質問

81歳の義理の父が脳梗塞で倒れ、病院でリハビリを受けています。
退院後は自宅での介護を考えていますが、主人はフルタイムのためパートで働く私が主介護者となる予定で、初めての介護に不安があります。
まだどうなるか先が見えませんが、在宅介護と施設介護でそれぞれ注意すべき点について教えてください。

回答
西村 英記

在宅介護では、要介護者と最も接する時間の長い主介護者が一人で抱え込んでしまうことが多く、その状態が長引くと心身が疲弊してしまいます。
介護を完璧にこなそうと思う必要はありませんし、ケアマネジャーに相談し、公的な介護保険サービスを利用して、主介護者もしっかり休息することが大切です。
また、介護される側・介護する側双方の理由で、継続することが難しいこともあります。そうするとどこかのタイミングで、施設での介護に移行することを検討せざるを得ません。
ここでは、自宅での介護を考え、将来的に施設で介護することも見越して、準備や注意すべきポイントをお話ししていきたいと思います。 西村 英記(NPO法人あい・ライフサポートシステムズ/事務局長)

【目次】
  1. 1.介護者としての心構え
  2. 2.仕事と介護の両立のために、最適な介護サービスを利用する
  3. 3.介護施設を検討する際の心構え
  4. まとめ

1.介護者としての心構え


在宅介護でも施設入居となっても一人で抱え込まない

在宅介護では、介護に費やす時間が増えるにつれ、周りの人や社会と接する時間が減少し、肉体的な面だけでなく精神的な負担も増してきます。

介護者は、自分一人の問題として抱え込まないようにし、相談できる相手(親戚、友人、ケアマネジャー、等)を作っておくことが大切です。他にも、地域包括支援センターでは介護者向けの相談も随時受け付けています。相談や意見交換などを行いリフレッシュする場としても利用してみましょう。

また、施設介護に対しては「老人ホーム」という言葉の響きもありますが、いわゆる「姨捨山」のようなイメージを持ち、入居させることに対して罪悪感を抱かれる方もいらっしゃいます。

もちろん、自分の手の届く範囲から外して敢えて施設での介護に任せるという選択ですから心苦しい気持ちになることは十分理解できます。

しかし、ご本人と介護者の双方が少しでも快適な生活を送るために施設を選択することは、決して後ろめたい事ではなく、マイナスにとらえる必要はありません。


2.仕事と介護の両立のために、最適な介護サービスを利用する


介護に充てる時間をどう捻出するか

在宅介護の場合は、日常過ごす場所は自宅になりますので、ご本人が寝たり起きたりする際の状況はこれまでと変わりません。逆に介護する側は、これまでの生活リズムの中に、介護に費やす時間が割って入ってくるため、どのようにしてその時間を捻出するのか考えなくてはなりません。

勤務形態や仕事の変化

介護者が仕事の時間を調整できるのであれば、

・勤務時間を短くして早く帰宅できるようにする

・自宅から近所で出来る仕事に変更する

・在宅ワークに変更し、家にいる時間を増やす

といった対応も必要となります。


介護離職とならないために

また、本人の介護度が重くなったり、認知症の進行により昼夜問わず目が離せない状態になれば、仕事自体を諦めなくてはならなくない状況、いわゆる介護離職となります。この段階になると、金銭的にも精神的にも相当な負担となります。

近年、この介護離職を防ぎ仕事と介護の両立ができるよう介護休暇など支援制度を設ける企業も増えています。また、厚生労働省では介護休業給付などの制度をつくりこれを後押ししています。まずは勤務先の人事担当者に相談してみましょう。

介護のプロに任せ家族の負担を減らす

在宅で介護する場合は介護者だけで無理をせず、在宅で受けることができる介護サービス(訪問介護・看護、デイサービス、ショートステイなど)を組み合わせて利用することで、「24時間ずっとそばにいなければならない」という精神的な圧迫から解放される時間を作ることが出来ます。

>関連リンク:介護保険適用サービスの種類と内容


3.介護施設を検討する際の心構え


施設入居を検討してみる

上記に記載したように、介護のために自分の仕事を辞めなければならない状態や、認知症による徘徊行動で、近所に迷惑をかけてしまうことが実際に起こってくると、自宅で介護をすることを諦め、老人ホーム等の施設でみてもらう決断も必要となります。

施設介護に移行する際、まずは、どんな種類の施設を選択するかを検討します。

>関連リンク: 老人ホーム・介護施設の種類と特徴


誰しも罪悪感はあるもの

ご本人にとって住み慣れた自宅を離れることの不安を解消できるかどうかが重要です。ご本人は「面倒を見てもらえなかった」「家族に捨てられた」というネガティブな気持ちを持ってしまいがちです。また、施設へ入居させることは家族としても親に対して後ろめたい気持ちもあるのだと思います。介護施設への入居が、ご本人とご家族の双方が自分らしく生活出来るための最善策となるためにも、しっかり選びたいものです。

>関連リンク: Q&A失敗しない老人ホームの選び方や、見極めのポイントを教えてください

施設へ入居することで、家族にとっては一旦日々の介護から手は離れますが、無理のない範囲で老人ホームを訪問し顔を見せてあげることが、本人の安心になるでしょう。


まとめ

 自分の身近な方は、出来るだけ最期まで自分の目の届く所で面倒をみてあげたいし一緒に過ごしたいという思いは当然です。
しかし、自分の手で自宅での介護をすることにはどうしても限界があります。出来るだけ長く在宅で介護するためにも、ケアマネジャーとも相談しながら、本人に最適なケアプランを考えていきましょう。

ご本人の身体状態と家庭環境によっては将来的に施設での介護は避けては通れない場合もあるため、施設入居を見据えたライフプランを考えてみましょう。

また、周りの様々な人との関わり合いの中で、人間生活が営まれているということを理解し、一人で抱え込まず周りの人を巻き込み協力してもらうことが重要ではないでしょうか。

このQ&Aに回答した人

西村 英記
西村 英記(NPO法人あい・ライフサポートシステムズ/事務局長)

NPO法人あい・ライフサポートシステムズ/事務局長
かず総合コンサルティング研究所/エリアマネージャー
行政書士法人御池事務所/行政書士
介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価
これからの人生を楽しく過ごすための終活トータルサポートを行う。