JR土呂駅から徒歩5分。さいたま市北区の住宅街にある「スタイルケア 緑の森小池ホーム」は、シン建工業株式会社が運営するサービス付き高齢者向け住宅です。隣接する小池内科クリニックの小池先生と密に連携し、看護師が24時間常駐する体制で、医療的なケアが必要な方も安心して暮らせるホームとして知られています。
医療と暮らしの間で、スタッフはどのような思いでご入居者やご家族と向き合っているのでしょうか。副施設長の大塚篤子さんと、介護支援専門員(ケアマネジャー)の前川由香利さんにお話を伺いました。
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介護・医療のケアと暮らしの楽しみを大切にする、懐の深いホーム
──はじめに、お二人のこれまでのキャリアと、現在のお仕事を教えてください。
大塚さん:看護師として横浜の病院で働き始め、結婚を機に埼玉へ移りました。病棟勤務や看護教員を経て出会ったのが訪問看護です。約13年間、訪問看護一本で働き、その間にケアマネジャーの資格も取得しました。その後「施設での看護も経験してみたい」と大手の有料老人ホームで15年弱勤務し、2026年5月からこちらでお世話になっています。現在は看護師のチームを束ねながら入居のご相談窓口などを担当し、小池先生とご家族、スタッフの間をつなぐ役割も担っています。
前川さん:私は音楽療法士として社会福祉法人や高齢者施設で働いてきました。高齢者福祉に関わるうち、「もっと生活そのものに寄り添いたい」と思い、介護の資格を取りました。出産・育児を経て、障がい者福祉で13年ほど、その後は高齢者の訪問介護に7年ほど携わり、ケアマネジャーの資格を取得。こちらに入社して1年3ヶ月ほどになります。ご本人とご家族のご意向を伺い、看護、介護、機能訓練指導員といった多職種と共有しながら、より良い暮らしにつながるケアプランを立てています。
──こちらのホームならではの特徴を教えてください。
大塚さん:このホームは小池先生がつくられたホームで、主治医は小池先生お一人です。先生との距離がとても近く、夜間に何かあっても電話で連絡が取れますし、必要であればその場で点滴などの処置を行うこともできます。看護師が24時間常駐しているので、常に医療の目がある安心感は大きいと思います。実際、胃ろうやバルーン(尿道に留置するカテーテル)、酸素などの医療的ケアが必要な方が、ご入居者の約4割いらっしゃいます。
一方で、暮らしの楽しみも大切にしています。月に一度は大きなアクティビティを用意していて、夏には花火大会をホームから鑑賞しました。お寿司やうなぎといった特別食も「久しぶりに食べたなあ」と好評です。その様子を写真でお見せすると、ご家族も一緒に喜んでくださいます。
<副施設長の大塚さん>
前川さん:44室という、大きすぎない規模も特徴だと思います。ご本人やご家族のご意向が各職種の専門家に届きやすく、すぐに行動に移せるんです。ご家族からも「お願いしたことがすぐ反映されるのでありがたい」という声をいただいています。アットホームな雰囲気が、面倒見の良さにつながっているのではないでしょうか。

──働く側として、このホームの良さはどんなところにありますか。
大塚さん:受け入れてくれる「懐の深さ」でしょうか。私は役職付きでの中途入社だったので、最初は関係づくりが難しいかなと身構えていたのですが、まったくそんなことはありませんでした。入社して1ヶ月も経たないうちに、以前在籍していた職員さんの話を「知っているでしょう?」という調子でされて、「私、まだ入社1ヶ月ですよ」と笑ったことが何度もあります。それだけ自然に、前からいる人のように迎えてもらえる。そんな雰囲気が好きです。
<ケアマネジャーの前川さん>
前川さん:私は医療の面では素人ですが、ここには違う分野で長くキャリアを積んだ専門職がそろっていて、学ばせていただくことばかりです。看護師さんからは排尿ケアや胃ろうの交換について教わり、ケアプランを組むときの優先順位の考え方がずいぶん変わりました。
こちらでは、ご入居者お一人につき週2回、1回30分の機能訓練があるのですが、機能訓練指導員の柔道整復師さんは、一人ひとりの筋肉の使い方に合わせて計画を立てています。皆さん、忙しい時間に質問しても、嫌な顔ひとつせず根拠を持って教えてくださる。それが、ご入居者にとって最適なプランの作成につながっていると思います。セクショナリズムにならずに連携できるこの環境に入れて、本当に幸せに感じています。

迷ったときは、ご入居者ファーストで
──お仕事のうえで大切にされていること、こだわりを教えてください。
前川さん:私は、言葉にならない部分を感じ取ることを大切にしています。表情やしぐさ、声の大きさやトーン。口には出されないけれど「本当はこういうお気持ちもあるのかな」と心に留めておくんです。最初に音楽療法士をしていたので、相手の反応を見るのが癖になっているのだと思います。ホームへの入居は、ご本人にとってもご家族にとっても日常とは違う出来事で、緊張されている方も多い。その方が本当に思っていたことを汲み取っておくことが、信頼関係につながると感じています。
大塚さん:ひとことで言えば「ご入居者ファースト」です。看護、介護、運営とそれぞれ視点が違うので、どうしても意見がぶつかる場面があります。できる限り調整しますが、折り合いがつかないときに何を優先するかと考えると、やはりご入居者なんです。ここを選んで入ってきていただいた以上、一番に考えるべきはご入居者。治療を優先したくなる場面でも、「本当にそれがご本人のためなのだろうか」と立ち止まることがあります。

──その「ご入居者ファースト」が表れたエピソードはありますか。
大塚さん:以前、病院では食べることを止められていた方が入居されました。飲み込む力はかなり弱くなっていたのですが、小池先生が「いいじゃない、好きなものを食べさせてあげよう」とおっしゃって。嚥下(えんげ)の評価ができる外部のスタッフにも入ってもらい、「1食につき5口までなら」という形で食事を再開しました。ご家族は少しでもカロリーを摂ってほしいと望まれていたので、おかゆやペースト食にカロリーを補うオイルを加え、その5口に詰め込むように工夫しました。
こちらで過ごされたのは1ヶ月ほどでしたが、ご本人が「食べたい」と思われるうちは、最後まで口から召し上がることができました。面会も自由なので、お孫さんたちがいつも周りにいて、にぎやかに過ごされていました。ご家族からは「同じ1ヶ月でも、病院にいたときとここでは顔がまったく違いました」と言っていただきました。ご本人の尊厳を守れたことが何よりうれしかったですね。先生が近くにいて、何かあってもすぐに対応できるからこそ、「どうぞ、うちで」と受け入れられる。医療との密な連携があってこその関わりだと思っています。
「すみません」は、いらない。自宅と地続きのホームに
──今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
大塚さん:私はキャリアの集大成という気持ちでここにいます。大切にしたいのは、職員が機嫌よく、生き生きと働ける環境です。仕組みも設備も含めて、見直すべきところはひとつずつ改善していきたい。働く人が楽しそうな場所には活気があって、それはご入居者にも伝わります。その雰囲気を感じて「ここに入りたい」と思ってくださる方が増えていく。そういう良い循環をつくっていきたいですね。
前川さん:私は福祉用具について、もっと勉強したいと思っています。持ちやすい食器や歩行を助ける道具などを上手に取り入れれば、これまで介助が必要だった動作をご自分でできるようになるかもしれません。それはきっと、ご本人の自信にもつながると思います。

──お二人にとって、理想のホームとはどのような場所でしょうか。
前川さん:ここで最期を迎えられる方もいらっしゃいます。そのとき、ご家族に「ここで暮らせてよかった」「ここで看てもらえてよかった」と心から思っていただける施設でありたい。そのためにスタッフ全員が同じ方向を向いて、ケアプランを立てていきたいと思っています。
大塚さん:ご本人にとってもご家族にとっても、自宅と地続きの、壁のないホームです。正直なところ、喜んでホームに入ってこられる方は、そう多くはいらっしゃいません。ご家族も「本来なら自分たちが看るべきなのに」という罪悪感を抱えて預けていかれることが少なくありません。面会に来られても「なかなか来られなくてすみません」とおっしゃるんです。でも、すみませんなんて言わなくていい。私たちは家族ではありませんが、家族と同じ思いでご入居者を見ています。自宅もホームも、同じ「家」。だったら、その間に壁はなくていいはずです。ご家族には「私たちがしっかり見ていますから、ご自身の生活も大切にしてくださいね」とお伝えしています。入居されたご本人には「来てみたら、意外と快適じゃない」と感じていただき、ご家族には遠慮なく、安心して預けていただける。そんなホームにしていきたいと思っています。

(記事中のサービス内容や施設に関する情報は2026年9月時点の情報です)








