質問

要介護5の父が特養に入居しています。毎月支払っている利用料や税金、保険など、お金に関する知識がないことで損をしていることもあるような気がします。注意点などあれば教えてください。

回答
中村 真佐子

特養の入居者は重度の方がほとんどです。本人に代わり、お金の管理や手続きを家族がすることもあるでしょう。毎月の利用料に目が行きがちですが、「扶養家族の税金」や「医療費控除のしくみ」など、お金の知識を得て、損をしないようにしましょう。 中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

【目次】
  1. 1.医療費控除で税金を取り戻す
  2. 2.扶養している同居の親が特養に入所した場合も、扶養し続けられる?
  3. 3.入居中に入院した場合の支払いはどうなる?
  4. 4.親の預貯金や保険等の整理をしておくのがおすすめ
  5. 5.自己資産額によって費用負担の軽減が受けられる

1.医療費控除で税金を取り戻す


医療費控除を受けられる方とは?

特養の利用料の中には、医療費控除対象になる支払いがあります。

医療費控除とは、年間にかかった医療費が一定の金額を超えたとき、税金が安くなるというものです。医療費控除は税金を支払っている方が受けられる恩恵となります。

具体的には、下記に該当する方々は税金を支払っているため医療費控除を受けることができます

・公的年金や私的年金で収入を得ている方
・賃貸アパートを所有して賃料収入を得ている方


公的年金による収入は「雑所得」となり、支給額によっては税金がかかります。また、公的年金以外にも私的年金や賃貸アパートを所有していることによる賃料収入など公的年金収入以外にも収入のある方もいるでしょう。これらの収入に対しても税金がかかります。

一方、年金が少ない、遺族年金など非課税で年金を受給している方は、医療費控除を受けることはできません。


特養の利用料金の中で医療費控除の対象となるものは?

では、特養の利用料金の中で医療費控除の対象となるものは何でしょう。

施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額の2分の1に相当する金額が医療費控除の対象となります。また特養で行われる訪問診療(内科、歯科など)の医療費、処方される薬代も医療費控除の対象になります。医療費控除の対象となる支払い分は、利用料の領収書に記載されています。

他に外部への通院にかかる医療費と薬代、体が不自由でタクシーによる通院が必須の場合はそのタクシー代や付き添ってくれた方の交通費も医療費控除の対象となります。


医療費控除が受けられる条件は?

医療費控除による税金の還付は、一定金額以上の医療費がかかった場合にうけられます。

その一定以上の金額は、年間収入が200万円未満の場合、医療費自己負担額が5%を超える部分(例えば、年間収入が180万円の場合は医療費自己負担9万円を超える部分)が医療費控除額となり所得から差し引かれます。

年間収入が200万円以上の方は医療費自己負担年間10万円を超える部分が医療費控除額となります。


医療費控除による税金の還付の受け方

医療費控除による税金の還付を受けるには、確定申告をする必要があります(還付請求)。その際には、医療費の領収書が添付書類として必要になります。特養の利用料、特養で受けた訪問診療、それ以外の通院にかかった医療費、交通費等の領収書は保管しておきましょう。

特養に入所している方は、体が不自由で確定申告をすることが難しいケースがほとんどですからその場合は、子供が代わりに行うことになります。確定申告の仕方は、税務署で教えてくれます。

所得税の確定申告期間(2月中旬から3月中旬)は税務署が混み合いますのでそれ以外の期間を利用すればよいでしょう。

医療費控除の還付請求は、所得税の確定申告期間に関係なく年間を通じて申告ができます。領収書等が残っていれば過去5年分はさかのぼって還付請求ができます。



2.扶養している同居の親が特養に入所した場合も、扶養し続けられる?

扶養家族にしていた同居の親が特養に入り、別居になった場合でも、扶養し続けられるのでしょうか。別居の親でも要件を満たせば扶養家族にできます。

その要件は、扶養家族は生計が一つであることです。具体的には、特養の利用料やその他の生活費の一部または全部を子供が担っているか?ということ。一方、親の年金で特養に費用やその他生活費をすべて賄えるのであれば、扶養家族から外れることになります。

親を扶養することによる子供にとっての金銭的なメリットは、老人扶養控除を受けられ子供の税金が減ることです。親を扶養していると前述の医療費控除は子供が受けられます。親が子供に扶養してもらう金銭的なメリットは、75歳未満の親の場合は、公的医療保険や介護保険の保険料負担がなくなります。



3.入居中に入院した場合の支払いはどうなる?


特養は最期まで生活できる施設ですが、施設では対応できない医療処置がありますので、その必要が生じた場合は、病院に入院することになります。

入院した場合は、その入院期間中も特養の居住費は原則的に支払う必要があります。(※ただし施設ごとに対応が異なりますので、契約内容をご確認ください)

また、厚生労働省が定めた「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」によると3か月をめどに退所の判断をすることになります。退院後は元の特養に戻りたいと思う家族は多いですが、待機者が多くいる現状では入院により長期間部屋を開けたままにしておくことは難しいのです。

ただ、退所することになったとしても退院後元の特養に戻れるように便宜を図ってくれるようですので、相談してみましょう。



4.親の預貯金や保険等の整理をしておくのがおすすめ

親の預貯金や保険を整理しておきましょう。要介護5であれば判断能力が衰えてきます。判断能力がなくなると子供でも預金を下すことができません。

特養に入所している間は、まとまった現金の必要はありませんが、病院入院するときなど、急に現金が必要になることもあります。

いざというときのために、親の預金がいくらあるのか、どこの銀行と取引をしているのかを知る必要があります。体は不自由でも判断能力があれば子供でもお金をおろすことができます。

取引銀行に、同意書等の手続きを確認したり、事前に書類を取り寄せたりして準備しておくことも大切です。すでに判断能力がない場合は、親のお金の管理をする成年後見人を付ける必要があります。

また民間の医療保険に加入していれば、入院の際には保険金を請求できます。保険金の請求は原則本人がしなければなりませんが、特養の入所者の場合本人の保険金請求が難しいです。

そのようなときに備えて家族などが請求できるように契約をしておくことができます。保険に加入していることを家族が知らず必要なときに請求できなければ、支払った保険料が無駄になってしまいます。

保険証券があれば、保険会社に確認をし、家族でも請求ができるようにしておきましょう。



5.自己資産額によって費用負担の軽減が受けられる

特養の利用料のうち、居住費と食費は収入や自己資産額によって軽減が受けられます。

これまで軽減を受けていなかった人でも、配偶者の死亡により収入が減り、持っている資産1,000万円以下の場合は、軽減が受けられことがありますので市区町村に申請をしましょう。

その際には、預貯金や有価証券残高、それを証明ずる通帳等のコピー、ローンなどの負債を申請書に記入しなければなりませんので通帳や有価証券等の残高証明、ローンの返済表等は整理して誰でもわかるようにしておきましょう。

以上特養にまつわる利用料以外のお金のことについてまとめました。特養に入所するほど重度になると、親の税金や民間保険、社会保険、介護保険等お金周りの手続きを子供が代わりにする場面が多くなります。

お金周りの制度等の知識を得て、親のお金を有効に使うことともに、親の介護にかかわる子供のお金の負担が大きくならないようにしましょう。


このQ&Aに回答した人

中村 真佐子
中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

ファイナンシャルプランナーとして、住宅ローン・教育資金など、若い世代の普通の家庭におこりうるお金周りの相談は、生活者目線を大切にしています。
社会福祉協議会で生活支援員としての活動もしており、高齢者や障害者の介護、住み替え、成年後見制度分野の相談も得意としています。