質問

父が入居する老人ホームを探しています。私の父親はこだわりが強く、老人ホームに入居しても自分に合わなければすぐに退去したいと言い出しかねません。入居金を支払う場合はまとまった出費となるため、老人ホームへの入居に戸惑いがあります。

もしも入居後、今の老人ホームにいるのが嫌になって別の老人ホームに行きたくなったらどうすればいいか教えてください。

回答
西村 英記

どれだけ納得いくまで詳しい説明を聞いて選んだ老人ホームでも、実際に入居してから、やっぱり環境面やサービス内容が想像していたものと違う、自分には合わない、と考えてしまうこともあります。
ある程度は我慢し、新しい環境に慣れるということも必要かもしれませんが、ご本人にとってはストレスとなり心身の状態悪化につながる可能性もあります。

どうしても今の老人ホームに住み続けられないと判断した場合、住み替えという選択が発生します。
住み替えに時は具体的にどういうことに注意して手続きを進めていけばよいか見ていきましょう。 西村 英記(介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価)

【目次】
  1. 1.すぐに退去ではなく、まずは相談しましょう
  2. 2.退去までの手続き
  3. 3.入居金を納めていた場合のお金について
  4. 4.次の入居先を探す方法
  5. まとめ

1.すぐに退去ではなく、まずは相談しましょう


住み替えは本人にとっても家族にとっても心身ともに大きな負担となります。

どのような理由で「ここは私に合わない」と感じられたかにもよりますが、最初から退去することありきで考えるのではなく、まずはホームの生活相談員やケアマネジャー、ホーム長に悩みを相談してみましょう。

ホームの運営会社や法人本部が苦情相談窓口・お客様相談センターのような相談の窓口を設けている場合もあります。直接ホームの職員に言いづらい場合はそういった外部の窓口へ相談してみましょう。
この段階で相談して悩みが解決すれば住み替えの必要もなくなります。

>関連リンク:老人ホームに苦情を言いたい。苦情窓口や対応方法は?




2.退去までの手続き


相談しても解決に至らない場合は、次の住まいに移るために行動します。別の老人ホームで暮らすのか、自宅に戻るのか、住み替え先が決まれば、速やかに退去手続きを開始しましょう。

ご本人が老人ホームの見学に行ける状態であれば、実際にホームまで足を運んで自分の目でどんなホームなのか確認することができます。

自分が入居した後の生活をイメージするために、できるだけ複数のホームを見学し、現在悩んでいることが解決できるのかどうか相談してみましょう。

>関連リンク:老人ホームに入居中だが別の施設に住み替えたい。その方法や注意点は?



3.入居金を納めていた場合のお金について


老人ホーム入居時に入居一時金を支払っている場合、途中退去した際の返還金がありますが、退去にあたってのトラブルの中でも、この入居一時金の返還金を巡るものが多くなっています。

例えば、気に入った老人ホームに入居してみたはいいが、実際暮らしてみると思っていたホームと違った場合や、入居後すぐ体調を崩して入院するためホームを退居する事になった場合に退去し解約するとき、契約日から90日以内であればクーリングオフにより入居一時金が全額返還されます。

有料老人ホームにおける入居一時金とは、「家賃の前払い」と「終身利用できる権利の購入」という2つの意味をもっています。

返還金の計算をする際にチェックする項目は、「初期償却金」と「償却期間」です。
初期償却金は、保証金・権利金としての意味合いがあり、入居後3か月を経過した時点で償却されます。

入居一時金から初期償却金を引いた残額を償却期間で割ると、1か月あたりの前払い家賃額が分かります。具体的に次の2つの例を見てみましょう。

(例)入居一時金:1,000万円
   初期償却金:20%(200万円)
   入居期間:18か月
   と仮定した場合

(Aホーム)
 償却期間:6年(72か月均等)
 返還金額:(1,000万円―200万円)/72か月×(72か月―18か月)
      =600万円(初期償却金は必要経費を除き返還)

(Bホーム)
 償却期間:10年(120か月均等)
 返還金額:(1,000万円―200万円)/120か月×(120か月―18か月)
      =720万円(初期償却金は必要経費を除き返還)


上記計算事例からもわかるように、償却期間が長いホームの方が返還金額が多くなります。

このように金額の計算は簡単にできますが、「退去返還係数」といった独自の計算方法を採っているホームもありますので、自分で計算した場合でも必ずホーム長などに返還額を直接確認するようにしましょう。

以前は、返還されない権利金、礼金見合いというのが前提でしたが、「権利金・礼金見合いの初期償却は禁止」となりましたので、現在では必要経費分を除いて基本的に全額返金されることとなっています。

しかし、一部の事業者ではこうした法律に則しない運営が続けられているところもあります。



 

4.次の入居先を探す方法


退去理由となった不満が解消できるホーム
でないといけません。最初にホームを選んだ際には、どのようなサービスに重点を置くのかをしっかりと本人・家族の間で話合えてなかったかもしれません。

通いやすいから、費用が安いからといった家族の都合や、料理がおいしそうだから、部屋がきれいで大きいからといった表面的な理由だけで選んでしまったことはないでしょうか。

次に選ぶ際は、本人固有の希望や不安を整理したうえでこれまでの生活習慣を壊さないホームを選ぶことが重要です。

>関連リンク:失敗しない老人ホームの選び方や、見極めのポイントを教えてください。


 

まとめ


ホーム入居前から途中退去の可能性を考えても先へと進めません。金銭的な負担を考慮すると「入居一時金のないホーム」を中心としたホーム選びをされてはいかがでしょうか。

また、入居したホームがご本人に合う・合わないについて不安が強いようでしたら、ご本人とのコミュニケーションをしっかり交わし、どういった生活を望んでいるのか、要望などを確認し、納得いくホーム選びをしましょう。


このQ&Aに回答した人

西村 英記
西村 英記(介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価)

かず総合コンサルティング研究所/エリアマネージャー
行政書士法人御池事務所/行政書士
これからの人生を楽しく過ごすための終活トータルサポートを行う。