質問

53歳の主婦です。昨年父が亡くなり、78歳の母が一人暮らしになりました。
本人も一人暮らしに不安があるようで、ゆくゆくは老人ホームへの入居を考えています。
明るい性格で趣味も多い母なので、元気な方が多い施設で、友人ができれば楽しく過ごせるのではないかと思っています。
雰囲気の良い老人ホームや、良いスタッフのいる介護施設の見極め方を教えてください。

回答
武原 光志

実際に老人ホームに足を運び、見学し、職員や施設長に話を聞いてみることが一番です。
その際のスタッフの態度、表情なども重要な判断のポイントです。老人ホームに足を踏み入れた時に感じた第一印象も大切にしましょう。
見学や体験入居の際にスタッフに確認しておくべきポイントや、特に注目すべき行動などについてご説明します。 武原 光志(特定医療法人 玄州会 理事)

【目次】
  1. 1.雰囲気の良い老人ホームとは
  2. 2.良いスタッフは利用者の要望を先回りして対応している
  3. 3.見学の際に注目すべきスタッフの行動とは
  4. 4.体験入居で注目すべきスタッフの行動とは?
  5. まとめ.雰囲気の良い老人ホームには教育されたスタッフが揃っている

1.雰囲気の良い老人ホームとは

老人ホームの雰囲気やスタッフの良し悪しは、入居をきめる一番のきっかけになると言われています。一番は住みやすいように配慮されているかどうかでしょう。

マンション暮らしが長い方は、個人のスペースや自由な時間をしっかりと確保できるホーム。一戸建てなどでご近所の方との交流を楽しんできた方は、アットホームな雰囲気の小規模な老人ホームが馴染みやすいようです。


1-1.足を踏み入れた時の第一印象を大切に

老人ホームに足を踏み入れた時の第一印象がすべてと言っても過言でないでしょう。動きのある時間帯、閑散とした時間帯など、一日の中でも雰囲気は異なりますが、ここで暮らし続ける人々に配慮している空間かどうかは、入った瞬間、直感的にわかるものです。

静けさを保てる作りになっていることも判断するポイントのように思います。バタついていると感じられるところは避けたほうが無難です。また、スタッフの配慮は、玄関先にさりげなく活けられている季節の花などに感じられるでしょう。



2.良いスタッフは利用者の要望を先回りして対応している

スタッフの良し悪しは、利用する側が求めているケアを先取りして行ってくれるかどうか、ということに尽きます。何が求められているのかを、利用者の立場で考えることができるかどうか、質問に対して丁寧に対話ができているかどうかで判断できるでしょう。

それができるスタッフは良いケアを提供できます。良い職員は態度や表情に余裕があるものです。


2-1.教育熱心な老人ホームは、スタッフのコミュニケーション能力が高い

介護は医療とは違い、ある特定の技術を用いて状態の改善を図るものではありません。むしろ軸は人間関係、つまり、ケアを必要とする人とケアを提供する人との関係の取り結び方にあります。

前向きにさせるか、不快にさせるか、その根本はコミュニケーションです。コミュニケーション能力を高める研修をどのようにされているかを聞けば、スタッフ教育の質についておおよそのことが判ると思います。



3.見学の際に注目すべきスタッフの行動とは

事前に老人ホームのホームページを見て、良さそうかどうか判断してから見学に行ってみましょう。

施設がイメージ通りであれば、スタッフが見学者のほうに体全体を向けて、視線を合わせて挨拶しているかどうかに注目しましょう。また、介護する上でどんなところに注意しているかをスタッフに尋ねてみてください。また、施設長に挨拶して運営方針を伺ってみるのも良いでしょう。


3-1.老人ホーム見学時にスタッフに確認すべきポイントは?

見学の際に、家族からスタッフに確認しておくべきポイントをご紹介します。


(1)夜間の対応

人員が限られる時間帯である、夜間の対応について確認しておきましょう。夜間の巡回は何時間おきが適切なのかは一概には言えませんが、 “必要時には30分おき、あるいは、60分おき “というように、教育を徹底できているかどうかが重要です。

巡回時の確認方法もその入居者の状態によるため、一概に言うことはできません。しかし、急変時の対応の仕方がしっかりしていれば、そんなに不安になることはないでしょう。


(2)体調急変時の対応

万一体調が急変した場合、どのように対応しているかも大切です。医療面で安心できるのは訪問診療を手掛けている医療機関が運営している老人ホームです。あるいは、近隣に24時間体制の訪問看護ステーションがあり、そこと契約を交わしているところもよいでしょう。介護スタッフでは解決できないところは迅速に看護スタッフにアクセスすることを明示し、システム化しているかどうかが重要です。


(3)非常時の対応

火災や自然災害時の対応についても確認しておくことをおすすめします。日頃から緊急事態の際、迅速に119番通報することを心がけるようにしているか、実際に消防署員に来てもらって避難訓練を実施しているかどうかがポイントです。

通報から消防隊の到着までの時間を逆算すれば、それまでに何を優先しなければならないか明らかになります。また、建物の構造が避難誘導しやすいかどうかも確認しましょう。



4.体験入居で注目すべきスタッフの行動とは?

一日のなかで特に多忙な時間帯である起床や食事の時間に、余裕が持てているかがポイントです。他の時間帯に比べパートタイマーのスタッフなどが多く配置されているかを確認しましょう。

入浴についていえば、介助を必要とする場合、居室から浴室への誘導・洗体介助から帰室まで、マンツーマンで対応してもらえているかどうかがポイントですね。入浴の介助方法について尋ねてみれば、その老人ホームのケアの水準が一目瞭然となるでしょう。



まとめ.雰囲気の良い老人ホームには教育されたスタッフが揃っている

良い老人ホームを選ぶには、足を踏み入れた時に、ご自身やご家族が心地よいと感じるかどうかを重視しましょう。また、老人ホームの雰囲気は、そこで働くスタッフによって作られます。スタッフひとりひとりの態度や表情に注目して、スタッフと入居者が良い関係を築けている施設を選びましょう。

このQ&Aに回答した人

武原 光志
武原 光志(特定医療法人 玄州会 理事)

熊本リハビリテーション学院理学療法学科卒。同年4月、光武内科循環器科病院入職。1995年、老健施設・光風を開設し、自宅復帰型の老健施設として運営。その後、訪問・通所介護などの在宅支援事業を立ち上げる。2005年、特別養護老人ホーム・光の苑を開設。認知症の人のケア、生活の場での看取りに取り組む一方で、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」、サービス付き高齢者住宅など在宅系サービスを整備。