【栄養士が解決】食欲はあるが食事制限が厳しくて何を食べていいかわからず困っている

制限食

「食事制限」という言葉には、どこか楽しみを奪う、あるいは何かを強いられるというマイナスイメージがつきまとってしまいます。

しかし、健康管理上必要な場合もたくさんあります。

食事制限が必要な原因と現在の状況を知ることでより健康的に過ごすための方法について考えてみましょう。

大谷幸司さん(仮名)のエピソード

大谷幸司さん(仮名)のエピソード

40歳後半から糖尿病を患っている大谷幸司さん(仮名)は現在72歳。

タバコは家族の強いすすめで2年前にやめましたが、それ以来、甘いものをはじめとする間食が増え、そのため体重が12㎏も増加しました。

大谷さんは、身長172㎝、体重86kg、BMI(ビーエムアイ)29と標準よりも高く肥満度1。

身長から割り出した適正体重に比べ20kg以上も多いため、糖尿病の悪化、高血圧の負担が高まることから医師より適正体重に近づけるため食事コントロールを行うよう指示がありました。

しかし、好きなように食べてきた大谷さんにとって何をどれだけ食べればいいのか、食べられるのかさっぱりわかりません。そこで栄養相談を受けることになりました。

*BMI(ビーエムアイ)とは、体重(kg)/身長(m)²から求められる肥満を示す体格指数をいいます。
18.5以上25.0未満を標準とし、それ以上ならば生活習慣病などの病気にかかる確率が高くなります。

家族構成から見えるもの

食事内容は、一人暮らし、ご夫婦、同居の家族など家族構成によっても変わってきます。

一人暮らしならば、手軽さ、食材のロスも考慮し、市販の総菜やお弁当などの活用頻度が多くなる場合があります。

年配のご夫婦なら和食傾向がみられ、煮炊きものを好まれる場合は、全体の塩分摂取量が増えることがあります。

また、同居に子供がいれば夕食は子供の好む食事を採用することも増え、洋食傾向がみられます。

大谷さんの場合は、娘夫婦と中学生の孫(男子)と同居しているため、家族がそろう夕食はお孫さんの好みを優先する傾向があるようです。

現在の自分の食事を把握しよう

朝食は、6枚切り食パンを2枚(バターぬって)焼いて、ホットコーヒーと一緒に食べ、昼食は自宅で麺類を食べることが多い。

夕食は、食べ盛りのお孫さんの好む食事傾向からハンバーグや唐揚げなど油を使った洋食が多く、高カロリー食の傾向にあります。

また、食間にはまんじゅうや菓子パン、スナック菓子などをとる習慣があります。

大谷さんの食事傾向から

1日のうちで野菜の話がほとんど出てきませんでしたので、理由を尋ねますと「青汁を飲んでいる」との回答がありました。

大谷さんは、野菜としてはとることがほとんどなく、青汁を飲んでいることに安心していたようです。

食事としての野菜には食物繊維が多く含まれ、食事の際、野菜を先に口にすることで急な血糖値の上昇を防ぎます。

また、咀しゃく回数も増えるため食べ過ぎ傾向にある大谷さんにはぜひともとり入れていただきたい食材です。

大谷さんには数日間食べたものをメモして書き出していただくことにしました。

書き出すことによって自分の食事内容に偏りがないか、食べ過ぎではないか、何気に口にしたものも把握することができます。
 

管理栄養士のアドバイス

大谷さんは、野菜が不足ぎみであったため朝、昼の食事では野菜を1品~2品ずつ加えることをご提案しました。

例えば、朝食では簡単なサラダ。レタスやトマト、きゅうりなど。あるいは昨夜、夕飯に使用した野菜料理も大事な1品になります。

できるだけ手のかからない方法で継続できるものをとり入れる工夫をお願いしたいと思います。

昼食では、ラーメンやうどんなどの麺類が中心でしたが、ラーメンにはもやしを加えたり、野菜をたっぷり入れた焼きそばや焼うどんなどに変更することで、ボリュームも増え、少ししか食べることができない「制限食」だというストレスを回避することができます。

「食べてはいけない」を「食べてもいい」という食品に置き換えてみることがポイントです。

大谷さんの間食の原因は、炭水化物(ごはん、パン類、麺類など)の単品食が多く、咀しゃくも少ないため満腹感が得にくいこと、栄養バランスが偏っていることが原因のひとつと考えられます。

そのため、朝食に野菜を追加し、卵焼きなどのたんぱく質を加えることでバランスの良い食事の第一歩がはじまります。

たんぱく質や少量の油を活用することで腹持ちもよくなり間食に頼らなくてもよくなります。

間食は、楽しみ程度に補食としてとるようにして過剰なエネルギー摂取を控え、体重のコントロールを心掛けていきます。

また、夕食では高カロリー傾向にありますので、ご家族にご協力いただき、時には揚げ物を焼き物や炒め物に変更するなどの調理方法の工夫をすることで大谷さんもコントロールがしやすくなるかと思います。

もちろん、大谷さんご自身の毎日する運動も大切です。

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この記事の制作者

徳田 泰子

著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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