質問

一人暮らしの高齢の母(82歳)は、新型コロナウイルスの感染を恐れ必要以上に外出を避けています。
高齢者は重症化のリスクが高いと聞きますが、自宅に籠りきりという生活も健康的ではない気がします。注意すべきことがあれば教えてください。

回答
LIFULL介護 編集部

過度な行動制限はフレイルを招く可能性があります。
人ごみは極力避けるべきですが、天気の良い日には公園など開放的な場所で散歩をしたり、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使ってみることも運動になります。

ここでは、高齢者が長期間自宅に籠ることで考えられるフレイルのリスクと、その予防策について解説します。 LIFULL介護 編集部

【目次】
  1. 外出自粛でフレイルリスクが高まる高齢者
  2. 活動量の低下がフレイルを招くことも
  3. フレイルの進行を予防する4つのポイント

外出自粛でフレイルリスクが高まる高齢者

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、政府は国民に向けて外出やイベントの自粛を広く要請してします。

海外では「外出禁止」となった国もあり、とくに重症化しやすいとされる高齢者に対しては、不要不急の外出をしないように求めています。

政府の専門家会議の見解(2020年3月9日) によると、以下の3つの条件が重なったときに感染リスクが高まるようです。

1.換気の悪い密閉空間である

2.人が密集している

3.近距離での会話や発声が行われている

そのため、高齢者向けのイベントも軒並み延期・中止となり、日課のお散歩や買い物、友人との外食などを自粛している高齢者も多いのではないでしょうか。

しかし、新型コロナウイルス感染の不安に駆られ、外出を極端に控えてしまうと運動不足や孤立状態に陥り、フレイルを誘発しかねません。まずはそのリスクからみていきましょう。


活動量の低下がフレイルを招くことも

フレイルとは「虚弱」を意味し、健康な状態から要介護へ移行する中間の段階をさします。2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、フレイルは身体機能の低下だけでなく、うつ病などの精神面や、認知機能の低下にも影響を及ぼします。

>フレイルについてもっと詳しく知る


フレイルは本来、新型コロナウイルスと直接関係のない概念です。しかし、質問者さまのお母さまのように「自宅に籠りきり」という生活が長期化すると活動量が低下し、筋力も衰えて疲れやすくなります。

その結果、さらに活動量が低下するという負のスパイラルに陥ることに。また、活動量が低下すると空腹になりづらく、食事や水分摂取も減り、低栄養状態を招くこともあります。

こうした身体機能の低下は、行動意欲や認知機能の低下にも繋がるといわれています。何もする気が起きず、ベッドで横になる時間が増えることは、要介護状態に近づくことを意味します。

>廃用症候群│1週間の寝たきりで15%の筋力低下も


フレイルの進行を予防する4つのポイント

今回のお母さまのような方が、フレイルを予防・改善するために大切なのは4つ。①活動量を増やす、②栄養、③口腔ケア、④社会性を保つです。

①日常に運動を取り入れて活動量を増やす

活動量を低下させないためにも自宅でできる運動をしたり、できるだけ人ごみを避けて外出の提案をしてみましょう。

また、新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザ等の感染症を防ぐためにも、帰宅後はうがい、手洗い、手指の消毒も忘れないよう伝えてください。

●自宅でできること

・テレビをみながらストレッチ

・ラジオ体操やスクワット


●自宅の外で意識すべきこと

・空いている時間帯に買い物へ出かける

・公園など開放的な場所で散歩や軽い運動

>高齢期の歩行|歩くことのメリットと健康習慣


②バランス良い食事で低栄養を防ぐ

高齢で一人暮らしの場合、食事量が減ったり、食材が偏る傾向にあるので、栄養バランスを意識しましょう。特にたんぱく質を多く含む肉や魚を積極的に摂ることは筋力の維持にも繋がります。

毎日のことなので、調理が面倒と感じたらお弁当も積極的に利用するようにアドバイスしたらいかがでしょうか。コンビニではほとんどのお惣菜に成分表示がしてあるので、目安にするといいでしょう。

※カロリーや塩分など食事制限のある場合は医師に相談しましょう。

>低栄養について詳しくみる


③口腔ケアで嚥下機能の低下を防ぐ

加齢とともに飲み込む力(嚥下機能)が低下すると、食べものが気管に入り「誤嚥(ごえん)性肺炎」を引き起こす可能性があります。

一人暮らしのお母さまに「飲み込みづらさを感じることがないか?」などを確認し、必要があれば歯科医に相談しましょう。

また、口の中を清潔に保つことは感染症予防にも有効といわれています。毎食後の歯磨きの徹底もお伝えください。

>誤嚥(ごえん)を予防|自宅でできる嚥下リハビリ


④孤独を防ぎ社会性を保つ

外出機会が失われると社会との繋がりが希薄になり、こうした状況が続くと意欲の低下など精神面にも影響します。このときに大切なのは決して一人にさせないこと。

例えば、毎日数分でもいいから電話をして様子を伺ったり、行ける範囲でお母さまのもとへ足を運び、コミュニケーションをとりながら食事をするだけでも気持ちは晴れるものです。楽しく食事することで食欲も高まります。不足する日用品があれば買い物を手伝ってあげることもできますね。

***

収束の見通しが立たない新型コロナウイルスですが、いま必要なのは感染の拡大を防ぎながら家族が思いやりをもって支え合うことかもしれません。まずできることから始め、心身共に健康的な生活習慣を心掛けましょう。

>東大が考案!自分の「衰え」を点検できる「フレイルチェック」とは?


執筆:LIFULL介護編集部