岐阜県恵那市の高台に立つ「ハートウイング」は、建築界の巨匠、安藤忠雄氏が設計した自然と共生するコンクリート造りが特徴的な、サービス付き高齢者向け住宅です。元気なうちから要介護度が高くなっても住み続けられ、小型のペットとの同居も可能。桜や花桃が彩る約1kmの散策路など豊かな自然環境の中、充実した日々を過ごすことができます。

今回お話を伺ったのは、笑顔の絶えない加藤八千代さん。入居の経緯や、日々の暮らしについてお聞きしました。




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中津川で約80年。入院を機に入居を決意


──加藤さんは、これまでどのような人生を歩んでこられたのですか?

加藤さん:私は生まれてから約80年間、ずっと隣町の中津川市で暮らしてきました。息子と娘が1人ずつおり、孫が3人、ひ孫も4人います。なかなか会う機会はないのですが、みんな元気にしていると聞くと嬉しいですね。息子・娘が独立してからは、夫と2人で暮らしてきたのですが、コロナ禍の時期に夫を亡くし、1年ほど一人暮らしをしていました。

──そこから、ハートウイングに入居されるまでの経緯を教えてください。

加藤さん:あるとき、腰を圧迫骨折し歩けなくなって恵那の病院に入院しました。 治療は無事に終わったものの、まだ1人で生活できる状態ではありません。かといって、病院にずっといられるわけでもない。そこで紹介されたのが、ハートウイングと同じ系列の介護老人保健施設「こころ」で、しばらくそこでお世話になりました。

<緑豊かな環境のハートウイング(外観)>

加藤さん:「こころ」は在宅復帰を目指すための施設だったので、ずっといられる施設ではありませんでした。体調が回復したので次の住まいをどうしようかと考えていたところ、スタッフの方が、ハートウイングのことをいろいろ教えてくれたんです。散歩もできるし、カフェもある。少し行ったところにはスーパーもあって、自由に出かけられる環境で暮らせるからと。

もう一人暮らしは不安が大きかったんです。何かあっても誰かが気づいてくれる環境で暮らした方が良いだろうと。子供たちもそのほうが安心だと賛成してくれて、こちらに入居することになりました。

<インテリアがおしゃれで、過ごしやすい館内>

自由な暮らしと、栄養と季節感を考えられた食事


──こちらでは日々をどのように過ごされていますか?

加藤さん:スケジュールが決まっているのは、月曜日です。デイサービスに行き、その帰りにスーパーやドラッグストアに寄って日常的な買い物をします。あとは、火曜日や水曜日に折り紙教室が開かれるときに参加して、折った作品を部屋の壁に貼ったりしています。それ以外に決まった予定はなく、体操に参加したり、季節が良いときには近所をお散歩したり、友人と会うこともあります。

部屋では、点つなぎや塗り絵をしたり、テレビを見たり。以前は編み物もしていたのですが、今はあまりやらなくなりました。何かをしなければ、というより、その日その日で気の向くことをして過ごしている感じです。

──お食事についてはいかがですか?

加藤さん:基本的に3食とも食堂でいただいています。季節や栄養を考えてくださったメニューになっています。テレビでおいしそうな料理を見ると、こういうのを作って食べてみたいなと思うこともあるのですが、いざ1人で作るとなると大変だろうなと。用意していただけるのは、本当にありがたいことです。たまに苦手なおかずが出たときは、スーパーで買ってきたお惣菜を少し足したりすることもあります。買い物のちょっとした楽しみのひとつになっています。

季節の花やイベントでの外出を楽しみに


──日々の生活の中で楽しみにされていることはありますか?

加藤さん:すぐ近くに遊歩道があり、気候が良い時期は毎日のように散歩を楽しんでいます。特に春は、桜や花桃が綺麗に咲き誇るので、30分ほどをかけてゆっくりと見ています。桜は、私の部屋のベッドからも1本だけ見えるんです。だから春は特に楽しみですね。

友人が面会に来てくれて「コーヒーを飲みに行こう」と外に連れ出してくれることもあります。自分では交通手段がないので、こうして誘ってもらえるのは、とても嬉しいです。

──イベントなどにも参加されることはありますか?

加藤さん:もちろんです。施設内での運動会やかき氷といったイベントも楽しみですし、菜園の野菜の収穫をしたこともあります。自分で収穫した採れたてのキュウリのみずみずしさは、忘れられません。

中でも一番の楽しみは、小旅行です。仲間とお寿司を食べに行ったり、常滑の海岸へも行ったりしました。娘にその話をしたらとても喜んでくれました。母が楽しそうに生活をしていると知り、安心したのだと思います。そんな娘の反応が私も嬉しくて。

秋にはリンゴ狩りも予定されているそうなので、それにもぜひ参加したいと思っています。まだ行ったことのない水族館にも、いつか連れて行ってもらえたら嬉しいです(笑)。


優しいスタッフに支えられ、これからも元気に


──スタッフの方々の印象はいかがですか?

加藤さん:とにかく優しく親切な方ばかりで、ありがたい気持ちでいっぱいです。掃除や洗濯もしてくださって、私はご飯を食べることだけが仕事というくらいなんですよ(笑)。私は元気なほうなので、日常的にお世話になるわけではないのですが、それでも常に見守ってもらえている安心感があります。

この間も、「八千代さん、今日はかわいい服着てますねー」って声をかけてもらえて。ちょっとしたことなんですけど、嬉しいものですね。地元の方が多いのも、なんとなく親近感がある理由のひとつかもしれません。

火曜日にはお医者さんが診察に来てくださるので、何かあったときにすぐ相談できるのも心強いです。わざわざ自分から出向かなくても良いので助かります。

──これからの暮らしについて、思うことはありますか?

加藤さん:実は私はもう家じまいをしました。もう戻る家はないんです。最後まで、ここで過ごすつもりでいます。

だからこそ、できる限り元気でいたいんです。そのため、毎食後には廊下を少し歩いて、部屋に戻ってからストレッチをするのが習慣になりました。一人暮らしのときは、家事で自然と体を動かしていましたから、今はその分、意識してやるようにしています。ここでの暮らしに満足しているからこそ、これからも自分の足で歩いて、元気に過ごしていきたいですね。