質問

自営業を営んでいた義理の父は、介護保険料を滞納しているかもしれません。
支払わないと、将来介護サービスが受けられないのでしょうか?

回答
中村 真佐子

介護保険料を滞納していると、自己負担額が増えてしまい、サービス自体も受けられなくなることがあります。
義理のお父様に保険料納付の確認をするとともに、もし滞納している場合は、納付方法などを市区町村の担当部署に相談をしましょう。 中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

【目次】
  1. 保険料を滞納した場合どうなってしまうのか
  2. 滞納期間が長引くとさらに負担が重くなる
  3. 保険料が減額・減免される場合も
  4. 滞納している場合は早めに相談を
  5. まとめ

保険料を滞納した場合どうなってしまうのか


介護保険料とは

介護保険は、介護サービスを少ない費用負担で利用できるようにつくられた国の制度です。

介護保険の財源は、半分が国民が納める保険料であり、40歳以上の国民皆が負担する義務があります。

もう半分は、国や地方自治体の税金で賄われています。65歳未満の人は健康保険料などと一緒に徴収され、65歳以上の方は、年金から天引きされます。年金が年額18万円未満の方などは、納付書で各自が納めることになります。


保険料未納は滞納処分の対象になる

納付期限までに保険料が支払われないと、行政から郵便・電話、或いは訪問などにより督促・催告されます

催告には滞納処分として、財産の仮差押えを行う旨の内容を通知します。この納付期限を過ぎてしまうと延滞金が発生し、滞納期間が長くなれば、介護サービスの自己負担割合も上がります。

実際に仮差押えが決定されたのは、平成28年においては、13,371人となっています。(厚生労働省資料より)差し押さえられる対象は、預貯金や生命保険等の金融資産です。

年金が年額18万円以下の方で滞納した場合、その配偶者や世帯主が連帯して保険料を支払う義務が生じます。

滞納が長引くと、介護サービスの「給付制限」が行われます。給付制限とは、介護サービスを利用したときに自己負担軽減のために受けられる給付が、滞納が解消されるまで一時的に止まることです。具体的に見ていきましょう。

【お役立ちガイド】介護保険制度とは?しくみをわかりやすく解説



滞納期間が長引くとさらに負担が重くなる


保険料の納付期限は2年

保険料を滞納して、督促状が届いてから2年が経過すると、時効により保険料が納められなくなります。時効によって納められなくなった保険料があるとその期間に応じて、給付制限が行われます。

滞納の期間別に具体的に見ていきましょう。

①1年滞納した場合
サービスの支払い方法が変わります。介護サービスを利用する際には、一旦全額(10割)負担をすることになり、あとから申請により給付費の8割もしくは9割が戻ってくるという方法に変わります。

例として、介護サービス費を毎月1割負担で2万円払っていたとすると、ひとまず10割の20万円を支払った後に申請をし、18万円が戻ってくる、といった支払方法に変わります。

②1年6か月滞納した場合
申請により払い戻される給付費の、一部または全額を差し止める措置がなされます。それでもなお滞納が続けば、その差し止めた分から、介護保険料が差し引かれることがあります。

①の例で考えると、申請により本来戻ってくるはずの18万円から、滞納している介護保険料分が差し引かれてしまいます。


③2年以上滞納した場合
介護サービスを利用した場合、本来1割もしくは2割で済む自己負担が、3割まで引き上げられます

①の支払い例で考えると、3割という自己負担になっているため、一旦全額を負担した後、戻ってくる金額は14万円になります。さらに自己負担額が高額になった場合に戻ってくる「高額介護サービス費」という制度も停止されるため、自己負担額が非常に高くなります。


このように、滞納期間が長くなると段階的に自己負担が重くなります。自己負担が重くなると、介護サービス利用自体のあきらめにもつながり、生活に大きく影響することとなります。くれぐれも、期日内の納付を守りましょう。


保険料が減額・減免される場合も

収入が少なかったり、災害により被災したなどやむ負えない事情の場合は、保険料の「減額」や「免除」が適用される場合があります。


減額されるケース

介護保険料は所得金額により決まります。標準値が「第5段階」と設定されており、所得が低い方は、その所得額により第4段階から第1段階まで減っていく仕組みとなっています。第1段階が最も減額され、その対象は生活保護を受けている方となります。

一方、所得の多い方は、第5段階の基準値から増えていき、最高14段階まで設定されています。保険料の金額は市区町村で異なり、多くの介護サービスの費用が必要な市区町村は、高めとなります。


減免されるケース

災害に遭い被災したり、扶養者の失業など収入が減るなど、特別な事情で保険料を納めることが困難になった場合は、保険料の減免や猶予が受けられることがあります。

そのほかにも低所得者による減免もあります。減免を受ける要件は市区町村で異なりますので、担当部署にまずは相談をしましょう。



滞納している場合は早めに相談を

いま介護保険サービスを利用していない方だと「保険料滞納で、給付が制限される」といわれても実感がわかないかもしれません。

しかし、介護サービスを受けていなくても、介護保険料を滞納していれば延滞金が高額になり、財産も差し押さえられる可能性があります。すべては自分に降りかかってくることです。

滞納の期間が長くなればなるほど、払わなければならない保険料に加えて必要のない支払いがどんどん増えていくのです。

ご家族がもしも督促状を見かけたら、ご本人に確認をしすぐにでも役所に相談に行きましょう。一時的に子供が介護保険料を立て替えて、滞納を切り抜けることが必要になるかもしれません。



まとめ

介護保険料は、強制的に支払う仕組みが整えられていますので、滞納になることはめったにありません。

ただ、年金が少なく納付書で支払う方は、収入が少ない上に、自ら支払いに出向かなければならず、滞納しがちです。質問者さんのように自営業の方ですと、年金額の少ないケースもあります。

心配な家族がいる場合は、郵便物に督促などの送付物がたまってないか注意しておきましょう。


【はじめての方へ】介護保険料の支払い|年金から引かれるってご存知ですか?

このQ&Aに回答した人

中村 真佐子
中村 真佐子(マイアドバイザー®登録FP)

ファイナンシャルプランナーとして、住宅ローン・教育資金など、若い世代の普通の家庭におこりうるお金周りの相談は、生活者目線を大切にしています。
社会福祉協議会で生活支援員としての活動もしており、高齢者や障害者の介護、住み替え、成年後見制度分野の相談も得意としています。