【2021年最新】老人ホームのボランティア
老人ホームや介護施設でのボランティアが注目されています。特別な資格がなくても参加でき、興味を持つ人も増えています。
具体的にはどのような活動をするのでしょうか。
ボランティアの目的、活動内容、メリット、問い合わせ方法、心構えなどを解説します。
老人ホームでのボランティア活動
老人ホームでのボランティア活動には、老人ホームにとっては「地域社会との交流」と「サービスの質の向上」という目的があります。
閉塞された空間になりがちな老人ホームにおいては、ボランティアの活用が地域に開かれた施設を作る1つの方法となっており、外部の人が関わることでの新鮮な空気が、入居者に良い刺激を与えます。
また、傾聴やレクリエーションのアシスタント、部屋の片付けなど、忙しいスタッフの補助業務を行うことで、サービスの質を高め、入居者の生活をより豊かなものにできます。
ボランティアの活動内容
ボランティアの活動は、身体介護ではなく、入居者の生活を豊かにするものとして内容は多岐に渡ります。
趣味や特技を活かせるものはもちろん、特にそれらを必要としないものも多くあります。
<個別対応>
- 傾聴(お話し相手)
- 囲碁、将棋の相手
- 新聞や本の朗読
- 散歩
など
<複数の入居者向け>
- 歌や楽器演奏
- 演芸、マジックショー
- フラワーアレンジメント
- ネイル、美容
- 編み物、工作、折り紙
- 書道、絵手紙
など
<業務補助>
- お茶入れ、食事の配膳
- 施設内・室内の清掃
- シーツ交換
- 備品の補充
- 花壇や庭の手入れ
- 入浴後のドライヤーかけ
など
ボランティアで得られる3者のメリット
ボランティアを取り入れることは、ボランティアを行う本人も、入居者も、老人ホームにとっても大きなメリットがあります。
ボランティアスタッフのメリット
- 趣味・特技を活かせる
- 人生経験が積める
- 人生の経験者と触れ合うことで多くの学びを得られる
- 人のお役に立てるという満足感、達成感から生きがいを感じることができる
- 社会貢献ができる
入居者のメリット
- 話し相手ができ、気分転換ができる
- 交流が良い刺激になり、介護予防・認知症予防に役立つ
- 生活の質が向上する
老人ホームのメリット
- 地域に開かれた施設になる
- 忙しいスタッフの仕事量の軽減、余裕を持たせることができる
- 入居者に笑顔が増え、明るい雰囲気になる
参加資格は必要?
参加資格はあるのか
老人ホームでのボランティアに参加するには、経験や特別な資格などは一切必要ありません。
「何かの役に立ちたい」という気持ちが何よりも大切です。もちろん、趣味や特技があれば、それを活かしたボランティアをすることも可能です。
「自分にできること」で人の役に立てる・喜んでもらえるのが、老人ホームでのボランティアの醍醐味です。
幅広い世代が参加している
老人ホームでのボランティアは、個人やNPO法人などの単位で、学生や社会人、地元の主婦、元気な高齢者など、幅広い世代が参加しています。
東日本大震災以降、社会貢献活動に意欲が高い若い世代が増えている影響もあるでしょう。
また、元気な高齢者が老人ホームでボランティア活動をすることで、参加した本人も生き甲斐が持て、介護予防につながっているケースも多くあります。
どこに申し込めばよいか
老人ホームや介護施設でボランティアをしたい場合は、下記に問い合わせると良いでしょう。
- 介護施設に直接問い合わせる
- 多くの介護施設ではボランティアを随時募集しています。自宅近隣の老人ホームなど現在の募集状況を確認してみましょう。
- 社会福祉協議会に問い合わせる
- ボランティアセンターが設置され、活動したい方と利用したい方の橋渡しをしており、募集内容をホームページでも掲載しています。
- NPO法人等の募集に応募する
- 齢者施設でのボランティアを募集しているNPO法人もあります。最寄りにNPO法人があれば活動内容などを確認してみましょう。
- 市区町村や地域包括支援センターに問い合わせる(介護支援ボランティア制度)
- 介護予防の取り組みとして、介護支援ボランティア制度を導入している自治体があります。対象となる高齢者自身が介護施設等でボランティアを行った場合にポイントが付与され、貯まったポイントは介護保険料の支払いに充てたり、介護施設等へ寄付ができるなどの仕組みがあります。
これらはインターネットでも広く情報収集することが可能です。
注意すべきこと
老人ホームでは様々な身体状態の高齢者と関わることになります。ボランティアをする際には下記のことに注意しましょう。
- 笑顔と挨拶
- お互いに気持ちよく時間を過ごすために、明るい笑顔や挨拶は基本中の基本です。笑顔の挨拶は場を和ませ、入居者の心を開きます。
- 体調管理
- 体調が良くない時はボランティア活動を控えましょう。特に、発熱や下痢、鼻水、咳などの症状があるときは、入居者や周囲の方に感染してしまうリスクがあるため、軽い症状でも体調回復を優先することがマナーです。
- 入居者の気持ちを考えた言動
- 入居者の気持ちを尊重し、自分の思い込みではなく、入居者が何を求めているのかを考えて行動しましょう。
- 認知症についての理解
- 認知症の方を驚かせたり、自尊心を傷つけたりしないように気をつけましょう。認知症を正しく理解するために、地域などで開催されている認知症サポーター養成講座を受講することも良いでしょう。
- 職務権限を犯さない
- あくまでも依頼された活動に専念しましょう。勝手に身体介護などをしてはいけません。入居者が身体介護を必要とした場合は、速やかにスタッフを呼びましょう。
- 個人情報を外部に漏らさない、ルールを守る
- 入居者や職員の個人情報は絶対に外部にもらさないようにしましょう。立ち入ったことを聞くのは慎みます。また、ルールを守り、職員の指示には従いましょう。
- ボランティア保険加入を検討する
- 活動中のけがや事故などについて補償するボランティア保険に加入しておけば、安心してボランティア活動ができるでしょう。
ボランティアを辞めたいとき
ボランティア活動を辞めたいときは、所属する団体や施設にその意思をしっかり伝えましょう。
ボランティアはあくまでも自発性・主体性が大切です。仕事のように契約に基づいて行うもの、強制されるものではありません。
ボランティアを続けられる環境になければ、無理をせずに自分の意志に基づいて判断しましょう。
今後どうなる?介護施設でのボランティア
日本は急速な少子高齢化が進んでいます。それに伴い社会保障費が膨大となり、国が推進する地域包括ケアにおいても、地域資源の活用という点で介護施設に限らずボランティアは注目されています。
財源逼迫、人材不足という課題解決に繋がること、また、元気な高齢者がボランティアに参加することは本人の介護予防にも繋がることを考えれば、ボランティアの活用は一石三鳥とも言えます。
少子高齢化問題から派生する介護離職問題、介護と育児のダブルケア問題の解決のためにもボランティア活用は重要となり、その動きはますます活発になっていくでしょう。
まとめ
特別な資格や経験が要らない老人ホームでのボランティアですが、初めてで不安を感じる場合は、活動の様子を見学してから検討するのもよいでしょう。
地域によっては、ボランティアの見学会などを実施しているところもあります。身近にボランティア活動をしている方がいたら、体験談を聞いてみるのもおすすめです。
また、ボランティアは、社会的な地位や立場があっても1人の市民として活動する心構えが必要です。
対等な関係で、それぞれが自分のできることをすることで支え合う気持ちで、気持ち良く活動しましょう。
【PR】憩いとやすらぎの老人ホーム、介護事業40年の創生会グループこの記事の制作者
著者:武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)
学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。