老人ホームのおやつの役割とは

老人ホームのおやつは、加齢によってからだの機能低下など様々な理由から食事が思うように進まない場合であっても、食事の補助として栄養を確保するという役割があります。さらにおやつは、日々の暮らしにおいて食事とは違った側面から楽しみを与え、心を満たす役割をもつことで食べる気力を高め、元気なからだづくりへとつなげることも目的のひとつといえます。

老人ホームで提供されるおやつの役割

おやつは食事補助としても必要

高齢者が健やかな生活を送るためには良好な栄養状態を保つことが必要となります。例えば、食が細くなり、食べたくても食べられない日も、「(食事を)食べなければならない」と負担に思うこともあるでしょう。

しかし、おやつは甘いもの、塩気のきいたもの、サクサク、プルプル、とろとろなどの食感の違いを楽しみつつ、特別なルールはなく、見た目にも自由度が高まりますので、食事にはない楽しみや潤いを与えることができるのです。高齢者のおやつは、単に甘いお菓子というものではなく食事の補助としてとても重要な役割があると理解して提供することが大切です。

おやつについては、食事と比較すると認知度や必要性もまだ十分に知られていないのが現状です。老人ホーム等では「おやつレク(おやつに関するレクリエーションの略)」として、広まりつつありますが、実はおやつはもっと深い意味合いを持ち合わせていると考えます。

作り手にとって介護食は、手間がかかる、作り方が難しいという印象があり取り組むにはとてもハードルが高いものです。しかし、おやつは介護食として応用できることが多く、ゼラチンでとろみをつけ嚥下(えんげ=飲み込み)しやすくしたり、メレンゲ(卵白を泡立てたもの)でふわふわに仕上げたりと楽しみながら介護食づくりの一歩を踏み出すことができます。

これが「おやつ介護」のスタートです。食べる側もおいしく、楽しみながら味わうことができる大事な補食といえます。

おやつ一食当たりの栄養価はどのくらい?

代表的な品目の栄養価を見てみましょう。

オレンジゼリー

エネルギー(kcal)

71
糖質(g) 15.6
脂肪(g) 0.1
塩分(g) 0
スイートポテト(1個50g)

エネルギー(kcal)

112
糖質(g) 15.7
脂肪(g) 4.3
塩分(g) 0
カスタードプリン(1個80g)

エネルギー(kcal)

134
糖質(g) 15.1
脂肪(g) 6.7
塩分(g) 0.1
おはぎ(1個70g)

エネルギー(kcal)

127
糖質(g) 25.4
脂肪(g) 0.8
塩分(g) 0.5

おやつ選びには、果物、野菜を使用することで不足しがちな食物繊維やビタミン類(熱に弱いものもあります)を補うことができます。また高齢者の方々は餡類を好まれる方も多く粒餡、こし餡を使い分けることで飲み込みにくい方も共に食べることが可能となる場合があります。

どんなおやつが提供されているか

口当たりの良いおやつが高齢者に人気

好まれるおやつは個人の嗜好など様々ですが、和・洋に関係なく口当たりのよいものを好まれる傾向があります。例えば、和菓子ならばしっとりした餡を使用したもの、洋菓子では、ゼリー、プリンなど、ケーキはパサついていないものが食べやすいようです。やはり、唾液の分泌が低下するためか、サクサク、パサパサした食感のものは好まれないように思われます。飲み物を添えて提供すると飲み込みをサポートしやすくなります。

実際に提供された人気のおやつ

<水まんじゅう>

水まんじゅう

皮をくず粉で作り喉の通りをよくしました。中はこし餡なので食べやすく仕上げています。

<ブラウニー>

ブラウニー

ホットケーキミックスにミルクチョコレートを加えてしっとりさせたケーキ。ミキサー食の方も一緒に頂くことができます。

*ミキサー食の場合、個人の嚥下状態(飲み込む力)によって召し上がることが難しい場合がありますのでご注意ください。

<オレンジゼリー>

オレンジゼリー

ゼリーはのど越しがよく人気のあるおやつですが、マンネリにならぬようフルーツを添えたり、すりおろした果物を混ぜ込むなどの工夫をしています。

おやつの提供方法

提供時間

14時から15時くらい。食後ゆっくり過ごす時間と、夕食に影響しない程度の時間配分で提供されています。

おいしく食べていただくコツ

  • 手作りでなくても市販品をそのまま提供せず見た目にひと工夫する
  • 食べやすい大きさにする
  • 口へ運びやすく盛り付ける

おやつの提供方法には、このような小さな心配りが大切です。

おやつを用いた取り組み

おやつを用いたレクリエーション

おやつの時間は、食べる楽しみ、作る楽しみ、選ぶ楽しみなどがあります。例えば入居者の方々も参加し、一緒に和菓子を作って抹茶をいただく、あるいは焼ドーナツを一緒に焼いて餡や生クリームを添えるなど個々にお好きなトッピングをするととても賑やかです。

また、数種のプチケーキからお選びいただくケーキバイキングは女性に大人気です。一方、男性は甘いものよりフルーツバイキングが好評であるなど、入居者全員に好評であるものは見つけにくいかも知れませんが、取り組みを重ねて充実させることで皆様に喜んでいただくことができます。

おやつを用いた嚥下食

嚥下食とは、食べ物を喉の奥へとスムーズに運び飲み込みやすくした食事をいいます。おやつの時間は咀しゃく、嚥下が難しい方にも楽しんでいただくための取り組みを始めています。

例えば、ゼリーやプリンなどは比較的飲み込みやすいおやつですが、嚥下状況によっては調整が必要です。“ぷるん”としたスプーンですくえる状態のゼリーを、水分調整をし“ぷるぷる”揺れるくらい、あるいは“ちゅるちゅる”のゼリーに調整することが必要な場合もあります。このように楽しみながら食べることで嚥下が苦痛とならず、日々繰り返すことで嚥下状態の改善につながればと思います。

まとめ

おやつの時間は、なごやかで入居者の方々にも自然と笑みが増えるように思います。

高齢者の方々のからだや嚥下状態に配慮したおやつを選ぶことで食事や栄養確保、水分摂取の補助として重要な役割にも活かされることと思います。

今後、おやつの持つ様々な重要な役割を広げつつ、その方に適したおやつが提供できればと思います。

著者

徳田 泰子

徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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