介護施設に空きがない…入居難易度や希望の老人ホームに入れない場合の対応

介護施設ではあらかじめ定員(ベッド数)が決まっているため、希望する施設に入居できないことがあります。希望施設に空きがないときの対策や、空きがあっても入居を断られるケースについてまとめました。また、空きがないときに検討したい施設も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

そもそも介護施設・老人ホームの入居難易度はどのくらい?

空きがないことの多い特別養護老人ホーム(特養)を例にあげると、要介護3以上の方のうち約25.3万人は、入所を希望しているものの待機状態です。要介護3とは、日常生活動作が著しく低下し、食事や排泄・入浴といった日常生活行為においてほぼ全面的な介護が必要な状態。介護施設での介護が必要にもかかわらず、特養の空きがなく、入居待ちをしている方が多いことがうかがえるでしょう。

なお、特養の入居者数は約63.2万人(令和4年)と多く、定員数も年々増加しています。しかし、施設数や人材の不足、高齢者の増加などにより、入居が難しい状態が続いているのが現状です。

出典:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」 出典:厚生労働省「介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」

しかし、他の施設種別であれば入居が容易なことも

特別養護老人ホームへの入居は難易度が高いですが、他の種類の介護施設や老人ホームであれば、入居できる施設が全くないという状況はほとんどありません。もし空きがないと感じているなら、少し視野を広げる必要があるかもしれません。

もちろん、一時的に満員の介護施設や有料老人ホームも存在しますが、同じような施設を見つけることは比較的容易です。そのため、条件を一度整理しなおすこともおすすめです。 

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希望の介護施設に空きがない場合は具体的にどうする?

・ケアマネジャーに相談する

・複数の施設に申し込む

・介護サービスを利用して在宅介護する

・ショートステイを活用する 

地域や施設の種類によっては、入居希望者が多く、待ち期間が長引くケースもあるでしょう。希望する施設に空きがない場合の対応方法について解説します。

ケアマネジャーに相談する

ケアマネジャーは、介護プランの作成や自治体・介護施設などと連絡調整を行う専門家です。希望する施設に入居できないときは、まず担当のケアマネジャーに相談してみましょう。施設の待ち状況を詳しく教えてもらえるだけでなく、より早期に受け入れが可能な別施設の紹介を受けられることもあります。

複数の施設に申し込む

入居待ちは入居を確約する手続きではないため、複数の施設に申し込むことも可能です。また、すでに施設に入居している場合でも、別の施設への転居を希望するときは入居待ちを申し込めます。入居を希望する施設があるときは、それぞれの施設に入居待ちを申し込んでおきましょう。空きが生じたときに連絡してもらえます。

介護サービスを利用して一時的に在宅介護する

施設に入居できないときは、一時的に在宅介護をする手段もあります。ケアマネジャーを通して訪問介護サービスを利用すれば、自宅に居ながらにしてホームヘルパーによる介護を受けられます。訪問型サービスには、訪問介護以外にも訪問看護や訪問リハビリテーションなどがあります。ケアマネジャーと話し合い、必要なサービスを在宅で受けられるようにしましょう。

ショートステイを活用する

長期的な入居が難しいときでも、一時的であれば入居できることがあります。例えば、入居待ちすることが多い特養でも、ショートステイ(短期入所生活介護)なら受け入れていることがあるため、問い合わせてみましょう。ショートステイは連続利用できるのは原則30日までですが、超過日数分は介護保険を利用せず、そのまま施設に住み続けるケースもあります。入居中に別の施設が見つからないときは、自宅に戻っての介護も検討する必要が生じます。

その他、介護施設への入居を断られる主なケース

・入居要件を満たしていない

・医療行為などのニーズに対応できない

・問題行動が見受けられる

・身元保証人や身元引受人がいない

・生活保護に対応していない など

介護施設に空きがある場合でも、入居を断られることがあります。例えば、施設ごとに「自立していること」や「要介護3以上であること」などの要件が定められており、こうした要件を満たしていないときは入居できません

医療行為やリハビリなどが必要な方であれば、対応できない施設から入居を断られる可能性があります。その他にも、認知症で暴言や徘徊などの問題行動が見られる場合も、本人に起こりうるリスク面を考慮し入居が難しくなることがあります。

また、入居希望者が生活保護を受けている場合なら、支給される生活扶助費以下で対応できる施設以外には入居できません。自治体やケアマネジャーと相談し、費用面で問題のない施設に申し込みましょう。

希望の介護施設に空きがない場合におすすすめのその他施設

・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

・グループホーム

・有料老人ホーム など

特別養護老人ホームなどの介護施設に空きがないときは、他の施設に目を向けてみてはいかがでしょうか。比較的空きが見つかりやすい施設を紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、スタッフによる生活相談や安否確認を受けられる施設です。外部の介護や医療のサービスを利用できる「一般型」と、施設内で介護サービスが提供される「介護型」があります。ただし、介護度が高いときは利用できないこともあるため、事前に入居要件を確認しておきましょう。

関連記事サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?費用や入居条件、他施設との違い

グループホーム

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症の診断を受けた高齢者患者を対象とした施設です。可能な限り自立して暮らせるよう、介護スタッフのサポートを受けつつ共同生活を送ります。グループホームでは他の入居者と家事を役割分担しながら生活するのが特徴です。暴言や暴力などの迷惑行為をする方や健康状態に著しい問題がある方はより専門的ケアを受けるために住み替えを検討する必要があります。

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有料老人ホーム

有料老人ホームとは、健康管理・家事・食事・介護のうち1つ以上のサービスを提供している高齢者向け施設です。介護を提供していない場合でも、外部のサービス事業所と別途契約すれば利用できることがあります。有料老人ホームによって入居要件が異なるため、要介護度や健康状態が変化すると退去を求められることがあります。事前に要件を確認しておきましょう。また入居費用も施設によってかなり幅があります。合わせて確認してみましょう。

有料老人ホームの種類とサービス

関連記事有料老人ホームとは?種類や定義、料金、人員基準など詳しく解説

まとめ

希望する介護施設にすぐに入居できるとは限りません。高齢者人口に対して施設が不足している地域や、特別養護老人ホーム(特養)のように入居希望者が多い施設に関しては、入居待ちになることがあります。すぐに入居できない場合に備え、在宅介護や民間施設も視野に入れておきましょう

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この記事の制作者

高畑 俊介

監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)

施設職員、通所介護事業所の生活相談員、居宅介護支援事業所の管理者などを経験。業界14年目の現役のケアマネジャー。業務のかたわら、フリーコンサルとしても開業。介護事業所向けのコンサルティング、Webサイト制作や広告デザイン(ブランディング)などの依頼も受注開始。SNSでは「幸せに働く介護職を増やしたい」をモットーに、業界を明るくする発信を続けている。

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