【栄養士が解決】介護食に適した食材の調理方法
家庭での介護食づくりは、難しく思えたり戸惑うことも多いと思います。
まずは、かみやすく、飲みこみやすく変化させることからスタートしてみましょう。
時には市販食品や総菜を買ってアレンジしてもよし。介護食づくりを通じて食事の時間を一緒に楽しみましょう。
介護食の調理について
ご家庭での介護食づくりは、難しく思えたり戸惑うことも多いと思いますが、まずは普通の食事から個人の食べる力に合わせかみやすく、飲みこみやすく変化させることからスタートしてみましょう。
時には市販食品や総菜を買ってアレンジしてもいいでしょう。介護食づくりを通じて食事の時間を一緒に楽しみましょう。
介護食づくりのポイント
食べやすく調理するには
1.下ごしらえ
・食材を切り方
[野菜]大きさ、硬さのある野菜は隠し包丁を入れる。食べ物の固さによって、切る大きさを調整する。繊維を断ち切る切り方で下処理を。
[肉類]筋を切る、たたいて薄くする、細かく切る、そぎ切りする。
加熱調理の工夫
• 葉野菜は、栄養価を逃げにくくするため茹でてから切りましょう。かみにくい方には、葉先の方がやわらかくかみ切りやすいのでおすすめです。
• 食材は、細かくし過ぎず、やわらかさに合わせて適度な大きさが望ましい。
• 食材をおろす:かみにくい野菜、芋類や果物などはすりおろす。
• 食材をつぶす:芋類、豆類は加熱して熱いうちにつぶすと力が弱くてもつぶれやすい。
• 蒸す、煮るなど食材に水分を含める調理方法は、食材をふっくらとやわらかく仕上げます。
※【魚の場合】加熱により、身がしまって硬くなるのでパサつかないように調理する。(あんかけ、煮汁にとろみをつけるなど)
焼き魚を食べやすくするには
鮭の塩焼きを鮭のホイル焼きに、さらに食べやすくするのは焼き魚をほぐし身にしてからはんぺんと混ぜて練り、形を整えると舌でつぶせるやわらかさになります。
(鮭のほぐし身をはんぺんと混ぜて形を整えたもの)
※【肉の場合】加熱により肉が固まるため、脂身のあるスライスなどは加熱時間が短くやわらかく調理しやすい。細切りにすると食べやすい。
ひき肉を食べやすくするには
ひき肉はかみ切る必要がないため咀しゃくが困難な方には適していますが、口の中に残りやすいことがあり注意が必要です。
卵やじゃがいもなどと混ぜ合わせ、口の中に残りにくいように調理します。
あるいは、ひき肉を加熱調理後ハンドミキサー(ブレンダー)にかけてペースト状にしてから形を整えるとさらに食べやすくなります。
(ひき肉をブレンダーにかけたハンバーグ)
※【芋類の場合】じゃが芋、さつま芋など高齢者に好まれる食材ですがむせやすいので注意が必要。マッシュ状態、水分を含ませるような調理がおすすめです。
あると便利な調理器具
通常、ご家庭で使用されることが多い調理器具をはじめ、あれば便利だと思う調理器具をご紹介します。
切る、おろす、ペーストにする
キッチンばさみ、おろし金、すり鉢、ハンドミキサー(ブレンダー)、型抜き(見た目に変化、華やかさを与える)
▲ブレンダーのイメージ
▲型抜きイメージ
加熱する
シリコンスチーマー、シリコン容器(カップなど)
電子レンジで下処理が簡単で時間短縮に。さらにそのまま蒸す、焼くなどの加熱調理にも適しています。
介護食メニューアレンジ
注意が必要な食べ物と調理アレンジ方法
●「ポロポロ」まとまりのないもの:ひき肉、卵焼きのかけらなどは、口の中に残って後で誤嚥の原因に。
【ワンポイントアドバイス】
卵焼きは、だし巻きやスクランブルエッグにしてやわらかく。ひき肉は煮込みハンバーグやミートローフなどに。
●「クニュクニュ」弾力のあるもの:高野豆腐、こんにゃくはかみにくく、そのまま飲みこんでしまう危険も。
【ワンポイントアドバイス】
➡高野豆腐は新製法でソフトな商品が登場しています。あるいは粉の高野豆腐が商品化されていますので新しい商品にもアンテナをはって活用の幅を広げましょう。
●「カリッカリッ」不均等な硬さのもの:天ぷらやフライの衣、ナッツ類は硬さが一定でなく欠片が残りやすい。
【ワンポイントアドバイス】
➡ごまペースト、ピ―ナッツバターなどペースト状のものを活用してみましょう。揚げ物の衣は、天つゆやソースでやわらかく
●「ボソボソ」パサついたもの:パンやクッキーなどは食べるときに口の中の水分がとられてしまい食べ物が飲みこみにくい。
【ワンポイントアドバイス】
➡パンは飲み物と一緒に。あるいはフレンチトーストなど水分を含んだ状態にアレンジ。
●「ペタリ」平らでかみにくいもの:海苔やわかめなど平らで口の中や喉に付着し、詰まり易くなる。
【ワンポイントアドバイス】
➡海苔は、青のりのように細かく刻むと喉を通りやすくなります。
市販総菜を介護食へアレンジ
①揚げ物:天ぷら、コロッケ、唐揚げなど
【ワンポイントアドバイス】
・天ぷら:天つゆにつけて衣のサクサクをやわらかく。
・コロッケ:パン粉の細かいものが望ましく、ソースをコンソメだしやトマトピューレなどでゆるめてからとろみを加えると全体的にしっとりまとまりやすくなります。減塩効果も期待できます。
・唐揚げ:食べやすい大きさにそぎ切りし、玉ねぎなどやわらかい野菜とともに中華あんかけに。
②和惣菜:お浸し、卯の花炒り(おから)、ひじき煮など
【ワンポイントアドバイス】
• お浸し:やわらかい葉先はそのまま、茎部分は細かく切って炒り卵と合わせて。
• 卯の花炒り:少量のだし汁にとろみをつけて混ぜ合わせまとまりよく。
• ひじき煮:絞った豆腐と合わせて白和え風に。
まとめ
介護食づくりの工夫は、日々の食生活の中から生まれてきます。
食べたいもの、食べていただきたいものをどうしたらおいしく食べやすく変化できるのかを一緒に考えていければと思います。
調理の過程では、便利グッズや電子レンジ、食材のストックもフルに活用して時間を有効にしたいものです。
- 天ぷら:天つゆにつけて衣のサクサクをやわらかく。
- コロッケ:パン粉の細かいものが望ましく、ソースをコンソメだしやトマトピューレなどでゆるめてからとろみを加えると全体的にしっとりまとまりやすくなります。減塩効果も期待できます。
- 唐揚げ:食べやすい大きさにそぎ切りし、玉ねぎなどやわらかい野菜とともに中華あんかけに。
- お浸し:やわらかい葉先はそのまま、茎部分は細かく切って炒り卵と合わせて。
- 卯の花炒り:少量のだし汁にとろみをつけて混ぜ合わせまとまりよく。
- ひじき煮:絞った豆腐と合わせて白和え風に。
この記事の制作者
著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)
病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。