質問

同居している義理の母は介護度2で、日に日に認知症が進行しています。施設への入居を考えていますが、私と夫の収入では経済的な支援ができません。また、義母は不動産などの資産もなく、年金収入しかありません。義母の年金だけで入れる老人ホームはあるのでしょうか?

回答
中村 真佐子

年金だけでも入居できる老人ホームはあります。ただ、年金額にもよりますが、選択肢は少ないです。今回は、年金以外に収入がなく、他に預貯金や不動産などの資産もない方で、年金だけで生活できる老人ホームや、老人ホームだけではなく年金だけで生活していく方法を解説します。 中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

【目次】
  1. 1.もらっている年金額を確認しましょう
  2. 2.年金だけでまかなえる?老人ホームの費用の相場とは
  3. 3.年金だけで老人ホームに入居できない場合、利用できる制度
  4. 4.年金で在宅介護サービスをフル活用する

1.もらっている年金額を確認しましょう

まずは、2か月に1度給付される年金はいくらかを確認しましょう。すぐわかる方法は、年金が入る銀行の通帳を確認することです。通帳に記載されている金額を2分の1にし、月額いくらか計算します。

毎月の年金収入がわかれば、施設に支払えるお金もおおよそ把握ができます。また、遺族年金かそうでないかも確認をしましょう。

年金額は、それまで納めた保険料により給付額が変わってきます。また会社勤めをしていて厚生年金があるのか、自営業で国民年金のみなのかによって年金額が変わります。では平均額を見ていきましょう。

厚生年金を含めた公的年金の平均月額給付額は、約14.8万円です。国民年金のみの方の平均額は約5.5万円です。ここ数年の金額の推移は以下の図表の通りです。

厚生年金および国民年金受給者の、老齢基礎年金の平均月額推移

厚生年金受給者 国民年金受給者
平成23年度 152,396円 54,682円
平成24年度 151,374円 54,856円
平成25年度 148,409円 54,622円
平成26年度 147,513円 54,497円
平成27年度 147,872円 55,244円

平成27年度 厚生労働省年金局 厚生年金国民年金事業の概要より

老人ホームに支払う利用料はほぼ生活費と考えます。利用料以外にかかるお金は、老人ホーム外への通院の費用や薬代(※)、衣類、下着など新しく購入するもの、ごく個人的に使いお小遣い(嗜好品の購入など)が主なものです。

※老人ホーム内での往診による診察および薬代は、利用料と一緒に老人ホームより請求されます。

年金額が月額15万円の場合は、10万程度が施設利用として支払える額と考えればよいでしょう。


2.年金だけでまかなえる?老人ホームの費用の相場とは

月額の年金収入がわかれば、その金額で賄える老人ホームを探します。ここでは、老人ホームの種別ごとに検討していきたいと思います。

まず、有料老人ホームにかかる費用は、入居の際の初期費用として支払う入居一時金と、毎月支払う利用料の2種類があります。入居一時金の平均額は全国的に480万円前後(※)となっていて、年金以外に預貯金や資産がない場合は、入居一時金を支払えません。従って、入居一時金がない老人ホームを探すことになります。入居一時金を設けている老人ホームでも、月額利用料に入居一時金にあたる部分の費用を分割して上乗せすること、入居一時金を0円にできるプランを設定している場合もあります。

有料老人ホームの月額費用の全国相場は、21.4万円前後(※)となっています。利用料以外にもかかる分を考慮して、月額25万円程度の年金があれば生活できるということになりますが、月額費用以外に入居一時金が必要であるうえ、年金の平均額を見る限り、年金だけでの有料老人ホームの入居は難しいでしょう。

※2017年2月LIFULL介護調べ。
 最新の相場を調べたい場合は「全国の老人ホームの料金相場」へ。

ただ、有料老人ホームの利用料のうち、どこの地域でもほぼ変わらないのは、介護保険の自己負担分と食費や日常生活費で、施設によって大きく費用が変わるのは住居費の部分です。東京の都心の一等地であれば住居費が高く、地方であればぐっと下がります。上記金額はあくまでの平均額ですので、住む場所の選択肢を地方にまで広げると入居可能な有料老人ホームが見つかるかもしれません。入居金が0円で月額15万円程度の有料老人ホームなら検討の余地はあるでしょう。

入居金0円・月額10万円~15万円の有料老人ホームを探す

認知症の方が入居するグループホームは、ほとんどのところで入居一時金はいりません。月額費用は、15万円~30万円程度で、有料老人ホーム同様立地により金額に差が出ますが、グループホームは地域密着型のサービスなので、今住んでいる地域のグループホームに入所することになります。

介護保険3施設と呼ばれる特別養護老人ホーム(特養)、老人保健福祉施設(老健)、介護療養型病床は、入居要件がありますが、入居一時金は必要なく、月額利用料も安価です。入居の要件は厳しくなりますが、介護保険の3施設のうち特別養護老人ホーム(以下特養)や老人保健施設は、約5万円~17万円程度で入居できますので、年金の範囲内で可能でしょう。

ただし、質問者さまのように同居家族がいて、要介護2の方場合は特養に入居することは原則できません。特養の入居希望者で優先されるのは、介護者がいなく、介護度が重い方になります。また、老人保健福祉施設は、病気等の入院治療後の方で自宅復帰するためのリハビリ施設の位置づけなので、長期入所はできません。介護療養型病床は、医療処置が常に必要な方が入る施設となります。


3.年金だけで老人ホームに入居できない場合、利用できる制度

介護者がいない一人暮らしの方で、自宅での生活が困難な方については、地域包括支援センターや行政が介入し、年金が少ない場合でも施設入所の手配をします。その方が認知症で判断能力がない場合は、成年後見人が付きます。後見人が付くことにより、施設は年金が少なくても身元保証人がいなくても受け入れてくれるケースがあります。また、生活保護を受けることで老人ホームに入居できるケースがあります。

質問者さまのお義母さんの場合、要介護2のため特養には入所できませんが、認知症の診断を受けているようですので、地域のグループホームに入所できます。年金だけでグループホームの費用が賄えず、家族も支援できない場合は、生活保護を受けることでグループホームでの生活が可能になる場合があります。

ただ、「家族が同居していても在宅生活が困難である」、「本当に家族が支援できない」ということが証明できるかなど、生活保護を受けるには、超えるハードルがたくさんあります。

ちなみに、要介護度3以上の場合は、特養という選択肢が増えます。介護保険3施設は、所得が少ない上に資産の少ない方の場合、住居費と食費が優遇されます。

優遇の所得要件は、世帯全員が住民税非課税であることです。世帯全員となっているところに注意が必要です。住民票上世帯の異なる配偶者の所得も判断材料となり、婚姻届けの出していない事実婚も含みます。

また、遺族年金は住民税が非課税の年金ですが、収入として扱われますので、場合によっては優遇を受けられる対象からはずれてしまうこともありますのでご注意ください。

優遇の資産要件は、預貯金等が単身者1,000万円以下、夫婦2,000万円以下であることとなります。

優遇の度合いは3段階にわかれており、住居費はユニット型個室の場合、1日あたり1,970円のところ820円~1310円になります。食費は、1日あたり1,380円のところ300円~650円となります。

こちらの制度については、詳しくは「介護保険の負担限度額認定証とは?介護費用が安くなるって本当?」をご覧ください。


4.年金で在宅介護サービスをフル活用する

年金収入で施設の費用を賄えない場合は、在宅で介護サービスを受けながら生活していくことも考えたほうがよいでしょう。

介護保険の要介護度別の限度額の範囲内でその方にあったサービスを、できるだけ介護者の負担が少ないようにケアマネジャーが作ります。認知症の周辺症状で、徘徊や昼夜逆転などの恐れがある場合は、ディサービスやショートステイなど自宅の外で介護サービスを受ける方法を中心にケアプランを立てます。

そのほかの介護保険サービスとして、小規模多機能型居宅介護の利用もお勧めです。通い、泊まり、在宅、夜間対応と24時間365日、顔なじみのスタッフが生活支援をします。費用は定額制となっていて、要介護度2の認知症の方の介護サービス費の目安は月額約17,000円です。ディサービスとショートステイを別々に契約するよりお得になる場合もあります。在宅での介護費用は、持ち家だったり、家族と同居していたりすると、食費や住居費用が少ない分、年金収入を介護サービスに充てることができます。

以上、年金だけで老人ホームにはいれるか?入れない場合は、在宅でどうするのか?今回は収入が年金収入のみという視点で介護サービスの選択肢を解説しました。老人ホーム入所を考えたとき、収入および資産、心身の状態、家族の支援等様々な要素を十分考慮して住まいを選択していきましょう。

このQ&Aに回答した人

中村 真佐子
中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

ファイナンシャルプランナーとして、住宅ローン・教育資金など、若い世代の普通の家庭におこりうるお金周りの相談は、生活者目線を大切にしています。
社会福祉協議会で生活支援員としての活動もしており、高齢者や障害者の介護、住み替え、成年後見制度分野の相談も得意としています。