【フレイル・感染症予防】高齢者が注意すべき8つの生活様式

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言は解除され、感染予防のための「新しい生活様式」を取り入れて日常生活を送る時代となりました。

シニア世代は感染すると重症化しやすく、引き続き自粛への意識が強く働いてしまい、本来の健康への取り組みが損なわれてしまいがちです。

そこで、「シニア世代が気を付けたい・新しい生活様式」をまとめました。感染予防と、フレイル(虚弱)予防、介護予防を一体ととらえた8つのポイントを解説します。

シニア世代が気を付けたい・新しい生活様式

「新しい生活様式」といっても、今まで取り組んできたよい生活習慣を一から変えるというものではありません。

感染を恐れるあまり慎重になり過ぎて、結果として不健康な状態を招かないように、持病のある方は従来どおり主治医の指示に従いましょう。

今までの日常生活を維持して健康的な生活を送ることは、フレイルシニア世代にとって、まずは優先されるものです。

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①水分補給

からだの水分が不足することは脳梗塞、熱中症、心筋梗塞などを引き起こす原因ともなるため、日頃よりこまめな水分補給は欠かせません。

脱水の状態は自分では気づきにくいので、朝起きて目覚めの1杯、寝る前の1杯、トイレに行ったら1杯、入浴前後、帰宅したら1杯など、一行動ごとに1~2杯の水分を摂るようにしましょう。水分は、コーヒーやお酒ではなく、お水、麦茶、緑茶、ウーロン茶がおすすめです。

加えて、感染症対策として、水分補給の前にはブクブク・ガラガラうがいをしましょう。飲み込む力を鍛える効果もあるのでおすすめです。

②食事

複数の人が触れる大皿料理や回し飲みは、感染を広げるきっかけとなりやすいです。感染予防のために避けましょう。

また、食事は健康維持の基本。食欲があって、お腹がすいて、食べたいものが思い浮かべられる、ということが大切です。

特に高齢者はたんぱく質が不足しがち。

高齢者が1日に必要なたんぱく質量は、『1.0g~1.2g』×体重(kg)です。例えば、体重50kgの人は50~60g/日が目安となります。

たんぱく質が豊富な肉、魚、卵、納豆、牛乳を毎日まんべんなく、それぞれ片手のひら一杯分は食べるように心がけましょう。

さらに、時間を決めて三食をきちんと食べることで、生活のリズムを崩さないようにすることも大切です。新型コロナウイルスの症状として、味がしない、においがしないなども報告されています。味覚や嗅覚に異常を感じたらかかりつけ医に相談してみましょう。

③運動

外出を長く控えていてしまうと、体力や筋力の低下が心配です。予防のためにも、朝、天気がよければ一度は外に出て、深呼吸や軽い散歩、ウォーキングなどを習慣化しませんか。このほか、ラジオ体操もおすすめです。少人数やひとりでもできることを見つけて、毎日続けましょう。

また、新しい生活様式では人との会話が減るため、口周りの筋肉の衰え「オーラルフレイル」も気になります。そこで、大きく口を動かして、「パ・タ・カ・ラ」と10回発音するパタカラ体操を行いましょう。お口周りや舌の筋肉が鍛えられ、誤嚥(ごえん)予防にも効果的です。 

④病院の受診

新しい健康管理として、毎朝の体温測定と記録で、体調の変化に気付けるようにしておきましょう。発熱などがあって受診に迷うときは、事前に医療機関に電話で確認して指示を仰いでください。

新型コロナウイルスに感染・発症した場合には、「誰と、どこで」といった行動の情報が重要となるので、外出の際は簡単にメモしておきましょう。

一方、地域の感染拡大の状況によっては、不要不急の受診を控える必要があります。定期受診の際に、日頃から飲んでいる薬の処方日数を増やせないか、電話再診を利用できないか、かかりつけ医と相談しましょう。

⑤買い物

新しい生活様式では、スーパーなどの空いている時間を見計らい、買い物するようにしましょう。外出を控えるために、宅配の利用や家族に買ってきてもらうなどの工夫も、感染予防につながります。

外出する際には、事前に外出先の情報を電話などで確認しておくと安心です。従来の慣習から思い込みで外出してしまうと、店舗の営業時間が短縮されているなどして、後悔することがあるかもしれません。

⑥公共交通機関での移動

風邪症状がある日は、外出を控えましょう。万が一自分が感染していたときに感染を広げないため、公共交通機関を利用するときには同行者とのおしゃべりを控え、車内換気などがされているか確認しましょう。

また、自分が感染しないために、「密閉」「密集」「密接」になりやすい朝夕の通勤時間帯を避けることも大切です。

⑦新しい冠婚葬祭の工夫

緊急事態宣言発令中は会合の大小にかかわらず、多くの冠婚葬祭でキャンセルが相次ぎました。多人数での会食は、今後もしばらくは避けることになるでしょう。帰省や墓参りなど、通例となっていた年間行事についても、ご家族で、やむを得ない場合について話し合っておくといいですね。

交流の機会が減ってしまうことがないように、テレビ電話などを活用する方法がおすすめです。

⑧孤独を防ぐ取り組み

新しい生活様式では人と接する機会が減少するため、とくに独居の高齢者は孤独に陥りやすくなります。離れて暮らす家族が定期的に電話をかけるなど、孤独を防ぐ工夫を取り入れましょう。

テレビ電話を使った「オンライン帰省」なら、顔を見て話すことも可能です。しかし、スマートフォンなどのIT機器に触れる機会に恵まれないシニアの方々もいらっしゃいます。まずは家族の代表者が帰省して、他の家族とオンラインでつなぐのもよいでしょう。また、これを機にインターネット環境を整えるのもおすすめです。

タブレット端末なども以前より安価に購入できるようになりました。通販を利用したり、リモートで友人たちと交流したりすることで、新たな生きがいづくりや、人とのつながりが生まれることでしょう。
 

感染防止の3つの基本

感染防止にむけて、外出中や帰宅時に注意したい基本項目は大きく3つ。①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗いです。

一人ひとりの心がけが、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐことに繋がります。ここではそれぞれのポイントについて解説します。

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①身体的距離の確保(ソーシャルディスタンス)

人と人との距離を「2m」空けましょう。その理由は、咳やくしゃみで飛び散った水滴(飛沫)は、約2m先まで飛んでいくからです。新型コロナウイルスはこの飛沫によって感染するため、しっかりと対策をとりましょう。

また、会話の際には、真向かいに座らない、椅子はひとつ間隔をあけて座る、レジ前では、手を伸ばした長さの2倍程度の距離を取るようにしましょう。

②マスクの着用

飛沫による感染を防ぐためには症状の有無に関わらず、外出先で人と会話をするとき、人の多い公共スペースを利用するときはマスクを着用しましょう。

また、高温・多湿といった環境下では、熱中症のリスクが高くなる場合もあるので、適宜はずして休憩することも忘れずにしてください。

③手洗い

新型コロナウイルスは飛沫だけでなく、手に付着したウイルスが粘膜に触れることでも感染します。口や鼻だけでなく、目からも感染することがあり、注意が必要です。

帰宅後、調理の前後、食事前に手洗いを習慣化しましょう。併せてうがい、洗顔、着替えも行うとさらに効果的。外出時に携帯用のアルコール消毒を持参することもおすすめです。

監修:NPO在宅医療研究会 渋井 健太郎
LIFULL介護 編集長 小菅 秀樹
イラスト:坂田 優子

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この記事の制作者

重山 三香子

著者:重山 三香子(精神保健福祉士・介護支援専門員・公認心理師)

福祉学科を卒業後、障害者施設や通所介護の生活相談員を経験。その後福祉・介護職員のメンタルヘルスに興味を持ち、働く人の心の健康である産業精神保健分野を専門に活動。
現在は障害者支援施設の運営にかかわる一方で、働く人の環境や、働き方、健康経営についても情報発信を行っている。

介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、その他介護施設や老人ホームなど、高齢者向けの施設・住宅情報を日本全国で延べ57,000件以上掲載するLIFULL 介護(ライフル介護)。メールや電話でお問い合わせができます(無料)。介護施設選びに役立つマニュアルや介護保険の解説など、介護の必要なご家族を抱えた方を応援する各種情報も満載です。
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