他業種からの転職組である穐山佳文さんは、介護業界の大変さを知ることで、逆にやりがいを感じ、自分に合った職業だと感じたといいます。
介護士になって1年、バイタル(体温・脈拍・呼吸・血圧・意識)を見て入居者の微細な変化にも気づけるようになった穐山さんに、入居者への思いを伺いました。
「人の役に立つ仕事がしたい」と選んだ介護職
――まずは介護業界に入ったきっかけを教えてください。
もともと派遣スタッフとして、製本会社などさまざまな仕事をしてきたのですが、いつの頃からか人の役に立つ仕事がしたいと思うようになりました。たまたま医療関係の学校のパンフレットを目にし、まずはそこで勉強をすることにしました。
――医療関係というと?
医療事務です。ただ、その学校は福祉についてもまんべんなく学ぶ学校で、介護の知識や実技を学ぶカリキュラムも組み込まれていました。それで、こういう世界もあるんだなと知ったんです。
学ぶうちに介護の方が自分に合っている気がして、医療事務ではなく介護士の道を選びました。通っていた学校が近かったこともあり、ようせいメディカルヴィラを見学したのが2016年の4月です。
――最初の印象はどうでしたか?
新しくてとてもいい施設だと感じました。もともと医療に興味があったので、医療連携の形態は、まさに願ってもない職場だなと。3カ月の試用期間を経て社員になってから、ちょうど1年になります。
介護職に求められるのはコミュニケーション力
――一般的に厳しい業界といわれていますが、大変な1年だったのでは?
当然そういう話は耳にしていましたが、思っていたほどではありませんでした。もちろん人の命を預かる仕事ですから、他業種に比べて責任が重い部分はあると思います。とはいえ、役に立つ仕事がしたいという気持ちが強かったせいか、当たり前に受け止められました。
どちらかというと、仕事内容よりも人間関係が心配でした。仕事柄、皆さんピリピリしているんじゃないかと……。実際に働いてみると和気あいあいとした雰囲気で、働きやすい職場だったので、すぐになじめました。この職場はコミュニケーションの達人ぞろいですね。
――そんな先輩方から、どういったことを学んだのでしょう。
先を見越した細やかな指導を受けています。当然、先輩方にも初心者だった頃があるので、新人が失敗しやすい状況や、その対応策などの経験が蓄積されています。「こういう状況ではこういうことをしてしまいがちだから気をつけてね」と先にガイドをしてくれるので、私はだいぶラクさせていただいています(笑)。
――入居されている方に対して、特に気をつけていることは何ですか。
何よりも安心して暮らせる環境を整えることです。私が担当しているフロアには認知症の方が多く入居されているので、できる限り不安や不穏といった心の状態にならないような環境作りを心がけています。
入居者さまが不安になって眠れないときなどは、とにかく安心されるまで根気強く声かけを続けるのですが、皆さん同じ対応というわけにはいきません。その方に適した、さらにはそのときの心の状況(不穏になった理由)に合った方法を探りながら、声のかけ方を変えていきます。
安心していただくには、結局コミュニケーションしかないと思っています。そうして、入居者さまが安心して笑顔を見せてくれたとき、この仕事にやりがいを感じます。
医療の知識を増やして、もっと人の役に立てる介護士に
――ようせいメディカルヴィラでは、毎朝、介護スタッフが入居者のバイタルチェックをするとお聞きしました。
体調が安定している方も、そうでない方も関係なく、毎朝介護士が入居者さまのバイタルチェックをします。熱がないか、脈に異常はないかなど、皆さんの体調を確認し、結果をナースに報告、必要があればナースの判断でドクターに往診を依頼します。
――入居者が病院に行くのではなく、ドクターが往診に来てくれるんですか?
動けない方も多いですし、認知症の方の場合は環境の変化を嫌がりますからね。レントゲンやCTをとる必要がなければ、なるべく自室で診察してもらいます。
――それは医療連携に特化するようせいメディカルヴィラの最大のメリットですね。
はい。主治医が往診に来てくれるというのは、入居者さまにとっても介護する我々にとっても安心できます。ただ一番重要なのは、日々の暮らしのなかで入居者さまと関わる時間がもっとも長い介護士が医療知識を持ち、いち早く入居者さまの異変に気づけることだと思います。
なかなか難しいことではありますが、今後、医療的な知識をどんどん増やして、もっともっと入居者さまのお役に立ちたいと思っています。定期的に勉強会も開催されているので、介護知識と医療知識の両方を学んで、介護士のスペシャリストを目指したいと思います。
(塚本佳子+ノオト)
(記事中の内容や施設に関する情報は2017年8月時点の情報です)