介護ベッドの選び方と安全な使い方のポイントとは

介護用ベッドが必要になったとき、どうやって選べば良いのでしょうか。

介護用ベッドは購入すると高額ですが、公的介護保険を使うと安くレンタルすることができます。

一方で、体の状態や用途に合ったベッド選びの大切さはあまり知られていません。

ここでは、体の状態や用途に合わせたベッドとマットレスの選び方、安全に使うために気をつけたいポイントを解説します。

介護用ベッドの種類

介護用ベッドには、大きく分けて以下の3種類があります。(メーカーによって異なる場合も)

1モーターベッド
背上げ、または高さ調節の機能付き
2モーターベッド
背上げ&高さ調節の機能付き、または背上げ&足上げ調節の機能付き
3モーターベッド
背上げ&足上げ&高さ調節の機能付き

これらの中から、必要な機能を選んでいきます。

体の状態や用途に合わせたベッドの機能の選び方

体の状態や用途に合わせたベッドの機能の選び方は、以下のように整理することができます。

・ベッドから起きるのが大変
・ベッド上でTVを観たり、食事をとったりする必要がある
背上げ機能
・ベッドから立ったり、腰かけたりを安定して行いたい
・オムツ交換などの場面で介助者の腰にかかる負担を減らしたい
・ベッドの下を掃除しやすくしたい
高さ調節機能
・足のむくみを減らしたい
・背上げをしたときに体が足側にずれるのを防ぎたい
足上げ機能

ベッドの機能を選んだら、次にマットレスを選びます。

マットレスの種類と選び方

マットレスにも、大きく分けて以下の3種類があります。

  1. 高反発マットレス
  2. 低反発ウレタン製マットレス
  3. エアーマットレス

体の状態や用途に合わせたマットレスの選び方は、例えば以下のようになります。

ベッドでの寝起きや立ち上がりが安定している 寝心地の良さを優先
おすすめ:低反発ウレタン製マットレス
ベッドでの寝起きや立ち上がりがやや不安定 寝起きや立ち上がりのしやすさを優先
おすすめ:高反発マットレス
自分で寝返りがうてない
脊髄損傷などにより感覚障害が強い
褥瘡(じょくそう:床ずれのこと)予防を優先
おすすめ:エアーマットレス

介護用ベッドを使い始めるとき、多くの場合はレンタルをお勧めしています。

これは、その後の体調変化によっては必要となるベッドが変わる可能性があるためです。

介護用ベッドとマットレスは原則、要介護2~5の方が公的介護保険(レンタル)の対象となります。

ただし、要支援1・2、要介護1でも例外的に認められる場合があります。自治体やケアマネジャーなどに相談してみてください。
 

ベッドのサイズと高さの合わせ方

選んだベッドをさらに体に合わせるために、次の3点についても考えてみましょう。

ベッドのサイズ
介護用ベッドとマットレスの幅には、いくつかのサイズがあります。幅が広ければ動きやすく、狭ければ介助しやすくなります。
ベッドの高さ
立ち座りがしやすく、座っている姿勢も安定しやすいのは、ベッドに腰かけたときに骨盤より膝がやや低い位置になる高さです。
ベッド用グリップを利用する
一般的によく取り付けられるサイドレールは、あくまでも寝具のずれ防止とベッドからの転落防止が目的です。
寝起きや立ち上がるときに何かにつかまる必要がある場合は、しっかり固定できてL字型にもできるベッド用グリップを選ぶと良いでしょう。

安全に使うためのポイント

介護用ベッドは、ベッドから転倒・転落したりサイドレールとマットレスの間で挟まれたりするなどの事故が報告されています。

安全に使うために、以下のことに注意してください。

  • 1 腰かけたときに足元が滑りにくい。
  • 2 体の状態に合ったベッド柵を選んでいる。
  • 3 ベッド上部を起こしたときにサイドレールとマットレスの間に腕や頭が挟まれない。

元気な方は家庭用ベッドや布団の活用も

体の状態によっては、介護用ベッドだけではなく家庭用ベッドや布団を使うという選択肢もあります。

例えば、背上げや高さ調節などの機能が必要ない場合、家庭用ベッドに差し込めるサイドレールや据え置き型の手すりを使うという方法が考えられます。

また、床からの立ち上がりができる場合は、慣れた布団に据え置き型の手すりを組み合わせる方法もあります。

まとめ

起き上がりが大変なのに背上げ機能を使っていない、ベッドが低くて立つのに苦労している。そんな方々を見かけることがあります。

他にも、マットレスが柔らかすぎて起き上がれない、サイドレールにつかまって立とうとしてバランスを崩すような場面を見かけることがあります。

この記事が、体の状態や用途に合ったベッドを選ぶ際の手助けとなれば嬉しく思います。

今はベッドの種類も豊富です。家具調でデザイン性の良い物もありますので、ぜひ、自分らしいベッドを探してみてください。

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この記事の制作者

安藤 岳彦

著者:安藤 岳彦(介護老人保健施設ひまわりの里 リハビリテーション部長)

認定理学療法士(地域理学療法、健康増進・参加)、中級障がい者スポーツ指導員
1999年秋田大学医学部付属医療技術短期大学部理学療法学科を卒業。
医療法人社団三喜会鶴巻温泉病院に勤務。介護老人保健施設ライフプラザ鶴巻、医療法人篠原湘南クリニッククローバーホスピタル、医療法人社団佑樹会・介護老人保健施設めぐみの里の開設を経て、現職。療養・生活に寄り添うリハビリ専門職として、日々の業務に従事しています。

所属先介護老人保健施設ひまわりの里

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