東京都品川区にある、介護付き有料老人ホーム『ニチイホーム南品川』に暮らす入居者の要介護度は平均1.9。全国の介護付き有料老人ホームの平均介護度が2.46(厚生労働省「特定施設入居者生活介護の受給者の実態①」より)といわれるなか、比較的介護度の軽い方がお住まいです。自分の時間を大切にしながらコミュニティにも参加する、楽しみ上手な方が多く暮らす老人ホームです。



こちらの施設には、なんと夫婦で入居可能な居室があるのだとか。夫婦居室は3室用意されていて、そのうち2室が利用されています。(2016年9月現在)。

また、隣り合った個々の部屋を借りて、スープの冷めない距離で暮らしているご夫婦もいるそうです。夫婦で暮らす老人ホームの生活って、いったいどんなものなのでしょう?『ニチイホーム南品川』ホーム長である、松下さんにお話をうかがいました。

落ち着いた雰囲気がすてきな、ニチイホーム南品川の居室【落ち着いた雰囲気がすてきな、ニチイホーム南品川の居室】

老人ホームに夫婦で暮らす

松下さん「ご夫婦での入居の場合、おふたりのご関係やあり方に合わせた住まい方を提案しています。夫婦部屋だとお一人で寛ぎたいときや、夫婦げんかでもしたときになかなか一人になるのも難しいですからね。居室を別々にとって食事の時間や気が向いた時だけ、一緒に過ごす暮らしをオススメすることもあるんですよ。」

「自立度が高い一方の配偶者の意思で入居を決められるケースが多く、相手の面倒を見るのは大変だけど、一緒には暮らしたいとおっしゃいます」、と松下さん。なるほど、老人ホームでは家事や洗濯はスタッフにお任せできるので、介護の負担がのしかからずに済みますね。

「たとえば、奥さまをスタッフにお任せして旦那さまだけ外出することも可能です。ご自宅での生活よりも、安心した気持ちで自由な時間を過ごせるようになった、って喜ばれるんですよ。」

逆に、ふたりで過ごす時間が多く他のお客様と関わる機会が少なくなりがちな夫婦には、アクティビティや食事での席の配置を工夫し、いろいろな方と会話を持てるように心がけているそうです。


【入居者のご家族との関係を大切にしていると語るホーム長の松下さん】

いつも専門家がそばにいる安心感

ホーム長である松下さんの仕事は施設の運営。それは入居者やご家族、そしてスタッフとの関係づくりそのものだといいます。

松下さん「お客様同士の関係、あるいはご家族との問題は責任者として誠実に対応したいと思っています。老人ホームを選んだものの、それが最善の選択肢かどうかはご家族も最後まで揺れているはずなんですよね。」

だからこそ、ここなら安心して親を任せられると感じてもらいたい、と松下さんは考えています。そのために、ご家族の不安や心配を早めにキャッチし、専門家の視点からできる提案を積極的に行なうことを大切にしています。

「たとえば認知症を発症しはじめたお客様が、夜見た夢を事実と誤認したままお話されて、なんだかおかしいなとご家族が戸惑われることがあります。

ホームで事前に生活の様子を報告したうえで、必要であれば提携医療機関での診察の提案までできれば、家族の心配は減りますよね。」

もしも自分の家で同じ状況が起こったとしたら、専門知識のない私が親の変化に果たして気がつけるのでしょうか。気づいたとして、その後どうしたらいいのでしょう?想像してみました。専門家がそばにいる安心感はこういうときに感じるものなのですね。

季節ごとに植物の変化を楽しめるよう設計されたバタフライガーデン

【季節ごとに植物の変化を楽しめるよう設計されたバタフライガーデン】

祖父との思い出が介護の道をひらいた

新卒でニチイケアパレスに就職し、介護職を経て現職に就いて5年目の松下さんですが、介護の仕事を選んだきっかけはなんだったのでしょうか。

松下さん「就職活動の時期に祖父が脳梗塞で倒れてしまったんです。それまでずっと部活に明け暮れていて、会いに行けなかったんです。引退して時間ができたこともあって通うようになって。行くと祖父が不思議と元気になるんです。その様子を見て祖母がありがとね、ありがとね、って言ってくれて。

その時に、なんか今まで感じたことのない嬉しさがこみ上げてきたんですよね。自分は祖父に会えるのがただ楽しかっただけなのに、相手も楽しんでくれてさらに周りにもありがとうって言ってもらえる。その出来事があって、自然に介護業界での就職を決意し、資格を取りに行きました。」

祖父の思い出を語り、思わず顔がほころぶ松下さん

【祖父の思い出を語り、思わず顔がほころぶ松下さん】

就職した頃は入居者に祖父母の姿を重ねて見ていたそうですが、最近はその姿を父母に重ねるようになったと松下さんは語ります。その変化は自分がホーム長としての責任をより具体的に考えるきっかけとなりました。

松下さん「今は病院でお亡くなりになるより、ホームで最後を迎えたいという方も増えています。ホーム長になってからご家族と直接お会いする機会が多くなり、その中では終末期をどうするかといった話題も当然お話することになります。

看取りの話をしたからといって、その時本気で終わりをイメージできるかといえば決してそうではなく、時が近づくにつれて徐々に考えが及ぶものだと思います。

そんなとき私たちが日々の関わりで知る、あの方はイチゴが好きだったなとか、そんなささいな記憶が看取りの間際でご家族にすごく役に立つことがあるんですよ。

だからお元気なうち、お気持ちが表現できるうちに、少しでもその方自身のことを私たちスタッフで把握することがすごく大事だと感じます。終末期にご家族をどうサポートできるかは、とても大切にしている考え方です。」

静かな街の一角に建つニチイホーム南品川

【静かな街の一角に建つニチイホーム南品川】

取材を終えて:終の住処を守るひと

親が老人ホームへ入居するということ。それは親子の関係をあらためて見つめ直す機会をもたらすのだと思います。私自身もこの取材を通じて、自分の両親とこれからどんな思い出を重ねていきたいかを考えてみようと思いました。

親の暮らす老人ホームに、自分でもまだ想像できない看取りの日に思いを至らせて、ずっと前からその準備をしてくれる人がいるとしたら、みなさんはどう感じますか?気になる方は『ニチイホーム南品川』の松下さんにぜひ会いに行ってみてください。