質問

現在入居している老人ホームにずっと住み続けたいと思っていますが、ホームを退去しなければならなくなることがあると聞きました。
どういった場合に退去しなければならないのでしょうか?

回答
西村 英記

老人ホームは終身契約(死亡するまで)ではないので、入居後の身体状態などの変化によっては途中で退去しなければならない場合があります。
基本的に入居者に不利になるような退去要件は認められていません。
しかし、入居者本人に問題がある場合は要件に該当すると判断し、ホーム側から退去を求められることがあります。
ここでは、老人ホームを退去することになるのがどんな場合なのかを確認し、どういったことに気をつける必要があるのかを見ていきましょう。 西村 英記(介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価)

【目次】
  1. 老人ホームを退去しなければならない状況
  2. 老人ホームが規定する退去要件は大きく4つ
  3. 老人ホーム退去時に注意すべきこと
  4. まとめ

老人ホームを退去しなければならない状況


「退去」と一言でいっても、どういった理由で退去に至るのか様々な場合が考えられますが、大きくは下記の三つに分類できます。

①老人ホームが規定する退去要件に該当したとき(体調急変で入居困難、契約書に虚偽の記載をした、など)

②本人や家族が退去を望んだとき(介護サービスへの不満、ホームの生活に馴染めない、など)

③倒産など、老人ホーム側の運営に問題があったとき



①や②は、入居者本人・家族の意思や問題として扱うことができますが、③のように入居者に非が無くとも退去となることもあります。

例えば事業主体である法人が倒産、経営譲渡、業務縮小するなどの理由で、ホームに居続けることが出来ない場合があります。こういった場合は、入居一時金が保全(未償却金の利用者返還)されているかどうかを必ず確認しましょう。



老人ホームが規定する退去要件は大きく4つ

各老人ホームによって多少の差はありますが、大まかに以下のような場合が「退去要件」として契約書や重要事項説明書に記載されています。


①他の入居者への迷惑行為

暴力、暴言、大声で奇声を発するなど、他の入居者や職員等に危害を及ぼす、あるいは及ぼすおそれが非常に高く、通常の介護方法では防止することが出来ない場合です。

原因としては、認知症などの症状に起因する場合も考えられますが、もともとの本人の性格上の問題や、生活環境が変わったことによるストレスが原因で起こる場合もあります。


②各種費用が支払えない場合

本人の経済状態については入居時に確認されますが、入居後の経済状態の変化により、月々の費用を支払えなくなる場合が考えられます。

どうしても本人に支払い能力が無い場合は、連帯保証人や身元引受人に請求が行くことになります。


③入居者に重度な医療行為が必要になり対応できない

提携先の病院がホームの近くにあっても、実際にホーム内で高度な医療対応が出来るとは限りません。予めどれくらいの医療依存度まで入居可能なのか、入居契約前によく確認しておくことが必要です。


④入居者の長期入院

長期(一般的に「3か月以上」とされるところが多い)にわたりホームの居室を空けて入院したままの状態だと、ホームへの復帰が困難と判断され、退去を求められることがあります。

「本当はホームへ戻りたいのに病状が回復せず戻ることができない」といった場合が多いです。




老人ホーム退去時に注意すべきこと

退去に伴って、引っ越し作業が必要になることはもちろんですが、その他にも必要な手続きが生じてきます。

①入居一時金など返還される費用について

 入居時に入居一時金を支払っていた場合、入居期間に応じて未償却分が返還されます。返還金の計算方法は契約書・重要事項説明書に記載がありますので必ず確認しましょう。

分からない部分については、直接ホームの担当者に確認して疑問点を解決することが必要です。


②居室の原状回復の範囲と費用について

 契約書に、「通常の使用に伴い生じた居室の損耗を除き、居室を原状回復すること」のような記載がされていることが多いです。入居期間内の自然劣化に伴うものは通常はホーム側が負担することになりますが、損傷の原因が入居者の故意や過失による場合は、入居者の負担となります。

原状回復の内容や方法についてトラブルが生じた際は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしているホームが多いです。


 

まとめ

もし退去することになっても、本人やその家族側と老人ホーム側の双方が納得して次の住まいに移っていくことが理想的です。

老人ホームとの入居契約は、終身入居を確約するものではありませんので、自分がトラブルを起こさない、トラブルに巻き込まれないためにも、退去要件を予め把握しておきましょう。

また、入居契約前に、これまで退去になった方の具体例を聞き、どういった状態になると退去なのかをホーム側に確認しておきましょう。併せて、万が一事業者が倒産した場合は、入居時に支払った入居一時金が返還されるのかも確認しておくなど、予期せぬ事態に備えましょう。

入居時に説明を聞き逃していたり理解不足や確認不足にならないよう、入居前にはしっかりと説明を聞き、不明点を解消しておくことが必要です。

専門的な言葉など、分からない点は担当のケアマネジャーや役所の窓口、地域包括支援センターの相談員といった専門家に相談されることをお勧めします。

このQ&Aに回答した人

西村 英記
西村 英記(介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価)

かず総合コンサルティング研究所/エリアマネージャー
行政書士法人御池事務所/行政書士
これからの人生を楽しく過ごすための終活トータルサポートを行う。