【栄養士が解決】食事量が減って3度の食事だけでは栄養が足りない場合、効率よく栄養を補うには?

効率よく栄養を補う

低栄養状態とは、からだを動かすために必要なエネルギーや筋肉を作るたんぱく質が不足した状態をいいます。

高齢者の栄養不足は免疫力が下がったり、感染症にかかりやすくなったりと深刻です。

高齢者が安心して健やかな生活を送るためには良好な栄養状態を保つことが必要となります。

圭子さんのエピソード

独り暮らしをしている82歳の圭子さん。ご主人は数年ほど前に先立たれ、子供たちとは別々に暮らしています。

息子さんは、遠方のため年に数回、娘さんは比較的近くにお住まいで時々様子を見に帰って来てくれると楽しみにされています。

圭子さんは、もともとお料理好きでご主人や子供や孫達のためテーブルに様々な手料理を並べ、喜んで食べてくれる様子に生きがいを感じていました。

しかし今は、自分のために作る気力がなく、一人分の食事を作ることがとても負担になっています。このままでは低栄養状態になってしまうのでは、と周囲も心配しています。

周囲は担当ケアマネージャーとも相談しながら圭子さんをサポートする必要があります。

今まで、家族のためにお料理を作ってきた圭子さんですから自分のためにだけお料理をする気にはなれないようです。しかし子供や孫のためなら今も張り切ることができるようです。

管理栄養士のアドバイス

(1)食事がうまくとれない場合

圭子さんについて3度の食事で必要な分量がとれない原因をいくつか考えてみたいと思います。

1.活動量・運動量の低下でお腹がすかない

高齢者の場合、環境によってはからだを動かす機会や活動力が格段に減ることがあります。

からだを動かすことで、筋肉を刺激し、エネルギーの消費が促進されます。また、食事量が少なく運動不足により便秘がちになります。

便秘が改善されると空腹感が出ることもあります。できるだけ積極的にからだを動かし元気な排便と活動量アップでお腹をすかせましょう。

まずは、室内でもできる体操からはじめてみることをおすすめします。

2.一人分の食事を作るのが負担

一人分の食事であっても、複数の食事であっても調理工程が減るわけではありません。そのため調理の負担がのしかかってきます。

加えて、食事が余ったり、やむを得ず同じものを食べ続けなければならない、食材のロスが増えるなどのマイナス面も多くなります。

冷凍食品や小分けの野菜、少量パックの食品も増えていますのでぜひ活用してみましょう。スーパーの惣菜も充実しているところもあります。

揚げ物などは安全面からも惣菜を購入されることをおすすめします。

手作りと出来合いの食品、惣菜類を併用してみてはいかがでしょうか。

3.精神的な支えの喪失

今まで、家族のために様々な工夫を凝らしてきたため、ご主人を亡くされ自分のためだけにお料理をするという気持ちにはなれないようです。

しかし、そういっても食べずにいることは望ましいことではありません。幸い娘さんやお孫さんも時間を作って一緒に過ごす機会が増え圭子さんの食事状況を気にかけてくれています。

家族や周囲の医療・介護関係者とも連絡をとりながら、圭子さんが前向きに過ごせるように見守っていければと思います。

(2)すぐにお腹がいっぱいになって少量ずつしか食べることができない場合

1食あたりの分量は少なくても、3回の食事に限らず複数回に分けて栄養をとり入れる場合があります。同じ食事を単に分けるのではなく、できれば違う食事で補うことができればと思います。

時にはバナナであったり、小さなお結びであってもよいのです。分割した食事は同じものを「また食べるのか」という気持ちになりますが、別の食事はいくぶん期待感が広がります。

補食として間食で栄養を補う

食事での栄養不足対策を考えると同時に、不足分を間食として補うことも考えてみたいと思います。「間食=お菓子」ではありません。

例えば食事で補えなかった野菜を芋類で、あるいは野菜の甘さを活用したかぼちゃの茶巾などは食べやすく次の食事への負担がありません。

ヨーグルト、チーズなどもたんぱく質やカルシウムを補うことができます。補食としての間食は、お腹に重たいものはおすすめできません。

クリームたっぷり、バターたっぷりでは、かえって次の食事に影響があり補食としての役割が果たせません。

少量でも栄養が補えることが望ましいと思います。そして何より食事とは違った楽しみがありますね。

不足しているからと無理に詰め込むのではなく、食べたい、食べてみようという気持ちを大切にしましょう。

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この記事の制作者

徳田 泰子

著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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