認知症は一気に進む?原因やタイプ別の進行速度、対策まで

認知症が一気に進む原因には、環境変化などの外的要因が挙げられます。基本的にはゆるやかに進むと言われていますが、注意しないと進行速度が加速することも。

対策や周囲の対応についても触れているので、参考にしてください。

認知症が一気に進む原因

急激な環境変化
考える機会が減った
行動が制限された
ミスを過度に責められた

認知症は緩やかに進行する場合が多いのですが、周囲の環境や対応によっては一気に進むこともあります。認知症が悪化する原因を把握して、進行しやすい状況を避けることが肝心。自宅での介護が困難な場合には、施設入居を検討する方法もあります。

急激な環境変化

認知症が進行すると脳の機能が低下し、周囲の状況を素早く理解することが苦手になります。環境変化が不安や恐怖による脳の混乱を引き起こし、認知症を悪化させる要因に。

下記のような出来事は認知症を一気に進める原因になりやすいと言われています。

認知症が一気に進む環境変化の例

・引っ越し
・入院
・パートナーとの死別
 など

考える機会が減った

自分で考えることが少なくなると脳の働きが低下し、認知症が進行しやすくなります。脳を使う機会を減らす原因としては、下記のようなことが考えられます。

過度なサポートで本人の考える力が衰え、認知症を進行させてしまうことも。自分で考えて行動できるよう、サポートの加減を調整することも大切です。

考える機会を減らしてしまう要因

  • 料理や掃除などの家事を家族が全てしてあげる
  • おむつを付け始めた
  • 家計の管理を家族がする

行動が制限された

ケガなどによる入院や自宅での介護によって行動を制限されると、不自由さも相まって意欲が低下し、認知症が一気に進む原因になることも。また、入院すると治療や安全上の理由で、行動が制限されたりできることが限られます。特に在宅介護においては、家族が行動を制限しがちです。

行動を制限しすぎず、誰かが付き添いをするなどして本人が自由に行動する機会も作ってみましょう。

ミスを過度に責められた

ミスや問題行動を過度に責められた結果、意欲が低下して認知症が一気に進むことも。過度に責められる恐怖から、行動する意欲自体がなくなる可能性もあります。

認知症の状態によっては病識があり、自分でも失敗したとわかっているケースも多々あります。家族から責められると、申し訳なさから行動できなくなることもあります。

行動が減ると脳機能も低下するため、認知症が一気に進みやすくなります。

タイプ別の進行速度

アルツハイマー型
レビー小体型
脳血管性
前頭側頭型認知症

認知症には複数の種類があり、その種類によって進行速度が異なります。進行速度を知ることで、介護の見通しも立てやすくなるでしょう。

認知症の種類ごとの特徴や症状を知りたい方は下記もチェックしてみてください。

関連記事認知症には4つの種類がある!それぞれの特徴・初期症状と相談先

アルツハイマー型

アルツハイマー型認知症は時間をかけてゆっくり進行するのが特徴。軽い物忘れの症状が出始めてから、3年以内に発症する人の割合が約50%と言われています。初期の物忘れが軽症なほど進行がゆるやかな傾向があります。

アルツハイマー型認知症では脳の神経細胞が死滅することで症状が現れる病気です。徐々に物忘れだけでなく理解力・判断力の低下も生じ始めます。

参考:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン」

関連記事【進行を遅らせる方法】アルツハイマー型認知症の症状と治療法は?

レビー小体型

レビー小体型認知症はゆるやかに進行しますが、時間や日によって症状の波が大きく、進行度合いを把握しにくいのが特徴です。初期には認知症特有の「物忘れ」が目立たない場合もあり、気づかないうちに進行していることも。

注意力がなくなる、仕事や家事ができない、段取りが悪いなどの症状が現れやすいため、よく観察しましょう。

関連記事【はじめての方へ】レビー小体型認知症とは?症状の特徴や治療、介護施設の検討について

主な症状

  • 幻視:実際にはないものが見える
  • パーキンソン症状:動作がゆっくりになる、手が震えるなど
  • 睡眠時の異常行動:睡眠時に突然大声を出したり暴力行為をしたりする
  • 自律神経症状:立ちくらみなど
  • 精神症状:うつ、意欲低下など

脳血管性

脳血管性認知症は脳血管の障害が起こるたびに進行するのが特徴です。障害された血管の位置によって少ししか進行しないこともあれば、一気に進むこともあります。

脳血管性認知症の場合は、下記のような症状が出ることも。

関連記事血管性認知症の原因と症状は?診断から治療法まで解説します

主な症状

  • 手足の麻痺
  • 言語障害(話せない、言葉を理解できない)
  • 飲み込みが悪くなる
  • 失禁

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症はゆっくり進行するケースが一般的です。人格変化や行動異常が初期に現れたり、無気力・無関心の症状が現れたりします。パーキンソン症状や運動ニューロン症状を併発することもありますが、人によってさまざまです。

関連記事前頭側頭型認知症(ピック病)とは?|症状と経過、ケアのポイント

認知症が進むとどうなる?

  • 日付や時間、場所がわからない
  • 食事や入浴、トイレなどが自分でできない
  • 言葉を理解すること、話すことができない
  • ほとんどすべての記憶を失い、家族のこともわからなくなる
  • 立つ、座る、歩くなど基本的な運動能力が失われる

認知症が進むと、表のような症状が現れ始めます。症状の進行によって記憶力だけでなく、身体機能も低下します。最終的には寝たきりになり、意思疎通ができなくなるケースも。

身体機能が低下すると食事を飲み込む力が弱まって食べ物が肺に入ることがあり、これを誤嚥(ごえん)と言います。誤嚥は肺炎の原因の一つで、誤嚥性肺炎による高齢者の死亡者数は非常に多いため注意が必要です。

関連記事【早期発見】認知症の症状や進行のしかた|中核症状と行動・心理症状

認知症患者の主な死因

  • 肺炎(誤嚥性肺炎・気管支肺炎)
  • 心臓疾患
  • がん

認知症が一気に進むのを防ぐには?

認知症の明確な治療法はまだ確立されていませんが、進行を遅くするための対策があります。急激な進行を防ぐには、先述した原因を避ける環境づくりが重要となります。また、進行対策には下記表に記載のものも有効です。

詳細は次の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

関連記事認知症の原因とは?治療法と予防法・本人との向き合い方

認知症の進行対策

  • バランスの良い食事
  • 適度な運動
  • 日常的な頭の体操や脳トレ
  • コミュニケーションを取る
  • 睡眠時間を確保する

家族や周囲の対応

家族や周囲の人は、本人に寄り添い、不安な気持ちにさせないことが大切です。また、先回りして何でもサポートすると「自分は何もできない」「必要とされていない」と感じてしまうこともあります。

本人の様子をよく観察して、何を望んでいるのか考えてあげましょう。できることは本人にしてもらい、危険がないように見守る程度のサポートが望ましいといえます。

自宅での介護が難しい場合は、施設利用も1つの手段。介護者の負担も大幅に軽減されます。

関連記事【ストレスを軽くする】認知症介護、5つの心得と7つの原則

関連記事認知症の原因とは?治療法と予防法・本人との向き合い方

認知症が一気に進む原因を把握して適切な環境作りを

記事内でも解説したように、認知症が一気に進む原因は、周囲の環境などの外的要因によるものです。本記事の内容を参考に、周りの方々が適切な環境作りをしてあげてください。ケガによる入院など不測の事態が発生したら、ご本人の不安を少しでも取り除いてあげるなどサポートしましょう。

在宅での介護が難しい場合は、施設入居も考えてみましょう。「LIFULL 介護」では認知症の方も入居相談ができる施設情報を掲載中。入居まで介護施設探しの専任スタッフが手厚くサポートします。施設利用をご検討中の方は、ぜひチェックしてください。

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