質問

同居する父親は要介護3で認知症があります。
在宅介護が限界なため、老人ホームへ入居させたいのですが、本人は帰宅願望が強く、特養のショートステイですら途中で帰ってきてしまう状態です。
良い説得方法があれば教えてください。

回答
西村 英記

在宅での介護は、限界を超えると介護者にとって非常に大きな負担になります。歳をとっても住み慣れた家に住み続けたいという希望をもっている方も多いため、老人ホームへの転居は抵抗があることでしょう。
また、特に本人が認知症を発症している状態ですと家族であっても意思疎通が難しい場合もありお互いが疲弊してしまいます。長年住んだ自宅を離れることは辛いものですから、帰宅願望があることはごく自然なことです。
ここでは、ご本人も家族もお互いが理解しあって、円満に生活し続けることが出来るようアドバイスいたします。 西村 英記(介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価)

【目次】
  1. 1. 在宅介護はどこまで可能か
  2. 2. なぜ入居を拒否するのか、本人の意向を確認
  3. 3. 本人に気持ちよく入居してもらうためのポイント
  4. まとめ

1. 在宅介護はどこまで可能か


そもそも在宅介護がどの段階まで継続できるのか?という問題は、本人の介護度や認知症の度合い、在宅で世話をする家族の生活形態によります。

そのため、限界ギリギリの段階まで放っておかず、早いうちから将来的な施設入居を想定しておくことも必要です。

今は在宅介護が出来ている状態としても、介護者が倒れてしまったり、体調次第では介護を続けることが難しい場合もあるので、訪問介護などの在宅サービスや、デイサービス等を併用し、本人には家族以外の人にも「介護」に慣れてもらうことも大切です。

また、本人が納得しない状態で老人ホームへの入居を無理に進めてしまうと、家族に対し「捨てられた」、「騙された」といった感情を抱き、家族間の関係が悪化してしまうこともあります。



2. なぜ入居を拒否するのか、本人の意向を確認


老人ホームへの入居を本人が拒んでいる場合、まずその理由を把握することから始めましょう。

●「老人ホーム=姨捨山」というイメージが強く入居したくない。

●生活に慣れている今の家に居続けたい

●環境が変わって周りの人と関係性が築けるか不安

など、入居を拒否する理由は色々あろうかと思います。


歳をとってから生活環境が変わることは誰しも不安なもので、こうした感情を抱くことは決して特別なことではありません。ですから、このような本人の思いに対して家族も安易に否定をしてはいけません。

老人ホームのどういった部分に対して不安をもっているのかを傾聴してください。場合によっては、ケアマネジャーなど家族以外の第三者へ協力を求めることも良いでしょう。

家族が聞くだけだと身内としての思いが強すぎて、家族側の気持ちの押し付けになってしまったり、冷静なやりとりができなくなる可能性もあるからです。




3. 本人に気持ちよく入居してもらうためのポイント


いきなり老人ホーム見学に連れて行くことには抵抗を持つ方も多いので、パンフレットやホームページなど、具体的にイメージできる資料を見せることからはじめましょう。

実際にホームへ足を運んでみると一番よく分かるのですが、施設によって雰囲気もかなり違います。まずは家族が複数個所のホームを見学し、「ここならキレイで雰囲気も良い」、「お父さんの好きな趣味の将棋ができる」など、本人に少しでも気に入ってもらえるポイントを見つけましょう。

ホームへの負のイメージを払拭する

老人ホームは姨捨山だ、という悪いイメージをお持ちの方には、とにかく暗いイメージを取り除く説明をすることが大切です。
一昔前とは異なり、比較的お元気なときから入居されている方も多く、ホーム内でのイベントやレクリエーションなどの楽しく過ごすために工夫を凝らすホームが多いということを、伝えてみましょう。


自宅を離れたくない方の場合

住み慣れた今の家に居続けたいという方には、段階を追って新しい環境を知ってもらうことが大切です。まずは、老人ホームの試食会やレクリエーションへの体験参加から始まり、慣れてきたらショートステイや体験入居など、老人ホームでの生活を肌で体感してもらうと良いでしょう。

何度か足を運ぶ間に、顔見知りの入居者やスタッフもでき、馴染みやすくなることも期待出来ます。焦らずに時間をかけることが大切です。



協力者を確保する

認知症で帰宅願望が強い方には、まず、スムーズに入居できるための協力者を確保しましょう。老人ホーム側に、「認知症症状として帰宅願望が強い」という事情をまず説明し、入居のためのアドバイスを求めてみると良いでしょう。

認知症の症状がある本人に老人ホーム入居の説明をしたとしても、同意を得ることは簡単なことではありません。ショートステイや体験入居を利用しながら、徐々に環境に慣れて「安心な場所だ」と納得してもらうために、家族とホームがしっかり連携することが大切です。



まとめ


本人の気持ちを理解し、家族の思いだけで行動しないこと
が大切です。
お互いに住むところが離れていても、家族を思いやる気持ちに変わりはありません。入居に対して安心してもらうための言葉かけを、意識的にすることを心がけましょう。

パンフレットやホームページのようなイメージがわきやすい情報をもとに、実際に本人・家族の目で確認すること(見学、体験入居)によって総合的に判断することが必要です。

そのために、ケアマネジャーなどの外部の専門家等の協力者としっかり連絡を取りながらサポートしていきましょう。
あくまで主役はご本人ですから、家族としては冷静に中立な視点で見ることが大切です。


このQ&Aに回答した人

西村 英記
西村 英記(介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価)

かず総合コンサルティング研究所/エリアマネージャー
行政書士法人御池事務所/行政書士
これからの人生を楽しく過ごすための終活トータルサポートを行う。