- 質問
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生活保護を受け一人暮らしをしていた母が、骨折による長期入院を機に、認知症になりました。退院後一人暮らしに戻るのは厳しいので、施設を検討しています。
生活保護の受給者でも入居できる老人ホームはありますか?
- 回答
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生活保護受給者も入居できる老人ホームは少なからずあります。
費用面から「特養(特別養護老人ホーム)」が候補にあがることが多いのですが、空室が少なく入居待機者が多いため、すぐに入居するのは難しいと思われます。そのため、民間企業が運営する「有料老人ホーム」などが次の候補としてあがってきます。
ここでは、生活保護受給者が入居する際の施設や注意点について解説します。生活保護の方が老人ホームを選ぶときの参考にしてみてください。
1.生活保護受給者が入居できる老人ホーム
生活保護受給者の場合、費用面から、公的な施設として位置づけされる特別養護老人ホーム(以下、特養)が第一候補となります。
特養であれば、有料老人ホームと比較しても費用が安く、所得に応じた負担軽減があるため、生活保護受給者の方でも費用面で問題はありません。もちろん、認知症のある方でも入居できます。
ただし、特養の入居要件である、「要介護3以上」という条件を満たす必要があります。また、特養は、費用の安さから、入居を希望される方が多く、地域やタイミングによってはすぐに入れない可能性があります。
特養の入居要件に該当しない場合や、空室がなくすぐに入居できない場合は、民間の「有料老人ホーム」が選択肢にあがってきます。しかし、どこでも生活保護受給者の方を受け入れているわけではないので、注意が必要です。
2.費用負担に上限はあるの?
一般的に、有料老人ホーム等の場合、月額利用料は15万円~30万円程度のところが多く、内訳としては「家賃、食費、管理費」、「介護保険の1割~3割負担」などがかかります。
生活保護受給者の場合、介護サービスの費用は、自治体から老人ホーム側に支給されるため、本人が直接負担することはありません。
一方で、家賃は住宅扶助として定められた上限額内で実費が支給され、生活費は生活扶助として必要な金額が支給されます。
家賃が限度額内に収まるか、食費、管理費、その他の日常生活費が、生活扶助や年金収入と合わせてやりくりできる老人ホームへ入居することになります。この上限金額については、生活保護を支給している自治体や担当するケースワーカーなどに確認してみましょう。
3.生活保護受給者が老人ホームを探すときの注意点
生活保護受給者に支給される生活費や家賃の上限額等は、収入や世帯の人数によって変わるほか、物価や家賃相場等も加味されるため、居住地の市区町村によって金額が異なる可能性があります。
例えば、単身者の場合
【家賃扶助】月額:22,000円~54,000円程度
【生活扶助】月額:60,000円~75,000円程度
となっており、2つの扶助を合計すると月額82,000円~129,000円と幅があり、全国的にみると地域によって大きな差があります。
郊外の物件も含めて探す場合や、家族の近くに移り住む場合などもあるかと思います。そのように居住地(市町村)が変更する場合は、事前に生活保護扶助額の上限を確認してから住み替え先を探すようにしましょう。希望する物件が見つかっても、支給限度額によっては入居できない場合もあります。
一般的に費用面から考えると、都心よりも郊外にある老人ホームの方が見つけやすいといえます。ただし、仮に費用面は問題なくても、施設によっては生活保護の入居を受け入れるかどうかは、対応が異なります。また、生活保護受給者の受け入れ人数に制限のあるホームもあります。
また、安さを売りにしている老人ホームでは、パンフレットやホームページに「生活保護の方も入居可能」と記載しているところや、記載はしていなくても受け入れてくれるところなどもあります。目ぼしいところがあれば、老人ホームに直接相談してみましょう。
4.生活保護でも入居できる老人ホームの探し方は?
まずは、生活保護受給担当のケースワーカーに介護施設での生活を希望していることを相談しましょう。その際に、自治体内の生活保護受給者の受け入れ可能な老人ホームなどの施設情報をもっていることもあり、提案や紹介をしてくれる場合があります。
同時に資料を集めたり、インターネットで費用の確認や、生活保護をキーワードに検索してみたりすると入居可能な老人ホームが出てくる場合もあります。
まとめ
まずはお住いの最寄りの特養へ申し込みをしてみましょう。
条件面から特養に入れない場合、有料老人ホームという選択肢となると、費用面で制限があるため、入居先を見つけるのに少し時間はかかるかもしれませんが、地道に1軒1軒あたれば、受け入れてくれるところも出てくると思います。
生活保護受給者が転居する場合は、役所の許可や手続きが必要になりますので、住まい探しの最初の段階から、担当のケースワーカーと相談し、アドバイスを受けながら進めていくほうが間違いないでしょう。