岐阜県庁から徒歩数分という利便性の高い場所でありながらも、閑静な環境に佇む「るぴなすビラ」は、社会福祉法人信輪会が運営する、特別養護老人ホームです。

自立介護支援に力を入れているという「るぴなすビラ」。そこで働くスタッフは、どのような介護サービスを目指されているのか、法人職員の坂口しほさんと、介護スタッフの谷山弘丞さんにお話しを伺いました。

【記事広告】



おむつに頼らない生活が、自立した生活の基礎になる

――はじめに、お2人が介護業界に入ったきっかけを教えてください

坂口さん:母が看護師だったのが大きいと思います。当時、祖父母と同居していたのですが、祖母が体調を壊したときに、祖母の世話をしている母の姿を見て「私も何かの役に立てたら」という想いをもち、福祉系の短大に進みました。

卒業後は、介護士として、特別養護老人ホーム(以下特養)、介護老人保健施設(以下老健)、デイサービスなど、一通りの施設を経験しました。その後、こちらの法人に移り、現在では管理的立場で施設の運営に携わっています。

谷山さん:私は両親が共働きということもあり、幼いころはおばあちゃんに色々とお世話をしてもらっていました。いわゆるおばあちゃん子です。高校卒業後の就職を考えたときに、「介護の仕事で身に着けたスキルで、おばあちゃんに何か恩返しができるのではないか?」と考え、「るぴなすビラ」に就職しました。

――お2人が考える「るぴなすビラ」の魅力は、どういった点でしょうか?

坂口さん:介護業界は環境の変化や競争も激しくなっています。そのような厳しい状況下でも、法人として先々を見据えて対策を打つための情報力を持っていたり、トップの意思が密に伝わる環境のため、入居者さま・ご家族様に不安なく過ごしていただける施設だと思っています。また、介護・看護など職種を超えたスタッフのコミュニケーションが密で、助け合える環境だと感じています。それが入居者さまにとっても快適な暮らしの役に立っているのではないでしょうか。


――こちらでは、おむつを使用しない自立支援介護に力を入れていると伺っています。

谷山さん:「るぴなすビラ」では、他の施設ではあまり行っていない「おむつを使用しない」という方針をとっているところがすごいなと感じています。日中は基本的に、私たちがお手伝いをして、自ら排せつしていただくということを行っています。実際は、おむつをしていただいたほうが作業的には楽だったりするのですが、入居者さまのために、手間を惜しまない姿勢をとっています。

坂口さん:谷山の言った「入居者さまのために」というのには、いくつかの意味があります。まずは、統計上「最もやってほしくない介護」のトップが排せつに関わることなのです。自ら排せつができれば、入居者さまに「恥ずかしい」という気持ちをさせずに済みます。さらに、排せつの不安がなければ、ご家族と一緒に外に出かけることも可能かもしれません。自分でできることを大切にする、すなわち自立するということは、自分らしい生活を送る基礎ともいえます。そういった想いで、おむつに頼らず自立を支えるという取り組みを続けています。





入居者さまにリスペクトの気持ちをもち、距離感を間違えない

――お2人がお仕事のうえで大切にされていることや、こだわりを教えてください

坂口さん:私は、自分にもスタッフにも「なぜ?」「どうして?」と問うことを大切にしています。例えば「ある入居者さまの体温がいつもよりも高い」という報告があったときに、ただ数値だけの報告を受けるのではなく「なぜ?」と問うことで、その背景を確認するのです。背景がわかれば、その後の対応も決まります。私が現場にいたころから、上司に言われ続けてきた「なぜ?」が、自分の仕事の気づきになり、スタッフ間の密な連携に繋がると思っています。

谷山さん:入居者さまとの距離感を間違わないよう意識をしています。いつも一緒にいるとつい言葉遣いがラフになってしまいそうになりますが、人生の大先輩だというリスペクトをもって接しています。とはいえ、あまり丁寧すぎるのも、逆に冷たく感じられてしまうこともあるので、そこは気を付けています。

私はもともと人前に出るのが苦手で、レクリエーションの企画なども得意ではありませんでした。歌レクのときに、古い曲が全然わからずまごついていたら、ある入居者さまが「上を向いて歩こう」を歌って助けてくださいました。それを見ている皆さんも 結果として喜んでくれていたのがうれしくて。いい関係性が築けていると感じています。今では一緒に歌えるレパートリーが増えてレクリエーションの時間を更に楽しんでもらえています。




家族を思うような気持ちで、元気な時間をより長く過ごしてほしい

――施設として、またご自身のお仕事において、この先目指していることを教えてください。

坂口さん:当施設での生活で、入居者さまのQOL(生活の質)をできるだけ上げたいと思っています。家で過ごすよりも安心安全であることはもとより、楽しく、元気な時間をより長く過ごしてもらえるようにしたいです。おむつの話もその一環ですし、いろいろなイベント事も大切にしています。普段、刻んだ食事ばかりの人も目で食事を楽しんでもらおうと、お寿司をとったこともありました。そういう喜びや楽しみも多くある施設でありたいと思っています。

谷山さん:私が入った当時からお仕事を教わってきた、五明さんというスタッフがいるのですが、その人のような存在になりたいという目標があります。五明さんは、私がお誘いしてもレクに参加していただけないような入居者さまでも、上手くその気にさせたりと、何でも解決できる力をお持ちです。もちろん、介護に関する知識や経験も豊富でとても頼りになる存在です。今年、私にも後輩ができました。将来的に「谷山さんみたいになりたい」と憧れてもらえる先輩になれるよう頑張ります。

――お2人にとって、理想の施設とは?また、「るぴなすビラ」をどんな施設にしていきたいとお考えですか?

坂口さん:入居者さまもスタッフもみんなが1つ屋根の下で暮らす、大家族のような一体感をもつ施設にしたいと思っています。例えば、入居者さまが休暇中のスタッフを思って「リフレッシュしているかな?早く会いたいな」と思っていただける。スタッフが休みの時に「〇〇さんどうしてるかな?」「桜が咲いたなー。みんなにも見せてあげたいな」と家族であれば当たり前に思うようなことを、自然と感じるような関係性を築いていけたら素敵ですね。

入居者さまにとっては、ここでの生活が人生の最期を過ごす場となることも多いです。その日まで、できるだけ長く人間本来の生活や自分らしい暮らしを送っていただけたらと思っています。そして、入居者さま・ご家族様から「良くしてもらった」「ありがとう」という言葉をいただけるよう、がんばってまいります。

谷山さん:「るぴなすビラ」を、本当の自分の家のように感じてもらえたらと思っています。自分の家での生活は、好きなときに好きなことをすることが可能です。施設ですから、なかなか全て思い通りとはいかないまでも、自由を尊重してあげられるようなサポートをしていきたいと考えています。

(記事中のサービス内容や施設に関する情報は2023年9月時点の情報です)