質問

母は70歳を過ぎてから外出も減り自宅にこもりがちで人見知りです。要介護度も重くなったので、有料老人ホームの入居を検討していますが、共同生活を送る老人ホームに上手くなじめるのか心配です。大丈夫なのでしょうか?

回答
佐藤 益弘

有料老人ホームには多くの方が暮らしているので、人と関わることに積極的な方とそうでない方がいます。ですから一人の時間を楽しむ方でも安心して暮らしていけるように配慮されています。

部屋にこもりがちであれば、スタッフが声がけして外に出ることを促してくれます。だからといって、毎回イベントに参加しないといけないということもありません。もし気になるようであれば、ホーム長や生活相談員に、本人の性格や日頃の家での過ごし方などを詳しく伝え配慮してもらうようにしましょう。

ここでは有料老人ホームの生活スタイルなどについて解説します。家族と入居者が安心できる有料老人ホームを選ぶためにお役立て下さい。 佐藤 益弘(株式会社優益FPオフィス代表取締役/CFP®認定者/ライフプランFP®)

【目次】
  1. 1.共同生活は誰もが得意なわけではない
  2. 2.老人ホームのレクリエーションは参加自由
  3. 3.スタッフは24時間体制。心配事があればいつでも相談を
  4. 4.プライベートも尊重した居住空間
  5. まとめ

1.共同生活は誰もが得意なわけではない


自分のペースで生活を送ることから始めよう

これまでご家族に身の回りのお手伝いをしてもらっていた方が、住み慣れた自宅を離れ24時間他人に介護してもらうという環境変化には、不安がいっぱいになるのも無理はありません。

それは、介護度が重度の方でもそうでない方も同様です。誰もが同じ不安を抱えて老人ホームに入居します。

多くの老人ホームは女性の入居者の方が男性よりも多いため、女性の場合は溶け込めやすい面もあります。

老人ホームでの生活に慣れるまでは、ホームのスタッフが配慮してくれます。最初のうちは入居者と交流を深めることよりも、居室で自分のペースで生活を送ることから始めましょう



プライベートな時間も尊重する

居室で楽しめる趣味のある方は、持ち込んで一人の時間を楽しむのもよいでしょう。

老人ホームでの生活を楽しんでいる方の中には、ピアノを持ち込んで(*)毎日弾くことを日課にする方もいれば、老化による衰えが進まないように編み物やビーズなど手先を使うことを積極的にしている方もいます。


食事の際も、他の人居者と食事をするのが苦痛であれば、食事の時間をずらしたり、本人の居室で摂ることも可能です。

ただし、そういった対応をしてくれるホームかどうかは、入居前に確認を取っておきましょう。

時間をかけて少しずつ老人ホームでの生活に慣れていくために、はじめのうちはご家族も訪問頻度を増やし見守ることで、本人も安心することでしょう。
※老人ホームに持ち込めるピアノは、電子ピアノでヘッドホンを付けての使用となります。



2.老人ホームのレクリエーションは参加自由

老人ホームでは、入居者の心身の維持向上や入居者同士の交流など日々の生活を楽しく過ごしてもらうために、レクリエーションが企画されています。

入居者の中には、スケジュールを常にチェックして毎回積極的に参加する方もいれば、興味のあるものだけに参加する方もいます。

レクの参加は自由ですので、職員が無理強いすることもありません。例えば、お買い物が好きな方やいつまでもおしゃれを心がけている方は、洋服の出張販売の時には顔を出す。動物好きの方は、アニマルセラピーの時には参加する。といった感じで老人ホームでは、皆同じことしているわけではありません。このように興味のあるものに参加することで、少しずつホームの生活にも慣れてくるでしょう。


身体的にお元気な方が入居する「健康型・自立型の老人ホーム」では、日中は仕事やボランティア活動などに出かけているという方もいます。

>老人ホームのレクリエーションの内容や効果



3.スタッフは24時間体制。心配事があればいつでも相談を

老人ホームでは、24時間スタッフがケアをしてくれます。

スタッフにはそれぞれに役割があります。日頃の介護ケアは「介護職員」、医療ケアに関することは「看護師」、生活に関することは「生活相談員」、施設の運営に関することは「施設長」が対応します。

24時間人の目があるのは安心です。自宅から老人ホームへ住み替えて間もないうちは不安も多いかと思います。スタッフは入居者と信頼関係が築けるように努めていますので、心配事があればいつでも相談するとよいでしょう。



4.プライベートも尊重した居住空間

老人ホームでは、自分だけのプライベートな空間である居室と、自由に利用できる共有スペースがあります。自分の時間を大切にしたいのであれば居室はもちろん、共有スペースでも過ごすことが可能です。


常に介護が必要な方が入居する介護付き老人ホームの場合は、共有施設は少なく、食事や、イベントを行うリビングが各フロアに設けられているところが一般的です。

リビングは誰が利用してもよく、TVを見たり、入居者同士でおしゃべりをしたり、新聞を読んだり、イベントがない時には誰もが居室以外で過ごせる場所です。

自立型の老人ホームでは、元気な人が施設内でも十分楽しめるように共有スペースが充実しています。
また、趣味の合う方同士で楽しむサークル活動が複数ある老人ホームもあります。

例えば、陶芸、社交ダンス、囲碁将棋、俳句などです。サークル活動が活発な老人ホームでは、活動の発表の場として文化祭のようなものを開くところがあります。



まとめ

老人ホームは、食事や入浴の時間帯はある程度決まっていますが、そのほかは基本的に制約もなく自由に過ごすところです。

部屋にこもりがちであれば、スタッフが声がけして外に出ることを促してくれます。そして、24時間体制で常に心身の変化がわかるようになっています。

本人はもちろん家族も気に入った施設で老人ホームのスタッフと信頼関係が築ければ、自宅を離れ、環境が変わっても安心して過ごすことができるでしょう。


このQ&Aに回答した人

佐藤 益弘
佐藤 益弘(株式会社優益FPオフィス代表取締役/CFP®認定者/ライフプランFP®)

CFP®を取得後、2000年8月より金融商品販売を伴わない独立系FPとして活動。
お金の不安などお客様の抱える問題解決のために適切な情報提供を行いながら、ライフプランに基づいた解決&意思決定のお手伝いを長期わたり行う。実務家FPの全国ネットワーク「マイアドバイザー®」を運営。
(マイアドバイザー®︎HP)https://www.my-adviser.jp/search/yoshihirosato/