質問

要介護3の母が入居する為に、特養や有料老人ホームの費用を調べているのですが、どこも金額的に厳しいと感じています。「負担限度額認定証」があれば、費用負担が軽くなると聞きました。どうやったらもらえるのでしょうか?要件などあれば詳しく教えてください。

回答
笠原 洋子

負担限度額認定証はお住まいの市区町村に申請をすることで発行されます。負担限度額認定証を受けることで、特養などの介護保険施設での住居費と食費が軽減されます。ショートステイでの利用も軽減対象となるので、対象となる方はぜひ活用してみてください。

初めて介護保険施設に入居する方、またはショートステイを利用する方は、市区町村より書類を取り寄せて申請します。ここでは負担限度額認定制度について詳しく解説します。介護費用の負担を少しでも軽くするためにお役立てください。 笠原 洋子(2級ファイナンシャルプランニング技能士)

【目次】
  1. 1.介護保険の負担限度額認定制度とは
  2. 2.負担限度額認定を受けられる要件は「所得と預貯金等」で判断する
  3. 3.所得によって異なる利用者負担段階とは
  4. 4.負担限度額認定証をもらうには?申請の方法


1.介護保険の負担限度額認定制度とは


介護保険の負担限度額認定とは、ある要件を満たせば、介護保険施設を利用する際の住居費と食費を軽減できる制度です。

介護保険施設であればショートステイの利用でも負担軽減することができます。

負担軽減の対象となる施設
【施設サービス】
・特養(特別養護老人ホーム)
・老健(介護老人保健施設)
・介護医療院(介護療養型医療施設)
【ショートステイ】
(介護予防)短期入所生活介護
(介護予防)短期入所療養介護
【ほか】
地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養)
※グループホーム、有料老人ホームは対象外です。

軽減制度を受けられる要件は、所得と預貯金等の資産で判断します。

大まかには所得が低く、預貯金等も少ない方が対象です。詳しい要件は次の項で解説します。


2.負担限度額認定を受けられる要件は「所得と預貯金等」で判断する


負担限度額認定を受けられるかどうかは、①所得と②預貯金等から判断されます。


◆それぞれの認定要件

①所得の基準
世帯全員が住民税非課税であること。世帯を問わず配偶者も住民税非課税である。
※年金収入のみの場合は、120万円以下で住民税が非課税になります。
②預貯金等の基準
・配偶者がいない方  1,000万円以下
・配偶者がいる方  合計2,000万円以下

②の預貯金等とは、「資産性があり、換金性が高く、価格の評価(いくらか)が容易なもの」が対象です。具体的な種類はこちらになります。

・預貯金(普通・定期預金)
・有価証券(株式・国債・地方債・社債など)
・金、銀など、時価評価額が把握できる貴金属
・投資信託
・たんす預金(現金)、など

また、預金等に含まれないものは以下になります。

・生命保険、自動車、絵画、骨董品
・宝石など時価評価額の把握が難しい貴金属など

借入金・住宅ローンなどの負債があれば預貯金等から差し引きます。その場合、借用書などの確認書類の提出が求められます。


②預貯金等の基準額は、特養(特別養護老人ホーム)など、長期間の入居が想定される施設の費用を考慮して算定されています。

また、預貯金が基準金額以上ある方は限度額認定証の対象外です。


3.所得によって異なる利用者負担段階とは

負担限度額認定証を受けていても、所得などの条件で軽減される金額は変わり、これを「利用者負担段階」といいます。

4つの段階があり、第1段階が最も負担が軽く、段階が上がるにつれて負担が重くなっていきます。

第1段階

・世帯の全員が住民税非課税で老齢福祉年金受給者
・生活保護等の受給者

第2段階

・世帯の全員が住民税非課税で合計所得金額と公的年金等の収入額の合計が年間80万円以下の方

第3段階

・世帯全員が住民税非課税で上記2段階以外の方

第4段階

・1~3段階以外の方(負担軽減の対象外)


段階別の具体的な負担額は、以下のとおりです。



利用者段階別 特養の住居費負担額(※居室タイプ別)

利用者負担段階 多床室 従来型個室 ユニット型
準個室
ユニット型個室
第1段階 0円 320円 490円 820円
第2段階 370円 420円 490円 820円
第3段階 370円 820円 1,310円 1,310円
第4段階 855円 1,171円 1,668円 2,006円

※多床室は複数人が1部屋に入居するタイプ、従来型個室は1人が1部屋の個室。ユニット型とは1人1部屋の個室で、さらに10人程度のグループを1つの生活単位とし、浴室などが用意されているタイプのこと。



利用者段階別 食費負担額

利用者負担段階 食費
第1段階 300円
第2段階 390円
第3段階 650円
第4段階 1,392円

特例軽減措置について

世帯のなかに市町村民税を課税されている方がいる場合、食費、居住費の負担限度額制度の軽減はありません。

世帯のなかで、ひとりの方が介護保険施設に入所し食費、居住費を払った結果、もうひとりの方が生活困難に陥らないようにするため、下記の条件に該当する場合に食費、居住費(片方または両方)について負担を軽減できる制度です。

・世帯人数が2人以上。
・世帯の年間収入から施設の利用者負担※の見込額を除いた金額が80万円以下の場合。
 ※介護サービスの利用者負担、食費、住居費
・世帯の現金・預貯金等の額が合計450万円以下の場合
・介護保険施設に入所(入院)し、第4段階の食費・居住費を負担していること
 ※ショートステイは適用されません
・住んでいる家屋など日常生活に必要な資産以外に利用できる資産がないこと
・介護保険料を滞納していないこと

>特別養護老人ホーム(特養)の費用・負担を軽くするには


4.負担限度額認定証をもらうには?申請の方法

提出に必要な書類

●介護保険負担限度額認定申請書・同意書(所定の用紙に記入します)

●預貯金等の残高がわかる通帳のコピー等

●マイナンバー確認書類やその他添付書類


申請の手順

まずは申請書・同意書・提出に必要な書類を用意します。

 提出方法:郵送または持参

 提出先:各市区町村の介護保険課 担当窓口


提出書類に不足や不備がなければ、受付後おおむね1週間程度で結果がでます。

各市区町村で要する日数が異なります。急ぎの場合は直接担当部署に問い合わせましょう。


第1~第3段階に該当すれば、介護保険負担限度額認定証が交付され、非該当(第4段階)であれば、その旨通知されます。


その際に預貯金等が確認できるものも一緒に提出します。

種別ごとの確認書類は下記の通りです。

預貯金等に含まれるもの 確認方法(申請書に添付・直近2か月以内)
預貯金(普通・定期) ・通帳の写し
・インターネットバンクの場合は口座残高ページの写し
有価証券(株式・国際・地方債・社債など) 証券会社や銀行の口座残高の写し
(WEBサイトの写しでも可)
金・銀・(積立購入を含む)など、購入先の口座残高によって直評価額が容易に把握できる貴金属 購入先の口座残高の写し
(WEBサイトの写しでも可)
投資信託 銀行、信託銀行、証券会社当の口座残高の写し
(WEBサイトの写しでも可)
たんす預金(現金) 自己申告     

(厚生労働省 平成26年介護保険法改正 周知用リーフレットより)

申請書類は、市区町村窓口はもちろん最寄りの地域包括支援センターでも受け取ることができます。市区町村のサイトからでもダウンロードできるので確認してみましょう。


申請時に注意すべきこと

申請書や資産の申告に不正があった場合や故意に非課税年金(遺族年金・障害年金)の

支給額を申告しないなど不正に負担軽減を受けた場合は加算金(※2)を支払うことになります。申請及び資産の申告は正しく行いましょう


(※2)加算金:不正に負担軽減を受けた場合は、これまでの負担限度額の2倍の金額を加算金として納めることになります。これまでの負担減度額も含めて全部で3倍分の費用を支払うことになります。


負担限度額認定証の有効期間は1年で更新が必要

負担限度額認定証の期間は1年間です(8月1日から翌年7月31日まで)。

毎年更新が必要ですが、1度認定を受けていれば、毎年更新月が近くなると更新のための

書類が送付されます。資産や収入の増減があれば限度額の段階も変わりますので、しっかりと確認しながら更新手続きをおこないましょう。

新規申請の場合は認定証の適用開始年月日は申請した月の初日からになります。

(例)9月10日に新規申請に認定された場合

   9月1日から翌年7月31日まで有効期間の認定証が発行されます


*****

いかがでしたでしょうか。

負担限度額認定証を受けることで介護費の負担が軽減されます。

初めて介護保険施設へ入所を予定している場合やショートステイを利用する際には、担当ケアマネジャーに確認を取りながら申請の手続きを進めてみてください。



イラスト:安里 南美

このQ&Aに回答した人

笠原 洋子
笠原 洋子(2級ファイナンシャルプランニング技能士)

川崎市在住。神奈川県内の私立中学・高等学校で15年間保健体育と家庭科の教職に就き、生徒への金銭教育の必要性を感じFP資格を取得。銀行での営業職を経て旧共済年金の厚生年金への一元化や年金に関するテーマのセミナー講師業を立ち上げました。
趣味は温泉。特に「にごり湯」が好きで箱根によく出かけます。また猫が大好きで岩合光昭さんの写真展に必ず行きます。