- 質問
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将来的に有料老人ホームの入居検討を始めたのですが、複数のホームで月額費用が「15万~30万」とかなり差がありました。
なぜこんなに月額費用に差があるのでしょうか?
- 回答
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近年、有料老人ホームは増加傾向にあり、競争が激化するなか他ホームとの差別化をはかっています。「価格の安さを売りにするところ」、「手厚いサービスを売りにするところ」、「食事へのこだわりを売りにするところ」など様々です。
こういったサービスが充実するほど月額費用が上昇します。また、立地がよく、設備が充実するほど、費用は高くなります。有料老人ホームでは、介護サービスや食事の提供、生活支援などを行いますが、どのホームでも同様のサービスを一律に提供するわけではありません。
ここでは、月額費用の金額の違いとその内訳について解説します。月額費用の異なる老人ホームを検討する際、失敗を防ぐためにも参考にしてみてください。
- 【目次】
1.月額費用の内訳は「家賃・管理費・食費」
パンフレットに記載されている「月額費用」に含まれるのは、「家賃・管理費・食費」です。介護にかかる費用については、「介護保険の自己負担分(1割~3割)」が記載されています。
その他、「水道光熱費」、「有償のサービス費用(レクリエーション参加費など)」が別途、かかる場合がありますので、固定の月額費用以外にかかる諸費用についても、しっかり確認しておくことが大切です。
2.家賃や管理費の差は「立地条件」や「居室面積」で異なる
家賃は、「居室の広さ」「設備の充実度」「立地の良し悪し」によって異なります。
また、ホームが立っている土地を運営会社が所有しているか、それとも借地かによっても家賃に差がでます。
まとまった資金を投入して土地を購入するより、定期借地等で借りている方がコストはかからないため、家賃は安くなります。
建物も、新築で一から立てているところもあれば、もともとホテルや企業の社員寮や保養所だったところを買い取り、改装して有料老人ホームに生まれ変わっているところもあります。どれだけホームの建築費がかかっているかも、家賃に反映されることになります。
管理費は、共有スペースの維持管理費やレクリエーションにかかる費用のほか、事務費や家事支援サービスにかかる人件費などが含まれます。
居室の清掃や買い物代行といった費用が最初から管理費に含まれるところもあれば、利用者に対し、個別に徴収するところもあります。
また、一般的に食事の提供にかかる調理代は食費に含めるところが多いようですが、なかには、「厨房管理費」として徴収するところもあります。どのような費用が管理費に含まれるのか、ホームによって異なりますので、老人ホーム見学時などに確認しましょう。
3.食費の差で何が変わる?
食費には、基本的に、朝・昼・晩の3食分の食材と調理代が含まれています。
一部のホームでは、食費は食材費のみで、調理代は管理費扱いにしているところもあります。その場合、食費は安くなる分、管理費が高くなるので内訳の確認が大切です。
調理は、ホームのスタッフがするところもありますが、給食会社に委託しているところが一般的です。委託会社から調理スタッフが派遣され、ホームの厨房で一から調理しているところ。
または委託会社で調理されたものを運び込み、盛り付けのみホームで行うところ。その他、レトルトやドライフーズを温めて提供するところなどもあります。
治療食や介護食などの提供方法もホームによって異なります。例えば、塩分調整が必要な方に対して、単純に「お味噌汁をカットする」ところもあれば、「カットされたお味噌汁の代わりに別のメニューを一品提供する」というところもあります。
また、噛み砕きや飲み込む力が弱くなった方に対して、刻んだり、やわらかくムース状にするだけでなく、肉や魚、野菜など、食材の原形をとどめ、通常の食事と見た目が変わらないよう工夫をされているところもあります。
その他、おやつが出るところ、好き嫌いに対応してくれるところ、複数のメニューから選べるところなど、素材や品数だけでなく、メニューの種類、調理への工夫、きめ細かい個別対応などが食費の差として現れます。
4.介護サービスの費用は月額に含まれていない?
介護サービス費については、公的介護保険の自己負担分がかかります。介護度が重くなるほど費用は高くなったり、所得によって自己負担額が1割~3割負担と異なります。
この介護サービス費は個人差があるため、基本的に月額費用には含まれて表示されていません。
有料老人ホームには、介護付き(特定施設)と住宅型があり、その種類によって自己負担額も変わってきます。介護付きの場合は、介護度に応じて1ヶ月の自己負担額は定められており、毎月、定額払いになります。
一方で、住宅型の場合、自宅で介護サービスを使う仕組みと同じ扱いになるため、利用したサービス分の1割~3割が自己負担になります。
つまり、利用したサービス量によって毎月変動します。資金計画を立てるには大切なポイントとなるので、介護付き(特定施設)か、住宅型か、有料老人ホームのタイプも把握しておきましょう。
また、介護保険で定めている人員基準よりも手厚い人員体制の老人ホームの場合、「上乗せ介護費」が必要な場合があります。ホームによっては、公的介護保険の範囲でサービスを提供するところもあれば、手厚い介護により、3万円~5万円ほど上乗せ介護費がかかる場合もあります。
最大、どれくらい上乗せ介護費を見積もっておいた方がよいのか、必ず、事前に問い合わせておきましょう。
>上乗せ介護費とは|介護付きホームでかかる費用5.その他、施設に支払うお金は?
居室の水道光熱費は管理費に含まれるところもありますが、使用した分だけ実費で支払うところが多いようです。掃除や家事、買い物代行など、生活支援サービスに係る費用についても、利用した分、有償で支払うところもあります。
その他、日帰り旅行や外食レクリエーションなど、有料のアクティビティ参加費(数百円~数千円)等があります。
まとめ
有料老人ホームにかかる月額費用の内訳と、その他に必要な費用をご紹介いたしました。
パンフレットに記載されている月額費用だけを見て、他のホームよりも安く見えても、その他の費用を含めると結果的に高くなる場合もあります。
実際に毎月支払う金額はいくらで見積もっておけばよいかを確認した上で、金額の違いがどこにあるのかを比較しましょう。
また、資金計画を立てる際は、「おむつ代」や「ティッシュやトイレットペーパー」などの消耗品や、携帯電話代、医療費、税金や社会保険料など、日常生活費がかかることも忘れてはいけません。
パンフレットに記載されている月額費用だけで資金計画を立てると、思いのほか早く貯蓄が底をついてしまう危険性がありますので注意しましょう。