質問

生活保護を受けながら遠方でひとり暮らしをしていた母が、骨折で長期入院したのを機に、認知症が進んでしまいました。
退院後、ひとりで生活するのは厳しい状況です。生活保護でも入居できるホームはありますか?

回答
薮内 美樹

生活保護受給者でも入居できる老人ホームは少なからずあります。
費用面から「特別養護老人ホーム」が候補にあがることが多いのですが、空室が少なく入渠待機者が多いためすぐに入居するのは難しいと思われます。そのため、民間企業が運営する「有料老人ホーム」などが次の候補としてあがってきます。
ここでは、生活保護受給者が入居する際の施設や注意点について解説します。ぜひ老人ホーム選びの参考にしてみてください。 薮内 美樹(NPO法人あい・ライフサポートシステムズ所属)

【目次】
  1. 1.生活保護受給者が入居できる老人ホーム
  2. 2.費用負担に上限はあるの?
  3. 3.生活保護受給者が老人ホームを探すときの注意点
  4. 4.生活保護でも入居できる老人ホームの探し方は?
  5. まとめ

1.生活保護受給者が入居できる老人ホーム

生活保護受給者の場合、費用面から、公的な施設として位置づけされる特別養護老人ホーム(以下、特養)が第一候補となります。
特養であれば、有料老人ホームと比較しても費用が安いうえに、所得に応じた負担軽減があるため、費用面で問題はありません。もちろん、認知症の方でも入居できます。
ただし、特養の入居要件である、「要介護3以上」という条件を満たす必要があります。また、特養は、費用の安さから、入居を希望される方が多く、地域やタイミングによってはすぐに入れない可能性があります。
特養の入居要件に該当しない場合や、空室がなくすぐに入居できない場合は、民間の「有料老人ホーム」が選択肢にあがってきます。しかし、どこでも生活保護受給者の方を受け入れているわけではないので、注意が必要です。

2.費用負担に上限はあるの?

一般的に、有料老人ホーム等の場合、月額利用料は15万円~30万円程度のところが多く、内訳としては「家賃、食費、管理費」、「介護保険の一割(二割)負担」などがかかります。
生活保護受給者の場合、介護サービスの費用は、自治体から老人ホーム側に支給されるため、本人が直接負担することはありません。
一方で、家賃は住宅扶助として定められた上限額内で実費が支給され、生活費は生活扶助として必要な金額が支給されます。家賃が限度額内に収まるか、食費、管理費、その他の日常生活費が、生活扶助や年金収入と合わせてやりくりできる、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居することになります。この上限金額については生活保護を受給している自治体や担当するケースワーカーなどに確認してみましょう。


3.生活保護受給者が老人ホームを探すときの注意点

生活保護受給者に支給される生活費や家賃の上限額等は、収入や世帯の人数によって変わるほか、物価や家賃相場等も加味されるため、居住地の市区町村が違えば金額が異なる可能性があります。
例えば、単身の場合、家賃扶助は、月額22,000円~54,000円、生活扶助は月額60,000円~75,000円程度となっており、2つの扶助を合計すると、月額82,000円~129,000円と全国的にみると、地域によって大きな差があります。
費用を抑えるため、郊外を含めて探す場合や、家族の近くに移り住む場合など、居住地が変わる場合は、事前に、生活保護の扶助額の上限を確認してから、住み替え先を探すようにしましょう。

費用面から考えると、都心よりも郊外にある老人ホームの方が見つけやすいといえます。ただし、仮に、費用面はクリアできても、老人ホーム等によって、生活保護受給者の入居を受け入れるかどうかは、対応が異なります。生活保護受給者の受け入れ人数に制限のあるホームもあります。

安さを売りにしている老人ホームでは、パンフレットやホームページに「生活保護の方も入居可能」と記載しているところや、記載はしていなくても受け入れてくれるところ、または金額を割引してくれるところも一部あります。目ぼしいところがあれば、老人ホームに直接相談してみましょう。

4.生活保護でも入居できる老人ホームの探し方は?

まずは、生活保護受給担当のケースワーカーに今の住まいに戻れないため転居が必要になることを相談しましょう。その際に、自治体内の生活保護受給者の受け入れ可能な、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの情報をもっており、提案や紹介をしてくれる場合があります。
同時に資料を集めたり、インターネットで、費用の確認や、生活保護をキーワードに検索してみたりすると入居可能な老人ホームが出てくる場合もあります。


まとめ

特養に入れない場合、有料老人ホームという選択肢となると、費用面で制限があるため、入居先を見つけるのに少し時間はかかるかもしれませんが、地道に1軒1軒あたれば、受け入れてくれるところも出てくると思います。
生活保護受給者が転居する場合は、役所の許可や手続きが必要になりますので、住まい探しの最初の段階から、担当のケースワーカーと相談し、アドバイスを受けながら進めていくほうが間違いないでしょう。

このQ&Aに回答した人

薮内 美樹
薮内 美樹(NPO法人あい・ライフサポートシステムズ所属)

FPオフィス ライフ・カラーズ/代表
日本FP協会 CFP®
1級FP技能士
介護保険の評価調査員/外部評価、第三者評価
相談実績豊富。介護を踏まえた生涯資金計画のアドバイスから実行支援を行う。