住宅型有料老人ホームの費用はいくら?費用内訳、平均、生活保護について説明
住宅型有料老人ホームの費用は、入居時に発生する初期費用と、毎月発生する月額費用、利用した介護サービス費(介護保険の自己負担額)があります。それぞれの内訳と、平均額、返還制度について解説していきます。
動画でサクッと住宅型有料老人ホームの特徴と費用について知る
住宅型有料老人ホームの費用の平均
全国平均 | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|
初期費用あり | 4,307,489円 | 238,828円 |
初期費用なし | ー | 154,264円 |
※LIFULL介護2022年8月31日時点掲載の住宅型有料老人ホーム料金データより集計
住宅型有料老人ホームの初期費用は0~数千万円、月額費用はおよそ12~30万円です。初期費用あり・なしの2パターンの料金プランがあり、初期費用なしの施設の方が価格帯が安いところが多く、初期費用ありと比べると平均額が安くなっています。
都道府県別の有料老人ホームの相場を見る(LIFULL 介護:掲載施設最新相場情報)住宅型有料老人ホームの初期費用の内訳
入居一時金
初期費用として発生するのは主に「入居一時金」です。こちらは居室の賃料の一部前払いになります。「入居一時金」の代わりに「入居金」「前受家賃」などと表記されることもありますが、同じように数年分の家賃の一部を前払いするものになります。
保証金/敷金
入居一時金がない代わりに、保証金(または敷金)が発生するケースもあります。主に退去する際に、居室の原状回復費用に充てられます。
初期費用の支払い方法の違い
入居一時金ありプラン
入居一時金がある料金プランは、賃料を一部前払いしておくため、月額の賃料が入居金0円のプランより安く設定されています。
一般的な有料老人ホームは、想定居住期間を60ヶ月(5年)として料金設定されています。そのため、60ヶ月分の賃料の一部を入居時に支払います。お元気な方が入居する施設や、高級施設などは、84ヶ月(7年)や120ヶ月(10年)を想定居住期間としているところもあります。その分入居一時金が高く設定されています。
入居している期間が想定居住期間を超えても、追加で賃料の前払いは原則発生しません。そのため、年齢が若いうちやお元気なうちから入居する場合は、想定居住期間を超える可能性が高いので、入居一時金のあるプランの方が総合的に安くなる傾向にあります。
入居一時金0円プラン
家賃を前払いしない代わりに、毎月家賃満額を支払うプランです。そのため、入居一時金ありのプランより月額料金が高くなります。
こちらのプランは、短期間で退去する可能性が高い場合に選択されます。例えば、特養の入居待ちで一時的に有料老人ホームに入居する転居前提の場合や、入居時点でかなり高齢となっている場合は、入居一時金のないプランを選択される方が多いです。
入居一時金の返還制度について
入居した時点で入居一時金の支払いが確定し、退去時にお金が返還されないことを「償却」といいます。各施設によって初期償却の償却率と償却期間が定められており、一定期間内に退去した場合にはそのルールに基づいて入居者あるいはその家族は返還金を受け取ることができます。
入居一時金が返還されるパターンは2つあり、戻ってく金額が異なります。
クーリングオフ
契約日から90日以内に退去するときには、入居一時金などの前払い金を全額返還してもらえクーリングオフがあります。こちらの制度は、利用者保護の観点から「厚生労働省が定めた一定の費用」とされていて、初期償却分も返金対象となります。
初期償却
初期償却とは、施設によって定められた償却率が入居した時点で償却されることです。一般的な有料老人ホームでは、初期償却を20〜30%としているところが多いです。契約から90日以内であればクーリングオフが適応されて初期償却分もの返還対象となりますが、90日を超えた場合は返還されないのでご注意ください。
償却期間
返還対象となる期間を償却期間といいます。施設によって60ヶ月(5年)、84ヶ月(7年)、120ヶ月(10年)など想定居住期間をもとに年数が定められています。償却期間を超えると、入居一時金は全て償却済なので、退去してもお金は戻りません。国の定めた基準がないため、償却期間と償却率は施設によって大きく異なり、3年以内に全額償却される施設もあれば、10年以上の長期にわたって償却していく施設もあります。
返還金の計算方法
- 入居一時金 × (1ー初期償却率)÷ 償却期間 × 償却期間の残り月数 =返還金
入居一時金は、初期償却分を抜いた残りの入居一時金を、償却期間で均等に償却していきます。
例)入居一時金300万円、初期償却率20%(60万円)、償却期間5年間(60ヶ月)の場合
施設によっては、入居一時金、入居金、入居申込金、施設協力金、終身利用権、入居保証金などの名称で初期費用が発生する場合もありますが、これらは必ずしも償却の対象とはならないので契約前に確認が必要です。
関連記事老人ホームの契約解除・クーリングオフのしくみ
住宅型有料老人ホームの月額費用の内訳
賃料 | 居室の賃料 |
---|---|
管理費 |
主に以下が含まれます。
|
食費 | 食材費 |
水光熱費 |
居室内の水光熱費 主に以下のいずれかの方法で発生します。
|
介護費用の目安
介護保険料
住宅型有料老人ホームは、自宅と同様に外部のサービスを利用します。訪問介護、訪問看護など近隣の外部の事業所との契約となります。
介護付き有料老人ホームとは違い、利用した分のみ料金が発生します。
介護サービスの利用料には限度額が設定されており、ケアマネジャーと相談して、限度額内でサービスを受けます。利用者の所得に応じて、1割~3割が自己負担となります。限度額を超えてサービスを利用した場合には、超えた分は保険が使えず、全額(10割)自己負担しなくてはなりません。
以下の金額は東京都世田谷区の1割負担の方の目安です。地域により変動します。
介護度 | 支給限度額 | 1割負担 |
---|---|---|
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 |
※2022年8月時点
介護保険外サービス
介護保険は利用できませんが、利用者が全額を負担することで受けられるサービスです。介護保険で受けられる介護サービスでは足りない分や、ちょっとしたお願いなども相談することが可能です。身体介護から、趣味の相手など、相談できる範囲が広いことも特徴です。
例
- 食事やおやつの用意
- 掃除などの身のまわりの世話
- 通院などの付き添い
- トイレやオムツ交換などの身体介護
- 買い物や外食のなどの外出の付き添い
- 会話や趣味の相手
費用負担を軽減する制度
高額介護サービス費
公的な介護保険サービスの1ヶ月の自己負担額が上限を超えると、超えた分が支給される制度です。上限額は前年の所得などによって決まり、支給を受けるには自治体への申請が必要となります。
関連記事高額介護サービス費とは!?知っておきたい払い戻し制度や申請方法
高額医療・高額介護合算療養費
医療と介護の両方を利用している世帯の負担を軽減する制度です。1年間の基準額を超えた場合に、払い戻しを受けることができます。世帯内の同一の医療保険に加入している方が合算されます。
関連記事高額医療・高額介護合算療養費とは?費用負担を軽減する制度と申請方法について
生活保護でも入居ができるのか
生活保護を受けていても、条件を満たしていれば入居の相談ができるところもあります。しかし、生活保護の受け入れについては、運営会社の方針があったり、老人ホームを開設するときに自治体から条件が出されていることがあります。生活保護の制度を利用しての入居は、自治体の許可がおりる老人ホーム・介護施設に限られるので、まずは早めにケースワーカーに相談しましょう。
生活保護の注意点
生活保護には8つの扶助があり、その中で老人ホームの入居には、生活扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助の4つが大きく関わり、月額料金が支給される扶助の範囲内に料金が収まることが前提となります。
月額費用 | 賃料 | 住宅扶助の範囲内 |
管理費 | 生活扶助の範囲内 | |
食費 | ||
水光熱費 | ||
介護費 |
介護保険自己負担額が介護扶助適用。 各介護度で定められている上限額を上回る場合は実費。 |
|
医療費 |
必要な治療に関しては医療扶助適用。 生活保護法の指定を受けた医療機関でのみ治療ができる。 |
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まとめ
住宅型有料老人ホームは、施設数の増加にともなって、費用やサービスの選択肢が増えており、入居者の状態や要望に応じて選ぶことが可能になりつつあります。住宅型有料老人ホームの特徴を把握し、どの種別が一番合うか比較してみましょう。
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