老人ホームの失敗談|後悔しない選び方のポイントを解説!

老人ホームに入居してから「こんなはずではなかった…」と後悔するケースも存在します。

私たちLIFULL 介護の入居相談室にも「今入居している老人ホームから転居したい」というご相談をいただくことも。

今回は、そうしたケースの中からよくある「老人ホーム選びの失敗談」を集めてみました。そのうえで、老人ホーム選びに失敗する原因選び方のポイントと、転居したいときにどうすればいいのかを解説します。

老人ホーム選びの失敗談

まずはLIFULL 介護入居相談室に寄せられる、「こんなはずではなかった」というリアルな声を紹介します。

「安い」で即決したためツライ生活に

ついつい料金の安さに飛びついてしまった。しかしその結果、介護職員が不足していて毎日散歩に行けると聞いたのに結局行けない、助けが必要な時にサポートしてもらえないなど、快適な介護生活とは程遠い生活を強いられるハメになった

老人ホームは決して安い買い物ではありません。しかし「安さ」のみで決めてしまい、サポート態勢やスタッフの質を確認せずに入居してしまうと、納得したサービスを受けられず後悔してしまう例もあります。

やはり費用と同時に、必ず見学をして入居する老人ホームを見極めることが大事です。

食事についてチェックせず入居。食事の不味さが理由で転居

食事なんてどこも病院のようで同じだと考えていたため、あまり重視せず、内容を確認せずに入居を決定しました。その結果1日3度の食事が口に合わず、ストレスだと感じるほどに。結果的に転居することにしました。転居先施設の食事は、選ぶ施設によってここまで差があるのかとういうくらい食事内容もバラエティに富んでいて驚きました

老人ホーム探しの際に意外と軽視されてしまう食事。しかし毎日のことなので、快適で満足できる老人ホーム生活には非常に重要なポイントなのです。

必ず食事の内容を聞く、または試食するなど入居の前に確認することをおすすめします。

急いで選んでしまい、希望していたサービスが受けられなかった

身体の状態が悪く、入院先から自宅に戻れないため老人ホームを探すことに。退院まで時間がなく急いで選んだ結果、人員体制が整っていない老人ホームに入居して、希望だったリハビリを受けることができなかった

入居までに時間がなく、老人ホームを探される方は非常に多いです。時間がないと、とにかく「入居する」がゴールになってしまうため、入居した後の生活をイメージしながら探すことが難しくなってしまいがち。

入居先をいろいろと比較する余裕があるうちに、ある程度目星を付けておくことで、いざというときに慌てなくて済むでしょう。

安いと思って入居したのにトータルで予算オーバー

見学で施設の方に説明された時は「安い」と思って入居しましたが、実際には介護保険の自己負担額やレンタル料金など追加で必要な費用が多く、思いの外トータルコストが高くなり予算をオーバー。結果的にこのままでは金銭の工面が難しいため、転居することになった

同じようなパターンで、サービス付き高齢者向け住宅などの高齢者住宅から介護付きの施設に転居するケースが多くなっています。

このようなトラブルを防止するために、見学時には同様の要介護度の方が入居した後、トータルでどれほど支払っているのかを確認してみましょう。

面会に行く側の利便性を考慮していなかった

この街が気に入っているはずと思い、本人がこれまで住んでいたエリア近くで入居先を探しました。面会にいく家族からは遠い場所でした。まだ身体が元気なときは月1回程度の面会頻度でしたが、要介護度が上がってきたら頻繁に家族が呼び出されるようになり、その都度足を運ぶのがとても大変で負担となった

病気や加齢とともに介護の度合いが高くなることは十分に起こり得るケースです。

本人の希望や嗜好に合わせることも大切ですが、これから介護をする家族や親族の負担や、生活スケジュールなども考慮して老人ホームを探す方が安心でしょう。

ホーム側からの説明を気にせず選んだ

要介護度が重くなったら転居が必要という施設に入居しました。スタッフからの説明は十分にありましたが、家族はその点を軽視してしまい、逆に「外出や面会の自由さ」のみで選んでしまいました。入居後まもなく要介護度が上がってしまい、急遽転居すること。次の転居先施設を探す時間が十分に取れず、理想のエリアから離れた場所へ転居することに

要介護度が重くなることは誰にでも起こりうるのでめずらしくはありませんが、入居当時身体が元気だと、楽観視しがちです。状態が変化した時のことを想定して、老人ホームを探すことをおすすめします。

老人ホーム選びを失敗する原因

老人ホーム選びで、上記のような失敗をしてしまう原因はどこにあるのでしょうか。多くの失敗談の中から、傾向を挙げてみます。

  • 決断が早すぎる
  • 安さを重視しすぎる
  • 本人の意向・嗜好を無視
  • 家族・親族間の話し合いが不十分
  • 将来的な見通しを立てずに決めてしまう
  • CMを見たから、看板を見たからで決めてしまう

それぞれについてくわしく解説していきます。

決断が早すぎる

老人ホームは、複数の施設を見学したうえでしっかり比較・吟味することが大切です。最低でも3~4箇所は見学したほうがいいでしょう。

決断が早すぎると、入居してから「思っていた生活と違っていた」と、なりかねません。体験入居や周りの意見・実際に入居している人の話を聞くなどして、慎重に決めるほうが期待外れになることは少ないでしょう。

老人ホームによっては即決を求めてくるところもあります。そのようなところは、入居者が納得するまで向き合う姿勢に欠けており、介護の質もあまり期待できません。

緊急性が高いほど「即日入居可」や「空室残1室」などに反応して契約してしまいがちです。老人ホーム選びは、まだ身体が元気なうちから下調べしておくほうがいいでしょう。

金額を重視しすぎる

老人ホームにかかる費用をできるだけ安く抑えたいと思う人は多いでしょう。

もちろん、無理な支払い計画のまま入居してしまうことはお勧めできません。しかし、入居後の生活をイメージせず、安さだけで選んでしまうと、後悔してしまう場合があります。

料金の安さだけでなく、入居者のライフスタイルと照らし合わせて、「そこで充実した生活を送れるかどうか」を判断材料にすべきでしょう。

また、一見「安い!」と感じても、追加で支払うコストがかさむケースも。入居にかかる費用は、トータルコストで考えるようにしてください。

見学時に、実際の金額をシミュレーションしてもらう、または入居者が実際にいくら支払っているかなどを確認すると安心です。

本人の意向、嗜好を無視

老人ホームは、入居する本人ではなく家族が探すケースが多いため、ミスマッチが起こりやすいので注意が必要です。家族がいいと思っても、入居する本人の希望する生活と大きくかけ離れていれば、充実した老後生活とはいえません。

例えば食べることが好きでグルメにこだわりがある方に対し、食事に関してあまり重きを置かずに施設を選んでしまうと、入居後食欲が減退し元気がなくなってしまうこともあります。

もちろん面会や頻繁に足を運ぶであろう家族の意見も必要ですが、本人の意向をすべて無視することのないようにしましょう。

これまで遠方で離れて暮らしていたり、疎遠だったりで、本人の嗜好がわからない場合は、周囲の人の話から探り、できる限りマッチしそうな施設を選びましょう。

家族・親族間の話し合いが不十分

親族や家族との話し合いが不十分だと、例えば自分は納得していても、親族、兄弟姉妹が老人ホームへの不満を貯めてしまう場合があります。認識のズレは、介護の役割負担の偏りを生むことも。そこで、老人ホーム探しには積極的に親族や家族を巻き込むことをおすすめします。

将来的な見通しを立てずに決めてしまう

将来何が起こるかは分かりませんが、さまざまな可能性を考慮しておかなければ、いざという時に慌てることになります。

急に身体の状態が悪くなったり、特定の疾患にかかったりすることは、誰にでも起こり得るのです。また無理な資金計画を立ててしまうと、お金が不足して途中で退去せざるを得なくなることも。

要介護度が上がった場合、想定以上に長生きしたような場合でも金銭面は問題ないかなど、十分に吟味して決めるようにしましょう。

 CMを見たから、看板を見たからで決めてしまう

大手で知名度が高いからといって、すべての人に満足できる施設とは限りません。知名度が高いことは悪いことではありませんが、自分の希望に合っていて自分の生活が充実できそうかどうかをしっかり見極めることのほうが大切です。

実際に、老人ホームの選び方がわからずに、「CMでよく見るから」「知名度が高いから」と言う理由で、選んでしまう人は意外と多いのです。

このように選び方を間違って入居に至ると、満足な生活ができず、結局退去して探し直すなど無駄が多くなってしまいます。ブランドに惑わされず、自分の要望や優先したい条件などを明確にしたうえで、フラットな目線でしっかり見学し、自分の五感で確かめましょう。

失敗しない老人ホームの選び方のポイント

【失敗しない老人ホームの選び方】

  • ケア体制やサービス内容を確認する
  • 職員の離職率を確認する
  • 他の入居者がどんな人たちか確認する
  • 食事を実際に食べてみる
  • 老人ホームの種類を把握しておく

あとからこんなはずではなかったのに…ということがないように、それぞれの内容を確認しておきましょう。

ケア体制やサービス内容を確認する

ケア体制やサービス内容は施設ごとに異なるため、希望するサービスが用意されているか、充実しているかどうか確認するようにしましょう。

例えば以下のようなサービスは、とくに確認が必要な大切なポイントです。

  • 看取りケア
  • リハビリサービス
  • 外出の自由度
  • 認知症ケア
  • レクリエーションの充実度
  • 面会の頻度

認知症や特定疾患のある方は、受け入れに制限があることも。施設ごとに確認してください。

老人ホームには様々な種類がありますが、同じ施設種別でも提供されているサービスや共用設備などが異なります。そのため、複数の施設を比較してじっくりと検討しましょう。

職員の離職率を確認する

介護職員の離職率は、厚労省の「介護事業所・生活関連情報検索」サイトを見ることで、前年度に退職した職員の人数などからわかります。

ただし、自治体によってはサイト上で情報を公開していないことも。その場合は見学で直接尋ねてみると良いでしょう。

介護職は離職率が高い職種と言われており、平均離職率は14.9%(2020年介護労働実態調査)です。入居者にとっても、介護職員が働きやすい環境の施設では笑顔で対応してもらえるので、落ち着いて安心してくらせます。各施設職員の離職率をこの数値と比較し、1つの判断材料としましょう。

ほかの入居者がどんな人たちか確認する

施設にすでに入居している方の平均的な要介護度を確認しておくといいでしょう。入居後にどの程度入居者同士の交流が期待できるかの目安になるためです。

あまり介護が必要でない方が、寝たきりの入居者が多い施設に入ると、なかなか交流できずに寂しい思いをする可能性があります。

このほか入居者たちの表情がイキイキしているか、楽しくなさそうかを確認すると、施設の雰囲気を把握しやすいでしょう。

食事を実際に食べてみる

食事は1日3回提供されるものなので、満足のいく老人ホーム生活を送るうえで欠かせないポイントです。入居を決める前に、実際に提供される食事をできる限り試食して判断しましょう。

施設によっては事情により試食できないこともあります。その場合は食事内容を写真で見せてもらったり、入居者の食事風景を見学したりして確認しましょう。また食事の提供体制についても、セントラルキッチンで作ったものを老人ホームで温めているのか、施設内で調理しているのかなども見ておくと安心です。

老人ホームの種類を把握しておく

老人ホームにはさまざまな種類があるため、それぞれの特徴について大まかに把握しておくと、選ぶ際や説明を受ける際に理解しやすいでしょう。老人ホームの種類と特徴について、以下の表にまとめました。

老人ホームの種類 概要・特徴
公的 特別養護老人ホーム(特養) 介護を受けて日常生活を送ることができる、原則要介護3以上の方向け。費用が安く人気があり、終身利用が可能。
介護老人保健施設(老健)

病院退院後に自宅での生活が難しいなど、医療ケアやリハビリが必要な要介護1以上の人向け。

原則3〜6か月の短期利用。

介護医療院・介護療養型医療施設

要介護1以上で、医療と介護を受けて療養生活を行う人向け。

介護療養型医療施設は2024年3月までに介護医療院に転換される。

軽費老人ホーム/ケアハウス 要介護者・自立者どちらにも対応。「一般型」と「介護型」の2タイプ。終身利用が可能な施設もある
民間 介護付有料老人ホーム 概ね65歳以上の方が対象。手厚い介護ケアが受けられる施設や自立者向け施設もある。
住宅型有料老人ホーム 食事や掃除、洗濯などの生活援助サービスを受けて生活できる。介護は外部サービスを利用。
グループホーム 要支援2以上の認知症の方向け。可能な範囲で役割を持ち自立した生活を目指す。5~9人の少人数制。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 60歳以上の方が入居できるバリアフリーの賃貸住宅。安否確認と生活相談サービスが提供されている。
シニア向け分譲マンション

高齢者が暮らしやすいバリアフリー設計の分譲マンション。

食堂やレストランがあり、生活支援サービスを受けられる。

公的施設は社会福祉の観点から、要介護度の重い方や低所得者への支援を重視しているため、民間と比較すると料金は低めに設定されています。一方で、民間の施設はさまざまなニーズに応えられるように、多種多様なサービスが提供されており、料金に幅があります。

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入居から90日以内なら、クーリングオフが適用!

入居後にやっぱり合わないかも、失敗したかも……と思ったら、クーリングオフ(短期解約特例)制度が適用されることは押さえておきましょう。

入居から90日以内の退去であれば無条件で契約を解約できるのです。入居して90日以内に逝去し退去(死亡退去)となった場合も、クーリングオフが適用されます。

クーリングオフで返還される対象となるのは、最初に支払う入居一時金です。ここから実際に入居した日数分の日割りの利用料金を差し引いた金額が返還されます。

クーリングオフが何月何日まで適用されるのかを、入居契約時に必ず確認しておきましょう。

なお、有料老人ホームにおいて入居一時金はかなり高額なことが多い一方、近年では入居一時金がかからない老人ホームが増えています。入居一時金なしの場合、クーリングオフはありません。

老人ホームのクーリングオフについて詳しく知りたい方はこちら

まとめ

ここでは多くの人が経験しがちなリアルな失敗談をまとめましたので、ぜひ、後悔しない施設選びの参考にしてください。老人ホームの選び方で、入居後の生活の満足度は大きく異なります。入居後にどんな生活を送りたいのかをハッキリさせたうえで、様々な老人ホームを比較し、じっくり選ぶことが大切です。

入居後の生活について具体的に想像する、また複数の施設を検討するには、専門家の力を借りることも有効です。LIFULL 介護では高齢者住まいアドバイザーの資格を持ったスタッフが、納得の施設選びをサポートいたします。

LIFULL介護相談窓口

専門スタッフが介護施設についてご相談をお受けします。

0120-652-140( 9時~18時、土日祝日休み )

この記事の制作者

岡本典子

監修者:岡本典子(ファイナンシャルプランナー/CFP、1級FP技能士)

FPリフレッシュ代表。
シニアライフを安心して暮らせる高齢者施設・住宅への住み替えコンサルに注力。
セミナー講師・講演、執筆、監修も行う。著書に『イザ!というとき困らないための 親の介護と自分の老後 ガイドブック』(ビジネス教育出版社)などがある。

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