【はじめての方へ】変形性膝関節症の有病者は2500万人|原因と症状・予防法まで
「変形性膝関節症」の有病者数は約2,530万人、受診者数は約1000万人にのぼります。どのような病気で、何か原因で発症するのでしょうか。
具体的な症状や予防法を解説します。
変形性膝関節症はどうして起こる?
膝関節軟骨がすり減ることで炎症を起こし、痛みや腫れ、関節の変形や、動かしにくさがあらわれるのが変形性膝関節症の特徴です。高齢者に多く、男女比は3:7の割合で女性が多く、40歳以降に発症し加齢とともに罹患率は高くなります。
体重がかかる関節は特に要注意!
体の中でも体重の負荷がかかりやすい荷重関節である膝関節は変形性関節症になりやすい部位です。ほかにも股関節があげられますが、全体の40分の1程度でほとんどが変形性膝関節症です。
60歳代の女性の約半数が変形性膝関節症といわれ、80歳以上では8割以上の女性が罹患している高齢女性に特に多い疾患です。
痛みの症状が現れたらまずは病院へ
主な症状は膝関節の痛みと水がたまることによる腫れ、熱感、膝関節の伸ばしづらさです。
初期症状として、動き始めの痛み(椅子から立つ時、歩きはじめなど)があります。しかし休めば痛みがすぐに治まったり、湿布を貼ることで痛みが和らぐので、病院を受診しようと考える人はあまりいません。
このときに病院を受診するかしないかでその後の症状が左右されます。
進行すると、徐々に正座や階段の昇降が困難となり、歩行時には常に痛みを伴うようになります。
最終的には安静にしていても痛むようになり、関節の変形や可動域制限(膝が伸びきらない)により歩くことができなくなり、日常生活を送ることが困難になります。
関節疾患の予防
- いま症状がなくても、極端なO脚やX脚の方、親や兄弟姉妹のなかで変形性膝関節症にかかった人がいる場合は注意しましょう。
- 日常生活は正座を避けて、椅子や洋式便器を使うなど工夫し、膝に負担をかけないようにこころがけましょう。
- 重いものを背負って長距離歩行することは禁物。歩行にはクッション性のある靴底のスニーカーがおすすめです。
- 膝に負担をかけない水中ウォ―キングやエアロバイクなどの運動で膝周りの筋肉を鍛え(特に大腿四頭筋)ましょう。
また両方の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症は特定疾病に指定されています。40~64歳未満でも「変形性関節症」を発症した場合は「2号保険者」として、介護保険が適用され、要介護認定の対象となります。
初期症状を放置せず早めの受診を
約2,500万人の有病者がいる変形性膝関節症。高齢者の膝の痛みはこの病気が原因の可能性があります。初期の痛みは休息や湿布で治まることから、放置されがち。しかし、痛みの症状がでたらまずは病院へ行き、医師に相談することが進行の予防につながります。
イラスト:坂田優子
この記事の制作者
著者:橋本 優子(看護師編集者)
大学卒業後、出版社にてビジネス誌の編集に携わる、その後、出産をきっかけに看護師資格を取得。病院勤務後、「看護」「医療」の知識を活かした情報発信をするため、現在は健康に関する記事の企画、取材、執筆、編集までを行う。
監修者:上野 正喜(医療法人社団慶泉会 町田慶泉病院 副院長)
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本専門医機構脊椎脊髄外科専門医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本骨粗鬆症学会認定医