高齢者の見守りとは?カメラなど見守りツールやサービスの種類も
高齢者の見守りは、超高齢社会の日本において対策が急務な課題の1つです。一人暮らしの高齢者が増加している社会的背景から、さまざまな見守りサービスやツールが登場しています。見守りの重要性からポイント、サービスやツールまで網羅的に解説します。
高齢者の見守りとは?
「高齢者の見守り」とは、家族などの介護者が近くで付き添い、言動や様子を観察しつつ必要に応じていつでも援助できる態勢を取る介助方法です。
高齢者の見守りは、家族や近隣の住民、地域の団体やボランティアなどが協力して、地域全体で行うことが望ましいです。特に超高齢社会の日本においては、高齢者が安心して暮らせるような地域や環境づくりが求められています。
高齢者の見守り需要が増加した背景
高齢者の社会的孤立による孤独死や怪我のリスクを抑えるためにも、見守り需要が増加しています。総務省の統計データによると、日本の総人口の約3割が高齢者という結果に。
超高齢社会が進む中、大きな課題になっているのが高齢者の社会的孤立です。高齢者の社会的孤立は、孤独死増加の大きな原因として考えられています。
実際に東京23区内における一人暮らし高齢者の自宅での死亡者数は、2010年が2,913人に対して、2020年には4,238人に増加。早急に対策を講じる必要があるのです。
出典:総務省統計局「高齢者の人口」 出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」地域社会による高齢者見守りの重要性
少子高齢化や核家族化など社会や家族関係が大きく変化する中、一人暮らしの高齢者をサポートするために地域での見守り活動が推奨されています。
介護保険法においても、高齢者が地域で自立した生活を送れるように支援する地域包括ケアシステムの構築を、国および地方公共団体の責務として規定。下記に挙げられるものに加えて、自治体ごとにさまざまな取り組みを行っています。
地域での見守り活動の具体例
- 定期的な安否確認
- 老人クラブの発足
- 住民ボランティアによる訪問活動
- 地域包括支援センターや高齢者見守り相談窓口の職員による訪問活動
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高齢者の見守りが持つ3つの役割
見守りは、高齢者が安全に暮らすうえで非常に重要な役割を担っています。役割を適切に理解することで、より注意深く気を配れるでしょう。
事故の防止
見守りによって誤嚥や転倒などの事故を未然に防げます。声かけで注意を促したり、意識を向けさせたりすることで事故の発生リスクを最大限減らせるでしょう。
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不測の事態への備え
見守りによって、体調の急変など不測の事態にも備えられます。高齢者の中には、基礎疾患(持病)を持つ方も少なくありません。見守りをすることで、速やかに医療機関へ連絡するなどの対応も可能になります。
自立生活支援
高齢者を見守ることで食事やトイレ、入浴など自力で行えることが増えるケースもあります。生活動作の訓練にもなるため、自立生活支援にもつながります。
高齢者の見守りを行う際のポイント
高齢者の見守りを行う際は、あくまでも本人の気持ちや状態に寄り添うことが大切です。介護側も決して無理はせず、必要に応じて介護サービスの導入なども検討しましょう。
本人の意思をできるだけ尊重する
見守りされることに抵抗がある高齢者もいるため、本人の意思はなるべく尊重します。ただし、下記の条件に当てはまる場合は、相談したうえで見守りを検討してみるとよいでしょう。本人的に無理なくはじめられるサービスやツールから導入するのがおすすめです。
見守りを検討する高齢者の条件
- 65歳以上
- 遠方に住んでいる
- 一人暮らし
- 日常生活に不安がある
本人に合ったサービスやツールを選ぶ
見守り方法や利用するサービス・ツールは本人の身体機能や認知機能に合わせて選びます。決して介護側本位で選ばないように注意します。本人側の操作が必要なツールを導入する場合は、できるだけ簡単に扱えるものを選びましょう。
困ったときは専門家に頼ることも視野に入れる
本人が見守りに前向きでなかったり、想像以上に負担が大きかったりする場合はプロの力を借りることも視野に入れましょう。相談先としては下記などが挙げられるほか、介護サービスや施設入居を検討する方法もあります。
高齢者の見守り関する相談先
- 高齢者見守り相談窓口
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー
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高齢者見守りサービスの種類
近年ではさまざまな高齢者の見守りサービスが誕生しています。スマホ1つで簡単に見守れるものなど、バリエーションも豊富。最適な見守りサービスを見つけてください。
セキュリティ会社による見守りサービス
セキュリティ会社の見守りサービスは24時間の見守りや、緊急時も対応してくれる点などが大きなメリットです。一方ほかのサービスに比べて費用が高額になることも。会社によっても異なりますが、初期費用で数万円以上、月額2,000~5,000円程度は必要になります。
スマホや携帯を使った見守りサービス
自動で送られてくる安否確認の電話やメールに回答するサービスです。スマホ1つで簡単に安否確認ができる一方、電話の音に気が付かなかったり、携帯の操作ができなかったりする高齢者には難易度が高いでしょう。
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訪問型サービス
訪問型サービスは自治体や民間企業のスタッフが高齢者の自宅を訪問し、安否確認などの見守りを行うものです。スタッフとのコミュニケーションを図れるため、孤独感を解消できるのが大きなメリット。緊急時の対応ができない点には不安が残ります。
宅配型サービス
宅配型サービスは注文した食材やお弁当などの宅配とあわせて、高齢者の健康状態や安否確認をしてくれるサービス。料理や買い物が難しい高齢者にとっては便利な一方、緊急時の対応や専門的な健康相談はほとんどできません。
高齢者見守りツールの種類
高齢者見守りツールにもさまざまなバリエーションがあります。健康状態を把握できるツールもあり、離れて暮らすご家族の不安解消にも役立つでしょう。
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介護用見守りカメラ
設置すれば、離れて暮らす家族の様子をスマートフォンやタブレットから確認可能。カメラによっては通話ができるものや、熱中症対策に有効な温度センサー機能が付いているタイプもあります。
GPS端末
位置情報が把握できるGPS端末を常備してもらうことで、家族が現在位置を特定できます。認知機能が低下した高齢者のさまよい歩き対策にも有効です。
AI搭載ロボット
AI搭載ロボットにはカメラやマイク、センサー機能など搭載されており、家族はスマートフォンやタブレットで様子を確認できます。会話機能付きのロボットなら、コミュニケーションをとることも可能です。
介護用見守りセンサー
呼吸や脈拍、体動などを感知するバイタルセンサーや人の温度を感知する人感センサーなどを設置することで、状況や体調を確認できます。体調の異変などにも早い段階で気づけるでしょう。
家庭での見守りに限界を感じるケース
家庭内での高齢者の見守りは、身体機能や認知機能の度合いによっては限界を感じることもあります。常に誰かの見守りが必要になった場合などは要注意です。介護側の負担が大きくなり、共倒れのリスクも懸念されます。介護施設への入居を検討するなど、見守りサービス以外の方法を視野に入れましょう。
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高齢者の見守りでは本人にとって最適なサービス・ツールのチョイスを
高齢者の見守りにはさまざまなサービスやツールがあり、どれが最適かは本人や家族の状況によって異なります。見守られることに抵抗がある高齢者も少なくないので、最大限本人の意思に寄り添って決断しましょう。24時間誰かの見守りが必要など、介護負担が重くなる場合は施設入居も検討するのがおすすめです。
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イラスト:安里 南美
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