- 質問
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父の老人ホームを探していますが、老人ホームで人間関係のトラブルはつきものと聞きました。いろんな人が生活しているので仕方ないのかもしれませんが、そうなった場合に施設側はどう対処してくれるのでしょうか?家族はどう対処すればいいのでしょうか?
- 回答
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人が集まるところには人間関係トラブルはつきもの。それは老人ホームも例外ではありません。家族は、気づいた時点でなるべく早く、施設側に報告しましょう。報告することで、施設が対処してくれる場合があります。
ここではトラブルがどうして起こるのか、起きてしまった場合の対処法と事前にトラブルをなるべく回避するための方法などを解説します。老人ホームに入ってトラブルに巻き込まれないために参考にしてください。
- 【目次】
老人ホームの人間関係トラブル、その原因は
老人ホームは人間関係トラブルが起こりやすい?
学校や職場などと同様に、老人ホームでも人間関係のトラブルは起こりえます。一般的に、人は年齢を重ねると頑固になる傾向があり、老人ホームでは対人トラブルが起こりやすいとも言われています。
トラブルの内容、発展するきっかけは?
老人ホームで起きる人間関係トラブルは、他の入居者から陰口を言われたり、仲間外れにされたりするケースが多いようです。金銭の貸し借りや、恋愛、家庭環境への嫉妬などさまざまな要因で、そういったトラブルは発生します。
また、認知症の症状が進行してきた入居者がいる場合は、幻覚や妄想で他の入居者を泥棒扱いする、他の方の部屋に勝手に入り込む、暴言を口にしたり、暴力をはたらくなどがあります。
トラブルの原因は喪失感・孤独感
そうした人間関係のトラブルの根幹にあるのは、ご本人のつらさ、寂しさと言われています。家族と離れて生活する、または家族と死別している、あるいは社会的立場を失ってしまった孤独感や喪失感が、トラブルを招く行動を引き起こすと考えられます。
また、それまでの生活レベルや社会的地位による生活習慣や考え方の違いから、言い争いになったり敵対心を持ったりすることもあります。
もし人間関係トラブルが起きてしまったら?
まずは信頼できるスタッフに相談
もし、人間関係でトラブルが起きてしまったら、すぐに信頼できる相談員や介護リーダー、施設長などに相談しましょう。家族からの訴えがあれば、それまで様子をうかがっていた施設側もアクションを起こすでしょう。
相談は、大事に至る前に早めにすることをおすすめします。家族が本人の気持ちをよく聞いてそれを施設側に伝えることで、仲裁に入りやすく円満に事態を収めることにつながります。また、トラブルによって本人が傷つき、帰宅願望が強まることを防ぐこともできます。
施設側の対処法
実際にトラブルが生じたとき、施設側は、当事者同士の距離をとらせようと、食事やレクの際に離れた場所に座ってもらうなどの配慮をしてくれます。施設によっては、状況によりどちらかの部屋を変えることもあるようです。
施設の対処に不満があるときは
もし、施設の対応に不満がある場合は、契約書や重要事項説明書に「苦情相談窓口」として記載されている市区町村の介護保険課の担当窓口、都道府県の国民健康保険団体連合会に相談することもできます。
住み替えも検討するべき?
高齢者は適応能力が衰えているため、環境の変化によって大きくストレスを受けます。できる限り転居はせず、事態を収める努力をすることが望ましいと思います。しかし、本人の心身状態の悪化が著しいなどの影響が見られる場合は、転居することも考えざるを得ないでしょう。
人間関係トラブルをなるべく回避するためには
トラブル回避力がある施設とは?その選び方
老人ホームにも人間関係トラブルがつきものであるとはいえ、事態が大きくなる施設とそうではない施設があります。その違いは、入居者に対する見守りの目の注意深さです。
入居者同士のちょっとした争いや個々の心理状況の変化を見逃さず、スタッフ同士の情報共有ができているところは、家族からの訴えを聞くまでもなく対処をしているものです。
そのような施設を選ぶには、見学の際に入居者同士のトラブル事例について直接質問をしてみましょう。具体的な事例とその対処方法について、詳しく説明ができる施設は安心できます。逆に、隠そうとしたり、内容をしっかりと答えられなかったりするところは、トラブル対処への関心度が低いということが言えます。
スタッフの認知症の方への理解度や介護力も、当然ながらトラブルの未然防止に影響します。認知症介護の研修の有無や、認知症のトラブル事例・対処方法なども押さえておきましょう。
ユニットケアの施設は人間関係に気を配ろう
また、少人数のグループ(ユニット)ごとに介護を行うユニットケア方式の施設の場合、きめ細やかな介護を受けられることが特長ですが、そのぶん個々の関係性も濃くなる傾向にあります。
関係が良好な場合はメリットが大きいのですが、関係が悪化した場合は、毎日顔を合わさざるを得ないので、距離を置くなどの対処がしにくいというデメリットがあります。
ユニットケア方式の施設は特に、トラブルの芽が小さいうちに摘み取ることが大切と言えるでしょう。
トラブル回避のために家族ができること
人間関係トラブルを防ぐために、家族ができることもあります。
まずは、できるだけ施設に通い話を聞いてあげることです。友達になった入居者の元に頻繁に子や孫が訪ねてくることに対して、寂しさと羨み・妬みから意地悪な行動を取ってしまうということもあります。
次に、いじめに合っているなどトラブルに発展しそうな様子が見える場合は、すぐに施設に伝えましょう。施設に報告する際は、感情は抜きにして、本人に聞いた話だけを客観的に伝えます。それを踏まえて調査と対処をお願いし、報告を受けながら一緒に解決をしていくという態度が大切です。
また、本人が人の好き嫌いが激しい、怒りっぽいなど、トラブルを起こしやすい性格である場合は、事前にその旨を伝えておくことも重要です。施設側がそれを受けて、部屋の配置や食事時の席などを配慮してくれるでしょう。
まとめ
老人ホームにおける人間関係トラブルは、あることが大前提です。それを踏まえて、いかに先手を打って対処をしていくかが大切です。そのためには、施設側に任せきりにするのではなく、家族が施設とタッグを組んで臨む必要があります。
家族は施設に頻繁に訪問し様子を確認しておくと同時に、施設のスタッフとのコミュニケーションを積極的に取りましょう。本人の施設でのQOL(生活の質)を高めるには、家族の力が必要不可欠であることを、改めて心に留めておきましょう。