます。
長く大腸内に便が留まっている状態により様々な病気や困った症状が引き起こされてしまいます。
おもな症状
・お腹がはる・おならが多い・げっぷが出る・胸やけ・口臭・肩こり・食欲不振・不眠・肌荒れ・体臭・ニキビ など
便秘予防の食事と生活
快適な排便を目指すための食事ポイント
食事量は適量摂取できていますか
まずは、食事量をしっかりととることが大切です。その上で便のカサを増やしスムーズな排便を促します。
②水分の摂取量は適量ですか
1日の水分摂取量は、食事に関する水分を含め1500mlは必要と言われています。尿の回数が増えるからと水分を減らしたりせず必要量をとるようにします。
③食物繊維をとっていますか
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がありますが便秘対策には、腸のぜん動運動を活発にし、便の排泄を促す不溶性食物繊維の摂取が必要となります。主に穀類、豆類、野菜に含まれます。
一方、水溶性食物繊維は便をやわらかくしてくれる働きがあり両方の食物繊維をうまくとり入れることが大切です。主に野菜、果物、海藻、こんにゃくなどに含まれます。
④腸内環境を整える食品をとっていますか
善玉菌となる乳酸菌やビフィズス菌を含む食品をとり入れ腸内環境を整えます。主にヨーグルト、味噌、キムチ、納豆、チーズなどの発酵食品に含まれます。
⑤適量の油をとっていますか
油は腸での潤滑油となります。また、脂質に含まれる脂肪酸が大腸を刺激します。料理には適度な油を使用しましょう。
食事量が少なくなる高齢者の場合、3度の食事で詰め込もうとせず、食べやすい食事の工夫や間食に芋類や果物などを補ってみるとよいでしょう。
快適な排便を目指すための生活ポイント
•ストレスをためないように
•適度な運動を心がける
•排便習慣をつける(便意がなくてもトイレに入って座る)
•規則正しい生活を心がける
まとめ
排便は、高齢者にとってかなりの体力消耗につながります。まして、便秘でなかなか便が出せないといきむこともできずに排便ごとにぐったりとしてしまうこともあります。
そうならないために、日ごろからご本人はもちろんご家族も排便について恥ずかしがらずフランクに話せる環境が必要と考えます。
その会話をもとに食事内容を工夫し、調整することをおすすめします。早めの対処でつらい便秘を起こさないようにしましょう。
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著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)
病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。