質問

父の入居する老人ホームを探しているのですが、偏食が多く、はたして老人ホームで暮らせるのか心配です。
老人ホームでは食事の好き嫌いがある場合どこまで対応してくれますか。

回答
德田 泰子

老人ホームの諸条件にもよりますが、おおよその嗜好に対応しています。しかしながら老人ホームの食事は、栄養面を中心に偏りのないように構成されており、複数の入居者の方々のすべての嗜好を受け止めることは難しい面もありますのでご希望とされる老人ホームでは、どの程度までの対応が可能であるかを事前に確認、相談されることをおすすめします。お父様の食事について嗜好の許容範囲を見直すきっかけにされてはいかがでしょうか。 德田 泰子(NPO法人あい・ライフサポートシステムズ所属)

【目次】
  1. 1.「ごはんが嫌い、パンが食べたい」という場合、主食の変更も老人ホームは対応してくれる?
  2. 2.一般的な老人ホームの対応と、食事に注力している老人ホームとの違いはどんなところが違うの?
  3. 3.苦手な食材でも調理法などの工夫で食べることもできる
  4. 4.自分で購入した好みの食べ物を持ち込み、食事の際に食べてもいいのか
  5. 5.苦手食材がある場合、老人ホームへどのように伝えるべきか。
  6. まとめ

1.「ごはんが嫌い、パンが食べたい」という場合、主食の変更も老人ホームは対応してくれる?


主食とは

日常的に摂る食事で中心となる食事をいい、ごはん類、パン類、麺類なども含まれます。
主食や主菜となる肉や魚をはじめ特定の食材が苦手である場合は、変更対応が比較的かなえられやすく、一方で調理方法の指定、食材制限など複数の条件が重なる場合には、対応が困難となる場合がありますので希望とされる用件を取りまとめてみましょう。

主食の種類と変更パターンについて

1.ごはん、あるいはパンが苦手でどちらか一方の主食に変更するパターン
2. ごはんを粥に変更するなどごはんのやわらかさや状態を変更するパターン
3. 麺類をごはん食に変更するパターン

など様々な変更パターンがあります。ご自身の体調、食べやすさなどに合わせて食が進む方法を申し入れるようにします。

一般的には、朝食をパンに、昼夕の食事でごはんや麺類を主食として提供されるケースが多いように思われます。中には朝食はごはんとパンを交互に提供される、粥食を取り入れるなど主食であっても飽きさせないような取り組みをされています。
しかし、いずれかの主食が苦手であるならば、我慢したり残したりせず、その旨を施設側にお伝えし対応してもらいましょう。また、変更食材によっては追加の食事料金が発生する場合があるので確認が必要です。

2.一般的な老人ホームの対応と、食事に注力している老人ホームとの違いはどんなところが違うの?


老人ホームの食事への取り組みは、施設により特徴が様々ですが、違いとしては、食材や品数、調理方法に工夫がなされているところに差が見受けられます。
食事に注力している老人ホームだからと毎日が高価な食材ばかりとはいきません。お食事への細やかな心配りこそが食事サービスの差ではないかと考えます。ここで食事サービス全体の着目ポイントをご紹介します。

献立表

献立はバラエティ豊かですか?・・・メニューなど食事内容をご確認いただく際には、嗜好にあったメニュー傾向か、季節感など全体バランスを見てみましょう。

食器

使用されている食器は?・・・メラミン食器は軽くて破損も少ないので病院や施設ではよく活用されています。食事は料理だけでなく器も大切です。決して高価なものでなくても使い勝手がよい陶器や陶磁器などの様々な色や形の器がテーブルに並ぶと食卓がにぎわい食欲を支えます。

盛り付け

おいしそうな盛り付けですか?・・・出来上がった料理を丁寧に盛り付けられているでしょうか。一時に多くの方の食事提供がされる場合には、限られた時間での調理、盛り付けとなりますが「食べたくなる盛り付けの工夫」は料理と同じくらいとても大切な食事サービスです。

朝食

昼夕の食事は充実していても、朝食は準備時間、人員の関係上、比較的簡素になりがちです。だからこそ1日の始まりの食事を工夫して提供しようとする施設のお食事は評価が高まります。施設見学の際、朝食のことも気にかけて尋ねてみてはいかがでしょう。

3.苦手な食材でも調理法などの工夫で食べることもできる


基本的に老人ホームでは、苦手なものを無理にすすめすることはありませんが、時折調理方法を変えることで「食べてみよう」「おいしそう」と口にされ、食べてみるとおいしかったというケースがあります。
自宅ではご自身の嗜好を取り入れながらの食生活ですが、老人ホームではいつもと違う料理や食材、調理方法も多数登場します。食堂でご入居の皆様との会話が弾む中で「今まで苦手だったけれど食べることができたわ」というお声を聞くことはあります。
食べてみようと思ったときは、きっと新しい味に出会うチャンスなのだと思います。


4.自分で購入した好みの食べ物を持ち込み、食事の際に食べてもいいのか


食事変更を申し出るほどではなく、その日の気分で食が進まないことも起こり得ます。
そんなときあると便利な自分の好みの総菜や漬物、ふりかけなどを食堂に持ち込むことが許される老人ホームもあります。
しかし、持ち込む場合は、周囲の方への配慮や賞味期限など食品の自己管理は必要です。


5.苦手食材がある場合、老人ホームへどのように伝えるべきか。


伝え方によっては、嫌な感じを持たれるのではないかなど入居前から様々な不安が生じます。入居の際、嗜好などを尋ねられますが、伝え方を工夫して老人ホームに理解・協力してもらうためにかんたん「食事プロフィール」を作ってみてはいかがでしょう。

ホーム入居時に伝えておきたい5つのこと

伝えたい項目 伝えたい内容・事例
①好みの味付け やや濃い味が好き 
②好きな食べ物 鯛の造り、牛肉
③苦手な食べ物・アレルギー 苦手な食べ物:鯖、鶏肉、生トマト(ケチャップならOK)
アレルギー:特になし
その他:牛乳で下痢
④咀しゃく・嚥下 時々むせる
⑤歯の状態 部分入れ歯(硬いものがかみ切りにくい)
伝えたいメッセージ 例 朝食はパン食でお願いします。


まとめ

入居後は、毎日顔を合わす職員の方々とも心地よく過ごしたいもの。お互いのことを知ることでよい関係性が築けることと思います。口では言いにくいことだけれど伝えたいことがあります。ご自身を知ってもらうためにかんたんプロフィールを作っておくと伝え忘れもなく便利です。食事をはじめ様々な不安事項は、気軽にご相談し早めに解決なさってください。

このQ&Aに回答した人

德田 泰子
德田 泰子(NPO法人あい・ライフサポートシステムズ所属)

株式会社ヘルシーオフィスフー/代表取締役
(公社)全日本司厨士協会大阪府本部女性部/副部長
栄養コンサルティング
管理栄養士・調理師
「食事を介護施設の付加価値に」口から食べるための介護食を支援。