質問

要介護の父が入居する老人ホームを探しています。入居すると住所変更は必要ですか?また「住所地特例」という制度についても教えてください。

回答
髙杉 雅紀子

住所は住民票のある場所が基本なので、老人ホームへ入居が決まったら、住所変更をするのが一般的です。ただし、住所変更をしなくても大きな問題はありません。また、住所と介護施設が異なる市町村になる場合に利用する「住所地特例制度」という制度があります。

ここでは老人ホームに入居する際に住所変更をする場合としなくてもいい場合、また「住所地特例制度」について解説します。老人ホームへの入居が決まった場合に、手続きの漏れが出ないためにもぜひご活用下さい。 髙杉 雅紀子(AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士)

【目次】
  1. 1. 住所変更するのが一般的だが義務ではない
  2. 2. 住所地特例制度とは
  3. 3. 住所を変更するメリット・デメリットとは?
  4. まとめ


1. 住所変更するのが一般的だが義務ではない


住所はあくまで住民票のある場所が基本です。そのため入居時には、老人ホームの所在地に住所を異動させる必要があります。ただし、住所変更の義務はありません。

ショートステイなど短期間の利用予定ややむを得ない理由がある場合は住所変更をしなくても構いません。自宅を売却しないで老人ホームへ入居する人の中には住所変更をしない人もいます。

また、先にホームへ入居して後から住所変更をすることも可能です。


2. 住所地特例制度とは

介護保険では、原則として住民票のある市町村が保険者となります。したがって、住民票のある市町村に介護保険の保険料を支払い、住民票の市町村から介護保険給付を受けるという仕組みです。


介護施設に入所する場合に住民票を移しても、移す前の市町村が引き続き保険者となる仕組みが「住所地特例」です。


つまり、介護施設に入居する前に住んでいた住所の市町村の介護保険を利用できることです。介護保険施設がたくさんある市区町村に財政負担が集中してしまうので、そういった財政上の不均衡を防ぐための制度です。


住所地特例の対象者

65歳以上の方、40歳以上65歳未満の医療保険加入者の方で、後述の住所地特例対象施設に入所した方。また要介護認定がなくても、下記の住所地特例対象施設に入所した場合は対象となります。

住所地特例の対象となる施設
・特別養護老人ホーム(定員30名以上)
・介護老人保健施設
・介護医療院(介護療養型医療施設)
・ケアハウス(軽費老人ホーム)
・養護老人ホーム
・有料老人ホーム(介護付・住宅型)

※1.「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているサ高住の場合。
※2.有料老人ホームに該当するサービス(介護、家事、食事、健康管理のいずれか)を提供し、契約方式が「利用権方式のサ高住」の場合。

住所地特例の手続き

住所地特例の手続きは、転居先の介護保険担当窓口で「介護保険住所地特例・変更・終了届」を提出します。なお、市町村ごとに定められた日数以内で提出する必要がありますので、手続きを忘れないよう注意が必要です。また、手続きを行う前に住所変更によって介護保険料が高くなるか確認をしておきましょう。



3. 住所を変更するメリット・デメリットとは?

では、住所を変更するメリットやデメリットとしては、どんな点が挙げられるのでしょうか。

メリット
・転居先の市町村の方が、現在住んでいる市町村より介護保険料などが安くなる場合がある。
郵便物が施設に直接届く
・転居先市町村の地域密着型のサービスが利用できる
デメリット
施設の入所期間が短期間で自宅や他の施設へ移動の可能性がある場合は、住所変更の手間が増えて面倒
転居先の市町村の方が、現在住んでいる市町村より介護保険料が高くなる可能性がある。

住所変更によって、介護保険料は変更になるのでメリットにもデメリットにもなります。ただし、入居先の施設が住所地特例の対象施設場合、保険料は変わりません。

また、住所変更によって介護保険料が高くになる場合は、入居先の施設が住所地特例の対象であるか予め確認が必要です。

住所変更する、しないについては、担当のケアマネジャーや老人ホームの生活相談員等とよく相談してみましょう。


まとめ

住所は住民票のある場所が基本です。そのため、住むところが変わると住所変更をすることが一般的です。

これは、一般住宅に転居でも介護施設に転居でも違いはありません。

介護保険の利用をする方介護認定を受けている方は、住んでいた市町村で転出手続きをし、介護保険の「受給資格証明書」を受け取り、転居先の市町村で14日以内に手続きをすれば介護認定を引き継ぐことができます。

住所地特例制度に適用される方は、ホームに住所を変更した後、各市町村の担当窓口にその旨提出する必要があります。入居の際には老人ホームの契約担当の方に手続きの方法などを聞いておくとよいでしょう。


イラスト:安里 南美

このQ&Aに回答した人

髙杉 雅紀子
髙杉 雅紀子(AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士)

生命保険会社を約8年勤務後、住宅建築の建設会社に16年勤務。現在も建設会社で住宅取得資金や住宅ローンアドバイスを実施。さらに、ファイナンシャルプランナーとしてライフプランをもとに教育資金や自営業者の老後資金、保険見直しなどのアドバイスを行う。親の介護、義父母との同居の経験を活かし、相談業務や執筆活動をしています。また、子育て支援団体やひとり親支援など地域活動にも積極的に参加しています。