質問

東京都内で父と二人暮らしをしています。父は去年膝を傷めてからあまり外出しなくなりました。私は仕事が忙しいため、今後、父親の生活が心配です。将来は有料老人ホームにと考えていますが、費用が高いと聞きました。
有料老人ホームにかかる費用の相場や平均金額を教えてください。
また、貯蓄はどの程度あれば安心でしょうか?

回答
武谷 美奈子

有料老人ホームにかかる費用は入居金と月額費用がありますが、選ぶホームの立地条件やサービス内容、付帯設備、人員体制などによって大きな差があります。
東京都の場合は、介護が必要な方が入るタイプのものは、入居金が1000万円前後、月額費用は25万円前後が平均金額です。
入居金0円プランがあるホームも多くなっていますが、その場合の月額費用は、東京都では30万円を超えてきます。
またそれ以外に、介護保険負担、医療費、嗜好品、趣味などで最低3~5万円を想定しておくと良いでしょう。
貯蓄については、様々な要素が影響しますので一概には言えませんが、300万円くらいあると安心のようです。以降の章で詳しく解説します。 武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

【目次】
  1. 1.有料老人ホームの入居金の目安
  2. 2.有料老人ホームの月額費用の目安
  3. 3.みんなどうやって費用を用意している?
  4. まとめ.費用の相場は地域や介護体制によって大きく違う

1.有料老人ホームの入居金の目安

有料老人ホームの入居金は、ホームによって金額がさまざまですが、土地・建物の取得金額、維持のためのランニングコスト、専用居室の広さ・設備、基準以上の人員体制による人件費(上乗せ介護費)などが換算され決定されています。その根拠を明確にし、適正な金額設定か、また必要経費と考えられるかなどを判断することが大切です。

1都3県の入居金の分布

入居金の分布データ

関東1都3県にある有料老人ホームの入居金の分布を見てみると、金額は地域の不動産価格と比例しており、地域差がかなりあります。

東京都は入居金1000万円を超えるホームが49%と半数近くを占め、次いで500~1000万円以下が31%、500万円以下のホームは20%となっています。

神奈川県は入居金500~1000万円以下が42%と1番多く、次いで1000万円を超えるホームが31%、500万円以下のホームは27%です。

埼玉県と千葉県は同じ傾向で、入居金500万円以下のホームが55%・53%と半数を超え、うち300万円以下のホームは34%・32%と3分の1を占めています。500~1000万円以下のホームは32%・35%と約3分の1を占め、1000万円を超えるホームは13%・11%と1割強に留まっています。

関東1都3県では500~1000万円以下が1番のボリュームゾーンとなっています。

入居金0円プランをもつ施設も多い入居金0円プランの比率

各ホームではさまざまな料金プランが用意されていますが、関東1都3県では約7割のホームに入居金0円プランがあります。その中でも東京都が1番多く、80.3%のホームにこのプランがあり、次いで神奈川県74.7%、千葉県59.4%、埼玉県52.5%となっています。

入居金0円プランは、高齢で想定される入居期間が短い方や、一時的な入居を希望される方などの、月額費用が高くなっても初期経費を抑えたいというニーズに応えるものとなっています。そのため高額な入居金のホームが多い東京都、神奈川県の順に多くなっていると考えられます。

2.有料老人ホームの月額費用の目安

月額費用の内訳は、家賃相当分、管理費、食費、法定基準以上の人員体制による人件費(上乗せ介護費)などが挙げられます。家賃の一部や上乗せ介護費を入居金として支払うことで、月額費用が低く設定されたり、入居金を0円や低額にすることで月額費用を高く支払ったりするケースがあります。

入居金1000万円前後・月額費用20~23万円のホームでは、入居金0円プランの場合は月額費用が30万円以上となり、かなり金額が変わってきます。

1都3県の月額費用の分布(入居金0円の場合)

月額費用の分布データ

入居金0円の場合の月額費用は、入居金と同様、地域の不動産価格と比例し地域差があります。

東京都は約6割が月額30~50万円以下となり、20~30万円以下は18%、50万円を超えるところも1割存在します。神奈川県は月額30~50万円以下・20~30万円以下がそれぞれ約4割、15~20万円以下が約2割となっています。埼玉県と千葉県は入居金と同様に同じ傾向を示しており、月額20~30万円以下・15~20万円以下がそれぞれ3分の1強を占め、30万円以上は16%~18%、15万円以下の特別養護老人ホームレベルのホームも1割存在します。

>関連リンク:全国の有料老人ホームの料金相場を調べる


3.みんなどうやって費用を用意している?

費用は、年金、退職金を含めた貯蓄、家族や親戚からの援助、その他株の配当金やアパート経営などの収入から捻出する方が多いです。どうしても足りない場合は、自宅を売却する、自宅を貸し出す、自宅を担保にして資金を作るリバースモーゲージを利用する、などの不動産活用方法があります。

まとめ.費用の相場は地域や介護体制によって大きく違う

有料老人ホームの費用は、地域の不動産価格に比例して変動します。また、「手厚い介護体制を取っている」、「看護師が24時間配置されている」など、人員体制による人件費によっても大きな差があります。

老人ホームに入居すると、日々の生活や食事内容がきちんと管理され、リスクの発見も早いため、入居期間は想定以上に長くなる傾向にあります。家族としては喜ばしいことですが、その分費用がかさむことも考慮する必要があるでしょう。無理のない資金計画を立てることがとても大切です。

このQ&Aに回答した人

武谷 美奈子
武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)

学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。