高齢者の一人暮らしの限界は何歳?調査&実際の相談内容から施設入居時期を紹介

高齢者の一人暮らしの限界年齢は、一般的に「健康寿命」が目安にされます。

しかし実際には個人差が大きく、限界を見極められずに対処が遅れることで重大な事故につながってしまうケースも少なくありません。

高齢者の一人暮らしは実際何歳まで可能なのか、そして何をもって“限界”と判断すべきなのか、LIFULL介護が持つ入居相談事例データと併せて詳しくお伝えします。

多くの高齢者が一人暮らしに限界を感じるポイント

・認知症の症状が現れるようになった

・入院により心身の状態が悪化した

・歩行に介助や器具が必要になった

・漠然とした不安により

高齢者の一人暮らしの限界は、その方の状況により様々で、一律に限界と判断されるラインはありません。そこでLIFULL 介護の入居相談室に寄せられた、一人暮らしの方の入居相談事例から、一般的に一人暮らしの高齢者が介護施設への入居を考えるタイミングをまとめてみました。

認知症の症状が現れるようになった

LIFULL介護のアンケート調査によると、高齢者が老人ホームや介護施設への入居を検討したきっかけのうち、もっとも多い理由は「認知症があった」というものでした。

具体的な症状として「排せつの失敗をする」「お金の管理ができない」などが挙げられていました。

調査自体は、一人暮らしに限らない高齢者の、老人ホーム入居のきっかけを尋ねたものでしたが、「排せつの失敗」「お金の管理ができない」は一人暮らしの難しさを実感する症状でもあります。

また、「怒りっぽくなる、暴力をふるう」のような、サポートしてくれる家族や周囲に負担をかけやすい症状の進行も、入居のきっかけとして挙げる方が多くいらっしゃいました。

入院により心身の状態が悪化した

施設への入居を考えるきっかけとして、入居相談事例の中でも多いのが「入院」です。病気やケガで入院し、以前はできていたことができなくなったことから、一人暮らしに限界を感じる方は少なくありません。

特に高齢者は、体力を奪う重篤な疾患等で長期にわたって入院した際、筋力や意欲の低下などにより、入院前よりも心身の状態が悪くなりやすい傾向にあります。

生活に不便な点が出てくることに加えて、「今後自宅で転倒や疾患の発生・悪化といったさらなる異常事態が起こったとき、自力では対処できないかもしれない」といった不安も、施設への入居を検討する大きな理由になるようです。

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歩行に介助や器具が必要になった

歩行機能が低下し、杖や歩行器を利用して生活している一人暮らしの方が、介護施設への住み替えを検討されるケースも、入居相談事例の中で目立ちました。

移動に常に介助が必要なために老人ホームに入居したいという方もいらっしゃれば、自力で移動はできるものの、転倒して起き上がれなかった事があり、一人暮らしに不安を感じるケースも。また、バリアフリーになっていないご自宅で、いつ転倒するかわからないために老人ホームを検討される方もいらっしゃいました。

漠然と不安があった

そして施設への入居を考えるきっかけとして意外に多いのが、「漠然とした不安」による入居です。上記のグラフは、一人暮らしに限らない一般的な老人ホーム入居のきっかけを調査したものですが、それでも4番目に入るほど、将来への不安から老人ホームを探される方も少なくありません。

入居相談室に寄せられる事例でも、身の回りのことに介助が必要ないものの、3ヶ月や半年以内で入居を希望される方からのご相談が多く寄せられます。

不安を感じる瞬間の具体例としてよく挙がるのは、次のようなポイントです。

高齢者が漠然と一人暮らしの限界を感じるポイント

  • 日々の家事や食事作りが億劫になってきた
  • 外出の意欲がなく、自宅に籠りきりになっている
  • 孤独死への不安がある
  • 一度詐欺被害にあって、生活に自信がなくなった
  • 病気を経て体力が落ちている

また、今後仮に自宅内で転倒などの事故が起きれば、それがきっかけで健康上の大きな問題に発展するかもしれないという不安もあります。

今住んでいる住宅がバリアフリー仕様になっていないことから、より安全に日常生活が送れる施設への入居を検討するケースもあるようです。

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高齢者の一人暮らしは何歳までが限界?

厚生労働省の資料によると、令和元年時点での健康寿命は男性が72.68歳、女性は75.38歳となっています。

健康寿命の令和元年値について(厚生労働省)

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を示したものです。自立した生活がいつまで可能なのかの指標として、一人暮らしの限界を迎える年齢はこの数字がひとつの目安になるでしょう。

ただし、今回LIFULL介護が行った調査の結果から見てもわかるとおり、一人暮らしに限界を感じるポイントは人によってかなり大きな違いがあります。

きっかけとして多く挙げられた認知症や骨折、入院などの事態は、いつ発生するか予測ができません。特に認知症は、一人暮らしをしていると自覚のないまま知らず知らずのうちに進行している恐れもあるため、重大な事故につながる前に事前にご家族で知識をつけ、対応を話し合っておくと良いでしょう。

また、心身の状態が万全でないタイミングで生活の環境を大きく変えると、リロケーションダメージ(急激な環境変化により発生する心身の不調)がより強く出る恐れもあります。

高齢者の一人暮らしは、限界を迎えてからではなく、限界を迎える前に住み替え等を検討することが重要です。

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親の一人暮らしの限界に、安易な同居をおすすめしない理由

高齢者の一人暮らしが限界を迎えたとき、とれる対策のひとつには「子どもなど、生活をサポートできる家族との同居」が考えられます。

しかし、介護や見守りを目的とした同居は介護者・要介護者双方にとって負担が大きいため、安易に決断をすることはあまりおすすめできません。

同居のメリット

  • 家事を分担でき、場合により生活費も折半できる
  • 家族の生活をすぐそばで支えられる
  • 異変にすぐ気づけ、緊急時に対応しやすい

同居のデメリット

  • 生活ペースの違いからストレスを溜め込んでしまう
  • 家族ゆえに甘えてしまい人間関係が拗れる
  • 家族が同居していることで受けられない介護保険サービスがある

もし住み替えするなら?状況別おすすめの老人ホーム・高齢者住宅

高齢者の一人暮らしが限界を迎えたとき、住み替え先の候補には次のような施設が考えられます。

  • グループホーム
  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • シニア向け分譲マンション

実際にどの施設を選ぶと失敗がないのか、「認知症がある場合」「歩行に不安がある場合」「身体的には自立している場合」の3つのケースに分けて考えてみましょう。

認知症がある

おすすめの施設

・グループホーム

・介護付き有料老人ホーム

・住宅型有料老人ホーム

すでに認知症の症状が出ている場合、入居先としておすすめなのはグループホーム、もしくは介護付きの有料老人ホームや住宅型有料老人ホームです。

グループホームとは、「65歳以上、かつ要支援2以上の認知症の診断を受けた方」が、専門的なケアを受けながら生活できる施設です。少人数制でスタッフの人員配置が手厚いなど、認知症の方に合わせた環境が整っているため、仮に症状が進行しても安心して暮らし続けることができるでしょう。

介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームの中でも、介護スタッフが24時間常駐している施設のことを指します。掃除や洗濯を始めとする身の回りの世話はもちろん、食事や入浴、排せつ等の介護も十分に受けられるため、自力での生活に不安がある場合でも安心です。

住宅型有料老人ホームは、法的には介護付と異なるものの、職員数や体制において介護付きと同等のケアを提供していることが多い施設です。こちらも併せて検討すると良いでしょう。

歩行に不安がある

おすすめの施設

・介護付き有料老人ホーム

・住宅型有料老人ホーム

杖や歩行器を使用しているなど、日常での歩行に不安がある場合は、介護付き有料老人ホーム、もしくは住宅型有料老人ホームを選択肢に含めるのがおすすめです。

介護付き有料老人ホームも、住宅型有料老人ホームも、ともに食事や洗濯、掃除などの生活支援サービスを受けながら暮らせる施設です。介護付きの場合は介護度別で介護サービス利用料が定額になっています。一方住宅型は、必要な分の介護サービス費を支払う仕組みです。

どちらも施設により、お元気な方が多い場所と、介護度が重い方が多い場所がありますので、入居する方の体の状態に合わせて探しましょう。

身体的に自立しているが漠然と不安がある

おすすめの施設

・サービス付き高齢者向け住宅

・シニア向け分譲マンション

現在、自力での生活に大きな支障はないものの、今後のために早めに安心できる住居に移りたいというケースでは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やシニア向け分譲マンションが有力な候補になります。

サービス付き高齢者向け住宅とは、60歳以上で、自立している、もしくは介護度の低い方が、安否確認と生活相談サービスを受けながら暮らせる賃貸住宅のこと。

バリアフリー、かつ見守りなどのサービスを受けながら、個人のライフスタイルに合わせた生活を送れる点が大きな強みです。デイサービスやクリニックが併設されているサ高住もありますので、その点も考慮して入居先を選んでみてください。

また、シニア向け分譲マンションとは、概ね60歳以上を対象とした分譲マンションのことです。バリアフリー設計でスポーツや娯楽などの共有設備が充実し、コンシェルジュによるサービスなども受ける事ができます。

一般的な介護施設と異なり所有権方式のため、賃貸や売却ができ、相続の対象になる点が特徴です。

まとめ

健康寿命の平均年齢から見た場合、高齢者の一人暮らしの限界は、男性が約72歳、女性は約75歳が目安になります。

しかし実際には、認知症やその他疾患の発症、骨折等の不慮の事態により、それよりも早く一人暮らしに限界を感じる高齢者の方が少なくありません。

また、生活環境を変えるのは高齢者にとって大きなストレスになるため、住み替えなどはできる限り心身が健康なうちに済ませておくのがよいでしょう。

住み替え先はLIFULL介護にご相談ください。

LIFULL介護では、“高齢者住まいアドバイザー”の資格を持ったプロの専門相談員が在籍しており、「そもそも施設へ入居するべきかどうか」から、ライフスタイルやお困りごとにあった住み替え先のご提案ができます。

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