一人ひとりを大切にするユニットケアを基本に、園芸療法や音楽療法などで心豊かな時間づくりに力を注ぐ「ディアージュ神戸」の介護棟「シエル」。手間を惜しまない介護でご入居者の毎日を豊かに支えています。その想いや取り組みについて、支配人の近藤さんにお話を伺いました。


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少人数だからこそ実現できる、一人ひとりを大切にするユニットケア


──介護棟を見学させていただきましたが、明るく落ち着いた雰囲気で生活の場という空気を感じました。

近藤さん:ありがとうございます。私たちが目指しているのは、「介護を受ける場所」ではなく、「その人らしく暮らし続けられる場所」です。そのために「ユニットケア」を採用しています。

ユニットケアとは、少人数の入居者様を一つの生活単位(ユニット)として支える介護の考え方です。大規模な施設のように一律の生活を送るのではなく、ご自宅で暮らしていた頃に近い家庭的な雰囲気の中で過ごしていただけます。スタッフとの距離も自然と近くなり、小さな変化にも気付きやすいことが大きな特長です。

ディアージュ神戸の介護棟では1フロア24名を12~13室×2ユニットに分け、一般的な施設よりも居室や共用空間にゆとりを持たせています。

──ユニットケアを採用することで、より入居者様に寄り添うことができるのですね。

近藤さん:はい。私たちは、その方がこれまで大切にされてきた生活リズムや習慣をできる限り尊重したいと考えています。もちろん安全は第一ですが、それだけでは豊かな毎日にはなりません。例えば、お食事の時間も、ただ栄養を摂るだけではなく、「今日は何を食べよう」「皆さんと一緒に食べるとおいしいね」と感じていただける時間にしたいと思っています。日々の何気ない時間をどう過ごしていただくか。その積み重ねが、その方らしい暮らしにつながっていくのではないでしょうか。

──お部屋も比較的広いと伺いました。

近藤さん:居室は約28m²と、介護施設としてはゆとりのある広さがあります。ご自宅で使っていた家具や思い出の品を持ち込んでいただけるので、ご本人にとっても落ち着ける空間になります。大好きな野球選手のグッズを並べたり、趣味の絵を飾ったりと、皆さん自分らしい部屋にしておられます。IHコンロのついたキッチンも付いています。

また、ドアの幅も広く設計していますので、必要に応じてベッドのままフロアへ出ることもできます。


近藤さん:浴室も充実しています。介助浴室と介護浴室を全フロアに設けているので、入浴のためにフロアを移動する必要はありません。また、介助浴室は個浴設備になっており、各フロアとも1ヶ所の個浴設備に温泉が張れるようになっています。寝たままで入浴できる設備など、最新の機器を揃えています。



毎日の安心と健康を支える、専門職スタッフの連携


──介護棟では、多くの専門職が連携して入居者様を支えておられます。

近藤さん:はい。介護士や看護師をはじめ、それぞれの専門性を持ったスタッフが日々情報を共有しながら、一人ひとりの入居者様を支えています。体調の変化はもちろんですが、「今日は食欲が少し落ちている」「表情がいつもより元気がない」といった小さな変化も見逃さないよう、それぞれの専門性を生かしながら支えています。

また、日頃からスタッフ同士のコミュニケーションを大切にしています。「少し歩き方が変わった」「今日は会話が少ない」といった気付きも共有することで、早めの対応につながることがあります。入居者様に穏やかに毎日を過ごしていただくためには、こうした積み重ねがとても大切だと考えています。


──日々の小さな変化に気付くには、設備なども重要です。

近藤さん:その通りです。私たちはICTも積極的に活用し、見守りセンサーや眠りスキャンを使って、夜間も入居者様の状態を把握できる体制を整えています。介護用リフトなども活用し、スタッフの身体的な負担を軽減しています。

さらに、スタッフ同士はインカムで常に連携を取りながら業務を進めています。フロアを移動しながらでも必要な情報をすぐに共有できます。そのため、困ったときも迅速に応援に入ることができ、入居者様をお待たせする時間の短縮にもつながっています。夜間でもスタッフがすぐ駆け付けられるので、ご家族にも安心していただいています。



──便利な機器を導入することが目的ではなく、人と向き合う時間を大切にするためなのですね。

近藤さん:はい。介護は人と人との関わりですから、会話をしたり、一緒に笑ったり、時には悩みを伺ったりする時間が何より大切だと思っています。だからこそ、機械に任せられることは機械に任せ、人にしかできないことへスタッフの力を注いでいます。

ノーリフトケア(※)を導入しているのもその1つです。スタッフの身体的な負担を減らすことで、安全な介助につながりますし、無理なく長く働ける環境づくりにもつながっています。スタッフが心に余裕を持って働けることが、結果として入居者様へのより良いケアにつながり、安心できる毎日を支える土台になると考えています。

※ノーリフトケア:人の力だけで抱え上げず、専用のリフトなどを使って介助を行うこと。



自然に親しみ、音楽に耳を傾け、心が動く時間を大切に


──園芸療法や音楽療法にも力を入れていらっしゃるそうですね。

近藤さん:介護が必要になったからといって、毎日が単調になってしまうのは寂しいですよね。私たちは、生活に小さな楽しみや季節の移ろいを感じられる時間を大切にしています。その代表的な取り組みの一つが園芸療法です。

ディアージュ神戸には車椅子でもゆったりと移動できる広い庭や屋上ガーデンがあり、四季折々の花や果樹、野菜を育てています。入居者様には、苗を植えたり、水やりをしたりと、それぞれの体調に合わせて無理なく参加していただいています。


──自然に触れると気持ちも明るくなりそうです。

近藤さん:そうですね。昔、ご自宅で庭づくりや家庭菜園を楽しまれていた方も多くいらっしゃいますから、土や植物に触れることで、自然と昔の記憶がよみがえったり、会話が弾んだりすることがあります。

園芸療法には、認知症の進行を緩やかにすることや心を落ち着かせることも期待されていますが、それ以上に「今日は花が咲いたね」「もうすぐ収穫できそうだね」と、毎日の暮らしに楽しみが生まれることが大きいと思っています。

そして、心を豊かにしてくれるのは自然だけではありません。音楽療法では、懐かしい歌を皆さんで口ずさんだり、音楽に合わせて身体を動かしたりしています。

普段はあまりお話をされない方が歌になると自然と口ずさんだり、ご家族が驚くような笑顔を見せてくだることもあります。音楽には、その方らしさを引き出してくれる不思議な力がありますね。

──ほかにも、日々が楽しくなる取り組みをされていると伺いました。

近藤さん:スタッフの提案でいろんな取り組みをしています。先日行ったドッグセラピーでは、犬と触れ合うことで自然と表情が和らぎ、会話が増える方がいらっしゃいました。また、女性の入居者様には、お誕生日にネイルを楽しんでいただいています。私にはない発想でしたがとても好評で、日頃入居者様に寄り添うスタッフらしいアイデアだなと感じました。

また、住宅棟と合同で行っている夏祭りは、お祭りらしい屋台メニューが並び大いに盛り上がります。入居者様のご家族や地域の方々も来られるので、とても賑やかな1日になります。

──介護を受ける毎日ではなく、暮らしを楽しむ毎日を大切にされているのですね。

近藤さん:私たちは、「介護棟だから自由がなくなる」という場所にはしたくありません。もちろん安全に生活していただくことは大前提ですが、その中でも、その方が好きだったことや心が動く時間をできるだけ大切にしたいと思っています。

花を育てること、好きな歌を歌うこと。そんな何気ない時間こそ、その方らしい人生の一部です。これからも、お一人おひとりが「今日もいい一日だった」と感じられる毎日を積み重ねられるよう、私たちは手間を惜しまず支え続けていきたいと思っています。