質問

祖父が老人ホームに入居しています。お礼の意味も込めて日頃お世話になっているスタッフや、祖父と仲のいい入居者の方に差し入れをしたいのですが問題はないでしょうか?
また、持参するならどんなものが喜ばれますか?

回答
武谷 美奈子

お世話になっている方々にお礼として、差し入れや手土産を持参したいという気持ちはありますよね。しかし差し入れについては、施設によって考え方や受け取り方が違います。場合によっては断られるケースがあることも心得ておきましょう。
もしも持参する場合は、施設側にとっても負担のないものを選ぶのがポイントです。

このページでは、差し入れに対する考え方や心得ておくべき点について解説します。施設への感謝の気持ちを伝えたいときに参考にしてください。 武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

【目次】
  1. 老人ホームに差し入れはしなくてもよい
  2. 差し入れを断る老人ホームもある
  3. 差し入れOKの場合に喜ばれるもの
  4. 食事制限も?他の入居者への差し入れは要注意
  5. 大切なのは「感謝の言葉」
  6. まとめ

老人ホームに差し入れはしなくてもよい

施設でお世話になっている方々に、「感謝の気持ちを込めて差し入れをしたい」と思う気持ちは、とてもよくわかります。実際に、差し入れを持っていったことのあるご家族もいらっしゃることでしょう。ですが、基本的差し入れは必要ありません

差し入れの有無によって施設側の対応が変わることはあってはいけないですし、善意の差し入れという行為が、入居者の人間関係に影響を及ぼしたり、思わぬ事故につながったりと困った状況を作り出すこともあります。家族もそのことを心得ておく必要があるでしょう。


差し入れを断る老人ホームもある

最近は、施設の方針として、差し入れを辞退すると明確にしている老人ホームも増えています。
理由は、それぞれの入居者への待遇に不公平さが出てしまうことを避けるためです。品物を受け取ってしまうと、ご家族にそのつもりはなくても、スタッフは良い対応をしなくてはと意識してしまうことがあります。

また、差し入れが当然という空気になると、他の家族余計な負担をかけることにつながります。そのような状況を作りださないことも施設運営の責任と言えます差し入れを断られた場合は、すんなりと受け止めましょう。断るときはスタッフ心苦しい思いをしていますし、無理して受け取ることで上司に怒られてしまうなど、スタッフにとって迷惑となる場合もあります。

差し入れOKの場合に喜ばれるもの

ご家族からの差し入れがあった場合に、気持ちを汲んでありがたく頂戴するという施設もあるでしょう。その場合は、負担にならず喜ばれるものを持っていきたいですね。

よく選ばれるものとして、休憩時に食べてもらえるお菓子が一般的です。クッキーやお煎餅など、小さな個装になっているものであれば、スタッフで分けられますし、持って帰ることもできます。生菓子は避けて、日持ちのするものが良いでしょう。

また、高額なもの金券などは、常識としてやめましょう。賄賂と誤解され周囲の人不快感を与えますし、盗難など余計なトラブルの原因にもなります。



食事制限も?他の入居者への差し入れは要注意

他の入居者の方への差し入れは、必ず施設のスタッフに相談しましょう。

差し入れの内容によっては、もらった方の持病や健康状態で体調を崩す原因になったり、誤嚥(ごえん)などの事故につながる、といったことが考えられます。

特定の入居者だけに対する差し入れも、控えたほうが良いでしょう。何故なら、各フロアにおける人間関係思いもしない影響を与えることがあるからです。

「あの人はもらったのに自分はもらってない」、「自分がもらってお返しをしたいけれど、家族が持ってきてくれない」など、優越感や劣等感を植え付ける原因にもなり得ます。

どうしてもお礼をしたいと思うときは、施設のスタッフに相談しましょう。ご家族に渡してもらうなどの配慮をしてもらえるかもしれません。

また、施設側が知らないところ差し入れのやり取りが行われた場合でも、何か起こったとき責任を問われるのは施設です。そのような事態になり得ることはしないということも、マナーと言えるでしょう。


大切なのは「感謝の言葉」

感謝の気持ちを伝える方法は品物を渡すだけではありません。

スタッフに対しては、感謝の言葉をかけることが一番気持ちが伝わるのではないでしょうか。ご家族から「ありがとう」という言葉は本当に嬉しいとよく聞きます。

「こんなふうにしてくれて助かっている」など、具体的な行動に対して感謝の気持ちを伝えてみましょう。スタッフとしては、自分のしていることを理解して評価されたと喜びを感じ、仕事の張り合いが出るものです。

また、施設にお任せするだけでなく家族が介護に対する協力姿勢示すことも、スタッフにとってはありがたい心遣いだと言えます。頻繁に施設に顔を出したり、入居者本人の話をよく聞いてあげたりして、スタッフと本人をつなぐこと家族の役割と言えるでしょう。



まとめ

感謝の気持ちを品物に託して贈ることは、お中元やお歳暮など日本の文化や習慣でもあります。しかし、そこにはさまざまな状況に対する心遣いやマナーがあるからこそ、日本人ならではの美しい習慣となります。

そう考えると、施設への差し入れは、さまざまな状況を踏まえると難しいものがありますね。善意の押し付けにならないためにも、施設の方針に従うのが一番と言えるでしょう。

ただ、施設を退去するときに、それまでのお礼として、スタッフの方々に差し入れすることは問題ありません。もちろん、品物は負担にならないものであることを覚えておきましょう。

このQ&Aに回答した人

武谷 美奈子
武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。