- 質問
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医療法人が経営していたり、クリニックが併設している有料老人ホームと、民間企業が経営する一般的な有料老人ホームでは安心感は違うのでしょうか?どういった点で安心か詳しく教えてください。
- 回答
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経営母体が医療法人の場合、「入院が必要なときに優先的にベッドを確保してくれる」、「同じ法人内の機能訓練士がリハビリをしてくれる」といった対応をしてもらえる場合があります。また、クリニック併設型の老人ホームでは、「常に医師がそばにいてくれる安心感」があり、体調急変などの緊急時にも円滑に対応できるという利点があります。
ただ、医療法人運営でなくても「介護付き有料老人ホーム」であれば、協力医療機関の連携が義務付けられているので、必ずしも「母体が医療法人」にこだわる必要はありません。また、医療法人が運営であっても、身体状態の変化(悪化)を理由に退去しなければならない場合もあり、万能ではないことを覚えておきましょう。
ここでは老人ホームの医療連携について解説します。安心できるホームを選びのためにぜひお役立てください。
1.医療法人が経営、クリニック併設老人ホームの特徴
近年、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等を経営する医療法人が増加しています。
医療法人が運営する介護施設では、特に医療連携が整備され、近隣にグループ病院がある、入院時にベッドを確保してもらいやすいなど、介護だけでなく医療的な面でも手厚いサポートを受けられます。
また、定期健康診断・介護や医療的な相談・慢性疾患管理・緊急時対応など、医療経験豊富なスタッフのサポートが受けられます。
中には医療連携だけでなく、日常の介護や機能訓練、提供される食事内容という点でも質の高いサービスを提供しているところもあり、入居一時金や月額といった料金設定はやや高めなところもあります。
2.有料老人ホームにおける医療連携とは?
全ての「介護付き有料老人ホーム」では、協力医との連携が義務付けられているため、老人ホームを選ぶ際は、特に経営母体が医療法人であることにこだわる必要はないでしょう。
ホーム独自のサービスで、日中は看護師を常駐させたり(一部24時間常駐もあり)、協力医の指導でリハビリを行うなど、医療面での安心感をアピールしているところも多く登場してきました。
また、「住宅型有料老人ホーム」でも協力医と連携を強化するホームが増えており、万一の体調急変時に対応できるように整備しています。
なお、協力医療機関については、事前に次のようなことを確認しておきましょう。
・ホームから病院までの距離はどのくらいか(通いやすい場所か)
・必要とする診療科目があるか
・緊急の場合の対応フローはどのようになっているのか
3.医療連携に関する有料老人ホームのメリット・デメリット
高齢者の増加に伴い、病院では治療を終えた患者の入院期間が短縮傾向にあります。
退院後すぐに在宅に戻ることができず老人ホームへ転居する高齢者も多いため、老人ホームでは「たん吸引」や「インスリン注射」といった医療ケアの必要性がますます高まっています。
このような医療的ケアに対応するためには、看護師の勤務体制や病院との医療連携が整ったホームを選ぶことで安心感が高まります。
ここで、医療法人が運営するホームと一般企業などが運営するホームの医療連携の特徴について比較してみましょう。
母体が医療法人。又はクリニック併設の有料老人ホーム | 協力医のいる一般的な有料老人ホーム | |
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メリット |
・老人ホームと協力医の間で緊急時対応フローが整備されている。 ・入院時に優先的にベッドを確保してもらいやすい。 ・クリニック併設ホームの場合、常に主治医がそばにいてくれる安心感がある。 |
・ホームの数が多いため、希望エリア、予算から幅広く選択できる。 ・協力医のドクターとはオンコール体制が整っていることが多い。 |
デメリット |
・医療法人が経営するホーム自体数が少なく、希望するエリアに存在しないこともある。 ・医療依存度の高い入居者が多く、平均介護度の重いホームも多数ある。 |
・協力医が救急指定でない所も多い。 ・緊急時のベッドの確保ができるかどうかはホームにより異なる。 |
まとめ
医療法人が経営母体の場合、病気や緊急時の対応が早かったり、併設クリニックがあることで、主治医が近くにいるという安心感が得られます。
しかし、全ての介護付き有料老人ホームには必ず協力医がいるため、医療連携がしっかりしていれば、必ずしも医療法人が母体のホームにこだわる必要はありません。
また、医療法人だけに限定してホーム探しをすると、選択肢がかなり減りますので、その点だけにこだわらないようにして、広く探していきましょう。
ホームにより対応はさまざまですし、入居してからの安全性・機能性・居心地の良さが一番重要なことです。ご自身に必要な医療を考慮した上で、実際にホームに見学し確認することが必要です。
こちらから施設を検索できます。気になる物件の資料を請求し、できれば2~3ヶ所見学し、条件に合うホームを探していきましょう。
>老人ホームの探し方・選び方|入居までに必要な6つのステップ
(監修:森 裕司 株式会社HOPE代表、介護支援専門員、社会福祉士)