【栄養士が解決】介護食にしやすい食材の選び方
介護食をつくるとき「どんな食材を選べばいいのか」と迷うこと多々。介護食の調理には細かな向き不向きはあります。
調理の工夫によってアレンジできるものもあれば、咀しゃく、嚥下の過程で食べにくいものもありますので、知っておくと食材を選ぶときに参考になります。
介護食づくりと食材について
介護食をつくる際に「どんなものを選べばいいのか」と迷われることが多いと思います。
食材に細かな向き不向きはありますがそのままでもやわらかく食べやすいもの、調理の工夫によってアレンジできるもの、市販の惣菜やレトルト食品などを使用し、アレンジできるものなどを選択されるといいでしょう。
一方で咀しゃく、嚥下の過程で食べにくいものがありますので知っておくと食材を選ぶ際に参考になります。
食材選びに注意が必要な食べ物
- 「ポロポロ」まとまりのないもの:ひき肉、卵焼きのかけらなどは、口の中に残って後で誤嚥の原因に。
- 「クニュクニュ」弾力のあるもの:高野豆腐、こんにゃくはかみにくく、そのまま飲みこんでしまう危険も。
- 「カリッカリッ」不均等な硬さのもの:天ぷらやフライの衣、ナッツ類は硬さが一定でなく欠片が口の中に残りやすい。
- 「ボソボソ」パサついたもの:パンやクッキーなどは食べるときに口の中の水分がとられてしまい食べ物が飲みこみにくい。
- 「ホクホク」水分の少ないもの:ふかした芋など芋類は水分が少なく、喉に詰まり易くなる。
- 「ペタンコ」平らでかみにくいもの:海苔やわかめなど平らで口の中や喉に付着し、詰まり易くなる。
食べられるものばかりに偏ってしまうと栄養バランスが崩れることがあります。
しかし、介護食は安全に食べていただくことが重要です。個々の摂食レベルは日々の体調によっても変化します。
今日のご本人の体調と相談しながら食事づくりをすすめましょう。
介護食に活用しやすい食材
やわらかく食べやすい食材
〇魚の場合:加熱により、身がしまって硬くなるため脂ののった魚がおすすめ。
例:まぐろ、かれい、カラスカレイ、ぶりなど。
〇肉の場合:やや脂身のある薄切り肉がおすすめ。
例:牛肉または豚肉のロースやばら肉など脂身のあるスライス、ひき肉など。
*ひき肉は噛み切る必要がないため咀しゃくが困難な方には適していますが、口の中に残りやすいことがあり誤嚥への注意が必要です。
〇卵の場合:やわらかい炒り卵のように調理すると食べやすくなります。
〇大豆製品の場合:絹ごし豆腐、ソフト木綿豆腐がおすすめ。
ワンポイントアドバイス
*(木綿豆腐は調味料と合わせて)
木綿豆腐もやわらかく食べやすい食材ですが、やや水分が少ないため、口の中に残りやすくなります。
粘りのある練りごま、マヨネーズ、味噌などと合わせ白和えのようにソフトに仕上げると食べやすくなります。また、豆腐ハンバーグのように混ぜ込んで調理することで木綿豆腐のよい特徴が活かせ、介護食への適応範囲が広がります。
〇野菜の場合:かぼちゃ、長芋、トマト、なすび、冬瓜、かぶら、大根、野菜の葉部分など
ワンポイントアドバイス
*(かぼちゃは冷凍保存で活用)
生のかぼちゃを切ったものは傷みが早くなります。洗って種を取り除き、適度な大きさに切って冷凍保存用袋に入れて冷凍保存できます。
必要分を解凍する際には、冷蔵庫で解凍すればマッシュにできるくらいのやわらかさになり調理が簡単です。
*(トマトは湯むきを)
トマトは、皮が口に残りますので熱湯にくぐらせ湯むきをすると食べやすくなります。
湯むきの前にトマトの皮に小さな切り目を入れておくと熱湯で皮が弾けてむきやすくなります。嚥下状態によっては種を取り除くと安全です。
ヌメリがあって食べやすい食材
個々の摂食状態にもよりますが、高齢者に食べやすいと喜んでいただける食材をご紹介します。
口の中で食材のヌメリがまとまりの補助をしてくれます。
〇納豆、なめ茸(調理瓶詰)、モロヘイヤ、とろろ昆布、オクラ(種除く)など
家に常備しておくと便利な食品
常備品には、ちょっとした時に応用できる便利な食品がたくさんありますので是非活用してください。
常備しておくと便利な食材
- 【冷凍食品】冷凍野菜(ほうれん草、かぼちゃなど)、クリーム系コロッケ
- 【根菜類】じゃがいも、玉ねぎ、人参など
- 【乾物】高野豆腐(新製法のやわらかいもの)、ひじき、豆類、麩、ごま、青のりなど
- 【缶詰】水煮大豆、ツナ缶、トマト水煮、果物缶詰(みかん、白桃など)
- 【乾麺】そうめん、うどん、そばなど
- 【だし・スープ類】めんつゆ、だしの素、コンソメの素、スープ類(ポタージュ、かぼちゃ、クラムチャウダーなどの顆粒状スープ)
- 【レトルト食品】カレー、丼類、総菜類、具入りソース類など
まとめ
すべて手作りしようと頑張り過ぎず、いろいろな食品を活用してみることで発見もあり、介護食づくりに役立てることができます。
昨今、介護用の加工食品は、摂食レベルに分かれた様々な食品が出回っており、困ったときには心強い味方になります。
また、一般の加工食品も介護食への応用が可能ですので活用されると食の範囲が広がることと思います。
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著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)
病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。